第4回 患者さんやその家族から薬歴開示請求があった場合どう対応する?
患者さんや本人以外からの薬歴の開示請求には法律的な義務が発生するの?
患者さんや本人以外からの薬歴の開示請求には法律的な義務が発生するの?
患者さん本人から薬歴請求された場合どうすればいい?
みなさんの薬局では、患者さんなどから薬歴を見せてほしいとい言われたことはあるでしょうか。薬歴の開示請求に馴染みはないでしょうが、請求されたという話はたまに聞きます。以前、薬歴未記載の問題が起こったときなどには、患者さんが「私の薬歴はきちんと管理されているだろうか?」と不安になり開示請求してきたこともあったようです。また、万が一、調剤過誤などが起こってしまった場合には、過誤の内容を知るために開示請求されることも想定できます。そこで今回は、患者さんなどから薬歴の開示請求があった場合について説明したいと思います。
薬歴は個人情報に含まれる?
そもそも、患者さん本人から薬歴の開示請求があった場合には、開示に応じなければならないのでしょうか。
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)では、次のように定めています。
(開示)
第二十八条 本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの開示を請求することができる。
2 個人情報取扱事業者は、前項の規定による請求を受けたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。ただし、開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
一 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
二 当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
三 他の法令に違反することとなる場合
3 個人情報取扱事業者は、第一項の規定による請求に係る保有個人データの全部又は一部について開示しない旨の決定をしたとき又は当該保有個人データが存在しないときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
4 他の法令の規定により、本人に対し第二項本文に規定する方法に相当する方法により当該本人が識別される保有個人データの全部又は一部を開示することとされている場合には、当該全部又は一部の保有個人データについては、第一項及び第二項の規定は、適用しない。
薬歴は、通常の場合は、この28条1項の「個人データ」にあたると考えられますので、薬局では、患者さんから薬歴を開示してほしいと請求があれば、原則遅滞なく開示しなければなりません。今年の5月30日には、改正された個人情報保護法が施行され、開示については、事業者の義務だけでなく、本人の請求権であることが明確になりました。なお、薬歴には、調剤の記録など患者さんの情報だけでなく、薬剤師の判断や評価を記載している部分もあるため二面性を持っています。しかし、一般的には、薬歴全体が患者さんの個人情報と考えられているため、二面性があることを理由に開示しないことはできないとされています。
また、個人情報保護法改正前は、5000人以下の個人しか扱わない事業者は、個人情報保護法の規制の対象ではありませんでしたが、改正後は、5000人という数に関係なく薬局はすべて個人情報保護法の規制の対象になります。
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