肺癌術後補助療法でテセントリクが推奨されるケースは?専門医が解説

医師から寄せられた質問に専門医が回答する人気動画「濱路政嗣のお悩み相談 by Docpedia」を記事でも読めるようにしました。今回のテーマは「肺癌術後補助療法におけるテセントリクの使用」についてです。臨床における判断基準を専門医が解説します。
回答する医師 濱路政嗣
奈良県立医科大学附属病院呼吸器外科
日本外科学会専門医 指導医
日本胸部外科学会 評議委員
日本呼吸器外科学会専門医 評議員
日本呼吸器外科学会ロボット支援手術プロクター(手術指導医)
日本呼吸器外科学会 胸腔鏡安全技術認定医
ECFMG certification(米国医師免許)
米国胸部外科学会会員
肺癌術後補助療法におけるテセントリクの使用は?
今回の質問は「肺癌の術後補助療法としてテセントリク(アテゾリズマブ)が認められてしばらく経ちますが、使用に関してはすべての患者に推奨されるわけではないのではと考えています。実際にはどのような議論がなされているのでしょうか?」」です。
まずは、ガイドラインにおけるテセントリクの位置付けを確認していきましょう。
ガイドライン上でのテセントリクの推奨
2024年度の肺癌診療ガイドラインでは、術後補助療法におけるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ)の使用に関して、以下のように推奨されています。
【肺癌診療ガイドラインにおける推奨(2024年版)】
- 術後病理病気ⅡA~ⅢB期(第9版)完全切除例、腫瘍細胞におけるPD-L1発現50%以上例に対して、シスプラチン併用化学療法後に、アテゾリズマブ単剤療法の追加を行うよう弱く推奨する。(推奨の強さ:2、エビデンスの強さ:C)
- 術後病理病気ⅡA~ⅢB期(第9版)完全切除例、腫瘍細胞におけるPD-L1発現1%以上50%未満例に対して、シスプラチン併用化学療法後にアテゾリズマブ単剤療法の追加を行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない。
臨床でテセントリクの使用はどのように判断するべきか
ガイドラインの内容を踏まえて、呼吸器外科専門医の濱路政嗣先生は、臨床では以下のように対応されています。