小児の「クループ症候群」って何?いつもとは違う咳の見分け方


「犬の遠吠え」「オットセイの鳴き声」といった表現をされることもある特徴的な咳がみられる「クループ症候群」。症状の特徴やガイドラインで推奨されている治療など、頻度の高いウイルス性クループを中心にまとめました。
「クループ症候群」とはどんな疾患?
「クループ症候群」は、主に小児に起こる急性の呼吸器疾患の総称で、喉頭(声帯や声門付近)に炎症が起こり、気道が狭くなることで特徴的な咳や呼吸困難を引き起こすものを指します。具体的な疾患例としては、下記の疾患があります。
- ウイルス性クループ
- 急性喉頭蓋炎
- 細菌性気管炎
- 痙性クループ
- 食物アレルギー

「ウイルス性クループ」とはどんな疾患?
クループ症候群の中でも頻度の高い「ウイルス性クループ」は、生後6ヵ月~3歳ごろに多くみられます。秋〜冬にかけて多く、男の子の方が発症しやすい傾向があります。
代表的な原因ウイルスとして下記のウイルスがあります。
- パラインフルエンザウイルス
- RSウイルス
- インフルエンザウイルス
- アデノウイルス
- ライノウイルス
「ウイルス性クループ」は、上記のウイルスが上気道に感染して声帯周囲が腫れ、気道が狭窄することで起こります。1~3日程度の感冒症状(微熱など)がみられたのち、クループに特徴的な症状が始まります。
「クループ症候群」の特徴的な症状とは?
- 犬吠様咳嗽:犬が吠えるような声の咳、オットセイの鳴き声のような咳、いつもの風邪とは違う咳
- 嗄声:声のかすれ
- 吸気性喘鳴:息を吸うときに「ヒューヒュー」と音がする
これらの症状がクループ症状と言われ、特徴的な症状です。ただし、急性喉頭蓋炎では犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)は見られません。また、夜間に症状が悪化しやすいという特徴もあります。
症状の程度は軽症~重症まで幅広く、軽症では数日で治る咳だけ、重症では強い呼吸困難やチアノーゼを伴うこともあります。