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いまさら聞けない「薬」のキホン

更新日: 2025年9月23日 齊藤 凌

「トローチ剤」「舌下錠」「バッカル錠」の違い

いまさら聞けない「薬」のキホンのメイン画像

医薬品は、剤形によって吸収される時間が異なったり局所的に作用したりと、目的に合わせて剤形が選択されます。剤形の中でも、「トローチ剤」「舌下錠」「バッカル錠」は『口腔用錠剤』と呼ばれます。これらは他の剤形の薬とどのような違いがあるか、わかりやすく説明できるでしょうか?今回はそんな“口腔用錠剤の違い”について見ていきましょう。

口腔用錠剤の違いOne Point

先にあげた「トローチ剤」「舌下錠」「バッカル錠」は、『口腔用錠剤』に分類されます1)。この口腔用錠剤とは、口から投与する製剤であり、口腔粘膜に直接作用もしくは口腔粘膜から吸収されて成分が全身へと移行して薬効を発現する製剤です。

珍しい剤形の一種として「チュアブル錠」も一括りにされがちですが、チュアブル錠に関しては“経口投与する錠剤”の分類であり口腔内崩壊錠と同等の階層となります。

「トローチ剤」「舌下錠」「バッカル錠」の違いの画像1
分類 定義 商品名(例)
トローチ剤 口腔内で徐々に溶解又は崩壊させ、
口腔咽頭などの局所に適用する口腔
用錠剤である1)
SPトローチ0.25mg
オラドールトローチ0.5mg
舌下錠 有効成分を舌下で速やかに溶解させ、
口腔粘膜から吸収させる口腔用錠剤
である1)
ニトロペン舌下錠0.3mg
アブストラル舌下錠100μg
バッカル錠 有効成分を臼歯と頬の間で徐々に
溶解させ、口腔粘膜から吸収させる
口腔用錠剤である1)
イーフェンバッカル錠50μg

トローチ剤、舌下錠、バッカル錠の違いについて

①製剤学的な違い

「トローチ剤」は、錠剤と同じように直接打錠法で製造されますが、口腔内で徐々に溶解させるために、基本的には崩壊剤を添加しないのが特徴です。これは、103回の薬剤師国家試験において、出題されています2)。崩壊剤を添加することなく製造されているため、やや硬く作られて溶けにくいので、窒息を防止できる形状になるよう定められています1)

「舌下錠」は、キャリア粒子というものと有効成分、崩壊剤、粘膜付着剤から構成されています。崩壊剤によってバラバラになった薬剤が粘膜に付着し、その粒子が溶けて有効成分が吸収される仕組みです3)。フェンタニルの舌下錠では、舌下の一番奥のほうに置くと3分で80%、5分で90%が溶解して口腔粘膜から吸収され、バイオアベイラビリティは50%となります4)

「バッカル錠」は、OraVescentという製剤技術が用いられています。発泡成分やクエン酸等のpH調整成分の働きによって唾液のpHが段階的に変化することで、口腔粘膜からの速やかな吸収と高いバイオアベイラビリティ(約65%)が得られる製剤となっています5)

②投与方法による違い

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齊藤 凌
さいとう りょう

管理薬剤師/茨城県糖尿病療養指導士/スポーツファーマシスト
2016年に薬科大学を卒業後、漢方相談・ハーブ園のあるフローラ薬局で薬局薬剤師として勤務。「地域に健康の花を咲かせる」をモットーに日々、勉強中。

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