褥瘡(床ずれ)について知ろう③治療薬(赤色期〜白色期編)


褥瘡(床ずれ)シリーズラストです!
今回は、赤色期から白色期の褥瘡治療に用いられる代表的な薬剤について、それぞれの作用機序や特徴、注意点についてまとめました。黒色期や黄色期の治療薬は前回まとめていますので、まだご覧になっていない方はぜひそちらもあわせてご覧ください!
<ガイドラインでの推奨度>
B:根拠があり、行うよう勧められる
C1:根拠は限られているが、行っても良い
フィブラストスプレー(トラフェルミン)とプロスタンディン軟膏(アルプロスタジルアルファデクス)の作用機序や特徴・注意点

①フィブラストスプレー(トラフェルミン)
bFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)製剤。線維芽細胞や血管内皮細胞を活性化し、肉芽形成や血管新生を促進することで創傷治癒を促します。
<特徴と注意点>
- 肉芽形成の促進に優れる。
- スプレー剤であり、創面を刺激せずに使用できる。
- 溶解後は冷所保管し、2週間以内に使用。
- 1日量は1000μgまで。
<ガイドラインでの推奨>
・肉芽が十分に形成され創の縮小を図る場合(B)
・肉芽形成が不十分で肉芽形成を促進させる場合(B)
・ポケットを有する場合で滲出液が少ないとき(C1)
②プロスタンディン軟膏(アルプロスタジルアルファデクス)
アルプロスタジル(PGE1誘導体)が血管拡張作用を持ち、創部の血流を改善することで創傷治癒を促進します。
基剤:プラスチベース(油脂性基剤)
<特徴と注意点>
- 血流改善作用があり、壊死組織の除去後の創傷治癒促進に適している。
- 原則として1日10gまで。これを超えて投与する場合は、血圧や脈拍等を観察して慎重に。
- 重篤な心不全、頭蓋内出血や消化管出血等の出血のある患者、妊婦には禁忌。
- 血流改善作用が強いため、出血傾向が増強した場合は使用を中止する。