薬剤師必見!小児における抗ヒスタミン薬の安全な選び方と使い方とは?

- 抗ヒスタミン薬・第一世代と第二世代の特徴
- 熱性痙攣の既往歴がある小児へは鎮静作用がある抗ヒスタミン薬は非推奨
- 生活に支障がでる眠気の場合は、非鎮静性の抗ヒスタミン薬への変更を検討
- 年齢で用量だけでなく用法が変わる薬剤には特に注意が必要
- 抗ヒスタミン薬の医療用医薬品と市販薬では、同じ成分でも適用年齢が異なる場合がある
小児においては、鼻水の治療に抗ヒスタミン薬が用いられます。この薬は、風邪の症状の緩和だけでなく、鼻水が中耳炎の原因となることを防ぐためにも重要です。また、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などの皮膚疾患による痒みに対しても、抗ヒスタミン薬が有効です。
このように、抗ヒスタミン薬は小児に幅広く用いられています。それゆえに、正しい知識をもって、それぞれの患者さんに適した服薬指導を行うことが重要です。このコラムでは、小児患者に抗ヒスタミン薬を処方する際のポイントについてお伝えします。
抗ヒスタミン薬の作用機序をおさらいしよう
抗ヒスタミン薬は、その名の通り、生理活性物質であるヒスタミンの作用を抑える薬です。
ヒスタミンは、アミノ酸の一種であるヒスチジンから合成され、H1、H2、H3、H4の4種類の受容体に結合することで、その効果を発揮します。
この中で、H1受容体に結合することでアレルギー反応が引き起こされます。今回説明する抗ヒスタミン薬は、主にH1受容体への結合を阻害することでヒスタミンの働きを抑える薬剤です。
抗ヒスタミン薬は、第一世代と第二世代に大きく分けられます。
第一世代の抗ヒスタミン薬は、血液脳関門を通過しやすいため中枢神経系に影響を及ぼしやすく、眠気を引き起こしやすいという特徴があります。
一方、第二世代の抗ヒスタミン薬は、血液脳関門を通過しにくいため、中枢神経系への影響が比較的少なく、ヒスタミンの放出自体を抑えるものもあります。
小児と抗ヒスタミン薬の関係。気を付けるべき副作用とは?

抗ヒスタミン薬の副作用として最も広く知られているのは眠気です。先に述べたように、特に第一世代の抗ヒスタミン薬は中枢神経系に作用しやすく、眠気を引き起こしやすいという特徴があります。
小児においては、眠気に加えて痙攣を誘発するリスクも存在するため、特別な注意が必要です。
具体的には、熱性痙攣の既往歴がある小児が発熱時に鎮静作用を有する抗ヒスタミン薬を服用すると、熱性痙攣の持続時間が延長するという報告があります。このため、そのような小児への鎮静性抗ヒスタミン薬の投与は推奨されていません。
第一世代の抗ヒスタミン薬には鎮静作用があり、痙攣の閾値を下げる可能性があります。そのため、てんかんを有する子どもが服用すると発作が起こりやすくなることが指摘されています。