第6回 「調剤業務は、機械(ロボット)にすべて任せられるのか?」
調剤の機械化は法律的にはどこまで許される?
調剤の機械化は法律的にはどこまで許される?
*出典:「厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究『かかりつけ薬剤師の本質的業務と機能強化のための調査研究』望月正隆(東京理科大学薬学部薬学科)平成28(2016)年度総括研究報告書」(厚生労働科学研究成果データベース閲覧システム
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201605012A)
機械にまかせられる薬剤師の業務は!?
近年は、機械(ロボット)の技術が発達し、調剤業務においても機械の導入が進んでおり、今後さらに進むことが見込まれます。もっとも、調剤にかかる業務には、薬剤師しかできない業務があることはご存知のとおりで、事務員などの無資格者に業務を任せるには限界があります。では、機械であればどのような業務でも任せてもいいのでしょうか。そこで、今回は、機械に任せられる業務について法的な視点から検討してみます。
規定に例外はあるものの、調剤は薬剤師の独占業務
薬剤師法19条には以下のとおり定められています。
(調剤)
第一九条 薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。
一 患者又は現にその看護に当たつている者が特にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合
二 医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第二十二条各号の場合又は歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第二十一条各号の場合
この規定には例外はあるものの、薬剤師以外は「調剤してはならない」としてあり、「調剤」が薬剤師の独占業務であることを示しています。 また、薬剤師が調剤した際の義務もあり、例えば薬剤師法25条の2は以下のとおり定めています。
(情報の提供及び指導)
第二五条の二 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。
その他にも薬剤師の義務はあり、疑義照会義務(薬剤師法24条)、薬袋などの記載の義務(薬剤師法25条)などがあります。
このような義務は、薬剤師が行う必要がありますが、薬袋の記載などは、状況に応じて機械や非薬剤師が一部を行い、最終的には薬剤師が行ったといえる運用にしていることが多いのではないでしょうか。
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