デエビゴの血中濃度半減期の長さはどう考える?翌日に眠気が残りづらい理由
寄せられた質問に専門医が回答する人気動画「千葉悠平のお悩み相談 by Docpedia」を、記事でも読めるようにしました。
今回のテーマは「デエビゴの血中濃度半減期の考え方と注意点」です。実臨床に役立つ知識が満載の実践的な内容となっています。
回答する医師 千葉悠平
積愛会 横浜舞岡病院医師・医学博士
医学博士
精神保健指定医
日本精神神経学会専門医 指導医
日本認知症学会専門医 指導医
経済産業大臣登録中小企業診断士
YUAD 代表
Q.デエビゴの血中濃度半減期の長さはどう考えればよい?
今回の質問は以下の通りです。
デエビゴの血中濃度の半減期は40-50時間と、とても長いです。 たしかに翌朝に眠気が残る方も一部いますが、特に眠気を残さない方も多いです。
しかし6時間後あたりだと、ほとんど血中濃度は低下していないと思うのですが、なぜこの血中濃度で問題ないのでしょうか?
デエビゴの添付文書をみると、半減期が40〜50時間と書かれているため、疑問を持つ方もいるかと思います。
今回は、添付文書や実際のデータを用いて解説していきます。
また、デエビゴ(レンボレキサント)だけではなく、他のオレキシン受容体拮抗薬についてもあわせてみていきましょう。
デエビゴの添付文書より
以下の図は、デエビゴの添付文書に記載されている、デエビゴ10mgを反復投与した際の投与後14日目の血中濃度の推移です。
服用後、血中濃度が急速に上昇し、その後は比較的速やかに低下していくことがわかります。
引用元:健康成人に本剤10mgを反復投与したときの投与後14日目の血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)/デエビゴ2.5mg・5mg・10mg添付文書 2025年12月改訂(第4版)
さらに、添付文書には薬物動態パラメータも記載されています。
引用元:本剤を反復投与したときの薬物動態パラメータ/デエビゴ2.5mg・5mg・10mg添付文書 2025年12月改訂(第4版)
14日間投与の薬物動態パラメータをみると、半減期は次のように示されています。
- 2.5mg投与時:50.6時間
- 10mg投与時:47.4時間
これだけみると「かなり長時間作用する薬」という印象を受けます。
しかし、実際の血中濃度推移のグラフ(図1)をみると、ピークは服用後1.5時間付近にあり、半分になる時間はおおよそ6時間前後ではないかと思われます。
デエビゴの半減期が長くなる理由は「二相性」の血中濃度推移
デエビゴの半減期がこれほど長くなってしまう理由は、血中濃度の低下が「ニ相性」を示すからといわれています。
つまり、初期に速やかに低下し、その後もう一段階緩やかに低下するという形です。
半減期は、この後半のゆるやかな消失相も含めて計算されるため、数値としては40〜50時間という長い値になるということです。
添付文書上でも、デエビゴの血中濃度に関しては以下のように記載されています。
16.1 血中濃度
レンボレキサントのCmax及びAUC(0-24h)は投与量の増加に伴い増加した。本剤10mg投与時の投与後14日目におけるCmaxは70.2ng/mLであり、投与後3時間及び8時間の血漿中レンボレキサント濃度はそれぞれ31.4及び17.9ng/mLであった。
出典:デエビゴ2.5mg・5mg・10mg添付文書 2025年12月改訂(第4版)
デエビゴの血中濃度は3時間後にはすでに半分以下となっており、8時間後には4分の1程度まで低下していることが示されています。
そのため、添付文書上では半減期が40〜50時間と非常に長く記載されている一方で、実際の血中濃度は早い段階で大きく低下していることがわかります。
ベルソムラの添付文書より
ベルソムラ(スボレキサント)についても、添付文書上で示されている薬物動態パラメータを確認します。
以下の表で半減期をみてみると、10mgでは約12.1時間、20mgでは約12.5時間、40mgでは約12.6時間です。ベルソムラの半減期は、用量にかかわらず半日程度と認識しておくとよいでしょう。
引用元:外国人健康成人に本剤10~40mgを空腹時に単回経口投与後のスボレキサントの血漿中薬物動態パラメータ/ベルソムラ錠10mg・15mg・20mg添付文書 2026年3月改訂(第5版)
クービビックの添付文書より
次はクービビック(ダリドレキサント)についてです。
引用元:1日1回投与時の1日目及び4日目の血漿中ダリドレレキサント濃度推移(平均値±標準偏差)/クービビック錠25mg・50mg添付文書 2025年12月改訂(第4版)
引用元:投与2日目及び3日目は投与直前(トラフ)の血漿中濃度のみ測定したダリドレキサント薬物動態パラメータ(非高齢者・高齢者)/クービビック錠25mg・50mg添付文書 2025年12月改訂(第4版)
クービビックの半減期は、25mgの4日目で6.42時間、50mgで4日目で6.6時間となっています。
高齢者では半減期がやや延長することが示されており、ふらつきや転倒などには注意が必要です。
出典:クービビック錠25mg・50mg添付文書 2025年12月改訂(第4版)
3剤比較の論文の紹介
最後に、デエビゴ(レンボレキサント)、ベルソムラ(スボレキサント)、クービビック(ダリドレキサント)の3剤を比較した論文について紹介します。
それぞれの半減期について、以下のように比較されています。