2025年大流行の百日咳。薬剤師が知るべき最新情報を網羅!


2025年春、百日咳が流行しているというニュースを目にした方は多いのではないでしょうか?どのような症状の経過を辿るのか、治療薬にはどのような薬があるのかをまとめました。
百日咳ってどんな疾患?

百日咳は、百日咳菌(Bordetella pertussis)という細菌によって引き起こされる、感染力の強い呼吸器感染症です。特に乳児や未就学児では重症化しやすく、注意が必要です。
百日咳の感染経路
百日咳は、患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌によって感染します(飛沫感染)。
また、痰に含まれる細菌によって接触感染することもあります。感染力が強く、特にカタル期に最も感染力が高まります。
百日咳の症状の経過
百日咳は、7〜10日ほどの潜伏期間ののち症状が現れます。症状の経過は以下の3つの時期に分けられます。
①カタル期(1〜2週間)
風邪のような症状(軽度の咳、鼻水、くしゃみ、微熱)が見られます。徐々に咳が強くなってきます。
②痙咳期(2〜3週間)
特徴的な発作性の激しい咳が現れます。咳の後に「ヒュー」という吸気音が聞かれることがあり、咳嗽(がいそう)後に嘔吐を伴うこともあります。
乳児では無呼吸や痙攣を起こすことがあり、肺炎や脳症など重篤な合併症につながる可能性があります。一方で成人の場合は、比較的軽い咳が長期間続くだけで経過する場合も多く、受診せずに治ってしまうこともあります.
③回復期(2〜3週間)
咳の頻度と重症度が徐々に軽減しますが、咳が長引くことが特徴です。数週間で治ることもあれば、「百日咳」という名の通り数ヵ月かかることもあります。
百日咳のワクチンについて
百日咳の予防には、現在は五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)が主に使用されています。これは以下の5つの感染症を同時に予防できるワクチンです。
- D:ジフテリア
- P:百日咳
- T:破傷風
- IPV:ポリオ
- Hib:インフルエンザ菌b型
五種混合ワクチンは2024年4月から定期接種に導入されました。
接種スケジュールは、生後2か月から開始して計4回(初回3回+追加1回)となっており、早ければ1歳になるころ完了します。