服薬指導~薬歴までをフォロー「日常業務をアップデートする」について
今回のm3ラーニングのテーマ
薬局薬剤師に求められる役割は近年、大きく変わりました。特に2015年、厚生労働省が「患者のための薬局ビジョン」を公表し、その中で「対物業務から対人業務へ」という方針が明確に打ち出されました。臨床現場の薬剤師は従来、薬を調剤し、患者さんに渡すという「対物業務」を中心に行ってきました。もちろん、これまでも窓口で薬の飲み方などの説明はしていましたが、より深く患者さんとかかわる「対人業務」へのシフトチェンジが国や社会から強く求められているのです。
さらに2020年3月、薬剤師が必要に応じて服用後も継続してフォローすることを義務づけ、医師への情報提供を努力義務とする「改正薬機法」が成立しました。薬剤師の仕事は、患者さんに薬を渡し、飲んでからが本当のスタートになります。薬を飲んで患者さんは治ったのか、副作用は出ていないかといったことを確認することが重要で、それが真の意味での「対人業務」ということになります。
この講座では、主に薬局で勤務する薬剤師の「対人業務」の中でも、特に重要な「服薬指導と薬歴」「トレーシングレポート」「服薬期間中のフォローアップ」の3点について学び、理解を深めます。学習を通じ、「服薬指導」~「薬歴」~「トレーシングレポート」~「フォローアップ」 の一連の「対人業務」に、自信を持って取り組めるようになり、患者さんと医師、その他の医療・介護スタッフとの連携を深められるようになることを目指します。
「対人業務」の中で特に重要な3点を学習
この講座は、第1部「服薬指導と薬歴」、第2部「トレーシングレポート」、第3部「服薬期間中のフォローアップ」で構成されています。
第1部「服薬指導と薬歴」
この章では、近年、薬局薬剤師に求められている「対物業務から対人業務へ」のシフトチェンジが行えるように、調剤報酬のための服薬指導や薬歴に終始するのではなく、患者のプロブレムにフォーカスし、アセスメントを行い、患者の服薬ケアに寄与できる薬歴を書くためのコツを解説します。
第2部「トレーシングレポート」
この章では、トレーシングレポートのフォーマットや作成例を紹介しながら、書く際のコツや注意点などを紹介します。患者の服薬状況や服薬指導中、フォローアップで得られた気づきを、医師や他の医療・介護スタッフと共有するツールとして、トレーシングレポートは重要です。ここで学んだことを現場で生かしていただきたいと思います。
第3部「服薬期間中のフォローアップ」
この章では、改正薬剤師法・改正薬機法において、患者の服薬期間中のフォローアップが義務化されたのを受け、フォローアップの手順や方法、コツ、注意点などについて実例を用いて学習します。
この講座(テーマ)を通じて学んでいただきたい一番のポイント
超高齢社会を迎える日本にとって、地域包括支援ケアシステムにおける薬局薬剤師の役割は今後ますます重要性が増します。医師を中心とした医療スタッフや、介護スタッフとの多職種連携を取りながら、患者さんの治療だけでなく、QOL向上に寄与できる薬剤師として活躍するため、薬歴、トレーシングレポート、フォローアップのスキルを身につけていただきたいと思います。
お話を伺った先生:
NPO法人 くすりと地域医療を考える会・MEBiUS 代表
船見正範(ふなみまさのり)先生