タイトル:抗がん剤「ソトラシブ」の作用機序
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薬の作用機序を理解していると、患者さんへの服薬指導の際にしっかりと説明することができます。しかし、お薬の中には、薬の専門家である薬剤師さんでも作用機序が複雑と感じるものがあります。
そんな薬をピックアップして、体内で起こることをキャラクター化して説明します。
今回は抗がん剤「ソトラシブ」について解説いたします!
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今日はおくすりさんがパーソナリティーをつとめる、ラジオ番組の放送です。
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おくすりさんのラジオでは、どんなトピックが話題になるのでしょうか?
実際に目で見て作用機序を学ぶ。それがおくすりさん流。
今回はリスナーさんのハガキで、抗がん剤のソトラシブに決まりました。
※ソトラシブはがん化学療法後に増悪した、KRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに適応されます。
KRasは細胞増殖の調節役
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おくすりさんが細胞の中に入っていきました。
細胞の中にはKRasという、シグナル伝達を担うRasタンパク質があります。細胞の増殖を調節するスイッチとして、シグナルのON/OFFを切り替えています。
今はGDPと結合している不活性型のため、シグナルは流れていないようです。しかし配達屋さんのGEFがGDPをGTPと交換すると…?
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活性化KRasは細胞増殖のシグナルを送る
GTPを受け取ったKRasさんは活性化され、元気よく下流にシグナルが流れて行きました。
すると最終的に細胞核までシグナルが伝わり、細胞増殖が行われます。
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細胞増殖が停止するメカニズム
しばらくシグナルを流していると、今度はGAPさんがやって来ました。シグナルを止めるのが目的です。
GAPさんがKRasさんに結合すると、GTPは加水分解されてGDPになり、KRasさんは再び不活性型になります。シグナル伝達も無事止まり、細胞増殖も停止されました。
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変異したKRas
ところがRAS遺伝子の変異によってKRasさんも変異してしまうと、KRasさんは必要がないときも細胞増殖のシグナルを出したままになります。
GAPさんは変異したKRasさんに結合できず、KRasさんは活性型のまま。誰もシグナル伝達を止められません。
ソトラシブの登場
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