改善しない肩関節周囲炎、次の一手は?治療の進め方を専門医が解説
寄せられた質問に専門医が回答する人気動画「三木健司のお悩み相談 by Docpedia」を、記事でも読めるようにしました。
今回のテーマは「改善しない肩関節周囲炎、次の一手は?」です。実臨床に役立つ知識が満載の実践的な内容となっています。
回答する医師 三木健司
大阪行岡医療大学 医療学部 特別教授
早石病院 疼痛医療センター センター長
日本整形外科学会 整形外科専門医 認定リウマチ医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医
運動器の健康・日本協会 運動器疼痛対策事業運営委員
日本いたみ財団 研究委員会委員
Best Doctors in Japan™ 2010-2013、2014-2015、2016-2025
(難治性疼痛(CRPS,線維筋痛症)、難治性骨折、偽関節の専門家として)
日本疼痛学会 理事
日本運動器疼痛学会 監事
Q.改善しない肩関節周囲炎、次の一手は?
今回の質問は以下の通りです。
肩関節の挙上障害、痛み等の症状で整形外科で肩関節周囲炎との診断で理学療法中の60代の患者です。
約2か月経過しましたが、症状の改善が思わしくありません。診断の再診、治療法の変更等につき、ご教示お願いいたします。
肩関節周囲炎とは
肩関節周囲炎(scapulohumeral periarthritis)には、明確に確立された定義はありません。
狭義では「肩関節に疼痛と可動域制限があるが、起因となる明らかな疾患がない病態」を総称したものとされています。
また、肩関節周囲炎は以下の用語とほぼ同義語として使用されています。
- 五十肩(狭義)
- 癒着性肩関節包炎
- 凍結肩
海外では、凍結肩について「自動・他動運動ともに機能的に制限され、単純X線で骨萎縮像および石灰化以外に異常を認めない疾患」と定義されることもあります(American Shoulder and Elbow Surgery学会のアンケート調査)1)。
1)高岸憲二:ガイドライン外来診療2012:P.235
病気と症状
肩関節周囲炎は、一般的に急性期から始まり、その後慢性期を経て、時間をかけて回復期へと移行します。
急性期は多くの場合2ヶ月程度であり、その後も回復までに6ヶ月以上かかることも少なくありません。
| 病期 | 主症状 |
| 急性期 (疼痛性痙縮期:freezing phase) |
・強い疼痛があり、夜間痛が強い2)3) ・反射性筋性硬直2)3) ・睡眠障害、精神的に不安定 |
| 慢性期 (拘縮期:frozen phase) |
・疼痛は徐々に改善 ・可動域制限が目立つ ・可動範囲最終域で疼痛 |
| 回復期 (寛解期:thawing phase) |
・可動域制限は改善 ・半数に軽い痛みやこわばり4) (再発の場合、腱板断裂の可能性を考慮)5) |
2)大野弥ほか:痛みと臨床1:931-936,2001
3)三笠元彦:骨・関節・靭帯12:1213-1215, 1999
4)Shaffer B., et al.:J.Bone Joint Sung. Am. 74:738-746, 1992
5)高岸憲二:日整会誌 73:479-488, 1999
治療について
肩関節周囲炎の治療の主目的は、疼痛の軽減と可動域制限の改善です。
治療は病期や主症状に応じて選択され、急性期と慢性期で方針が異なります。
| 治療の目的 | 具体的な治療法 | |
| 急 性 期 |
3ヶ月くらいまでは 除痛が主目的。 慢性化させない ように注意する。 |
【運動療法】 ・拘縮を最小限にとどめるために、振り子運動など 緩和なものを実施する。 ・ストレッチは、伸張反射を招かないようにゆっくりと 持続的に。疼痛が強いときは避ける。 【薬物療法】 ・NSAIDs、超急性期はステロイド注入 |
| 慢 性 期 |
拘縮の除去が 主目的。 生活指導と運動療 法 が治療の中心。 |
【運動療法】 ・振り子運動、滑車運動、ストレッチ体操により肩関節、 肩甲胸部の可動性の改善をはかる。 ・振り子運動ののち、挙上、外旋、内旋を行うよう 指導する。 ・他動的外転は疼痛を悪化させることがあるので注意。 屈曲および下垂位での外旋を改善させてから行うよう 指示する。 |
他動的な運動は、基本的には理学療法士など専門知識を有する医療従事者の指導のもとで行うことが重要です。
参照:疼痛ナビ 痛みを訴える疾患 肩関節周囲炎 三木健司