爪白癬の治療、外用と内服どちらを優先?治療の課題とガイドラインでの推奨
寄せられた質問に専門医が回答する人気動画「谷口彰治のお悩み相談 by Docpedia」を、記事でも読めるようにしました。
今回のテーマは「爪白癬治療、外用と内服どちらを優先?」です。実臨床に役立つ知識が満載の実践的な内容となっています。
回答する医師 谷口彰治
大阪中央病院 皮膚・形成外科
医療法人財団医親会OBPクリニック 皮膚科
日本皮膚科学会専門医
Q. 爪白癬の治療、外用と内服どちらを優先すべき?
今回の質問は以下の通りです。
爪白癬の治療は外用と内服のどちらを優先するべきでしょうか?中等度以上の爪白癬は外用でコントロールが難しい印象がありますので、基本的には内服を優先するべきなのでしょうか?
この質問を軸に、爪白癬の診断と治療の問題点を探っていきます。
爪白癬の主な分類
爪白癬は、爪甲、爪床、またはその両方に生じる真菌感染症であり、罹患部位により以下のような病型に分類されます。
- 遠位側縁爪甲下真菌症(DLSO)
- 表在性白色爪真菌症(SWO)
- 近位爪甲下爪真菌症(PSO)
- 全異栄養性爪真菌症(TDO)
最も多いのは遠位側縁爪甲下真菌症(DLSO)です。
爪の先端や側縁から白癬菌が侵入し、根本に向かって爪が白く濁った色に変色していくタイプです。
現在の爪白癬治療における課題
現在の爪白癬治療には、「外用薬への過度な依存」と「診断の不正確性」という2つの課題が挙げられます。
本来、爪白癬も他の疾患と同様に、正確な診断に基づいて治療方針が決定されます。
実際、表在性白色爪真菌症(SWO)以外の病型では、経口抗真菌薬の方が優れた効果を示すとされています。
しかし実臨床では、診断に十分な確信が持てない場合、まず外用薬で様子をみるというケースは珍しくありません。
爪白癬は、爪甲鉤彎症などとの鑑別が難しく、皮膚科医であっても視診のみでは約30%に誤診があるとされています。
確定診断を行わないまま経口薬を処方するのは心理的ハードルが高く、結果として外用薬に依存しやすくなっているのです。
また、外用薬が多く処方されている一方で、治療継続率(アドヒアランス)の低さにも課題があります。
外用薬では、投与開始1ヶ月での脱落は4割強です。それに対し、経口薬では3ヶ月時点でも6割が継続するとされています。
爪白癬の治療推奨度
「日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019」では、爪白癬の治療について完全治癒率などを踏まえ、以下のように推奨されています。