不眠症治療薬「デエビゴ」の作用機序
薬の作用機序を理解していると、患者さんへの服薬指導の際にしっかりと説明することができます。しかし、お薬の中には、薬の専門家である薬剤師さんでも作用機序が複雑と感じるものがあります。
そんな薬をピックアップして、体内で起こることをキャラクター化して説明します。
今回は不眠症治療薬「デエビゴ」について解説いたします!
充実した一日を過ごした青白さん。
いつものように羊を数えながら眠りにつこうとしますが…
眠りを司るものは?
結局全然眠れず、ぐったりとしてしまった青白さん。
不眠症と診断され、デエビゴを処方されました。
そもそもなぜ眠れなくなってしまったのでしょうか。
青白さんの脳内を見てみましょう。
覚醒を促すオレキシン
朝が来ると、オレキシンが分泌されます。
オレキシンは体の覚醒を促すホルモンです。
これが睡眠とどのように関係しているのでしょうか。
睡眠中枢と覚醒中枢のバランス
睡眠は、眠気をもたらす睡眠中枢と、体が目覚めるように働く覚醒中枢のバランスで制御されています。
オレキシンは、覚醒中枢を刺激することで、覚醒中枢の活性を上げる働きをします。
日中はオレキシンがたくさん分泌されるため、覚醒中枢の活性が睡眠中枢を上回り、体を覚醒状態へと導きます。
一方夜になると、オレキシンの分泌が抑制され、昼間とは逆に睡眠中枢の働きが強くなります。
そうすると体は眠気を感じてすみやかに眠りにつくのです。
では、不眠症ではどうなっているのでしょう。
オレキシンが働きすぎると、睡眠中枢が機能しない
昼夜を問わずオレキシンが働いてしまっています。
こうなると、常に覚醒中枢の活性が上がり、睡眠中枢とのバランスがおかしくなってしまいます。