コデイン類・モンテルカスト・ツロブテロール:小児咳止め薬の服薬指導ガイド

- 「モンテルカスト」の剤形選択は慎重に
- 保護者への服薬指導で特に注意が必要な薬剤は「アスベリン」「モンテルカストチュアブル錠」「ツロブテロールテープ」
- 民間療法として「はちみつ」を使用する場合に厳守しなければならないこと
小児の咳止め薬では、年齢に応じた剤形選択、副作用モニタリング、保護者への適切な服薬指導など、薬剤師の専門性が求められる場面が多岐にわたります。本稿では、日常業務で活用できる実践的なポイントを整理し、小児の安全で効果的な薬物療法を支援するための知識をお伝えします。
小児の咳止め薬は麻薬性と非麻薬性の2つに分類される
脳の咳中枢に作用して咳を抑える薬は、麻薬性と非麻薬性の2つに分類されます。
麻薬性鎮咳薬(コデイン類)は強力な咳止め効果を持つ薬剤です。代表的な成分にはコデインリン酸塩水和物やジヒドロコデインリン酸塩があります。
しかし、これらの薬剤には呼吸抑制などの重大な副作用リスクがあるため、2019年からは12歳未満の小児への使用が日本で禁止されています。
非麻薬性鎮咳薬は延髄にある咳中枢に作用して、咳を抑えます。中でもチペピジンヒベンズ酸塩(アスベリン)は加えて、気管支から分泌物を増やし、気道の表面にある線毛の動きを活発にすることで、痰を出しやすくする作用も持っています。
また、喘息などの症状に対して、ロイコトリエン拮抗薬の「モンテルカスト(キプレス、シングレア)」や「プランルカスト(オノン)」、β2刺激薬の「ツロブテロール(ホクナリン)」が用いられることもあります。
ロイコトリエン拮抗薬は、ロイコトリエン受容体と拮抗することで、気道に生じるさまざまな病的反応を包括的に抑制する薬剤です。まず気道収縮反応が抑制されます。
同時に気道の血管透過性亢進も抑えられるため、血管からの体液漏出による気道粘膜の浮腫が軽減されます。さらに気道過敏性の亢進も抑制するため、外的刺激に対する気道の過剰な反応を防ぐことができます。
β2刺激薬の「ツロブテロール」は気管支平滑筋のβ2受容体に作用することで気管を広げる効果があります。
年齢別に剤型が変わる「モンテルカスト」について
年齢に合わせて剤型が変わる「抗ロイコトリエン拮抗薬」について説明します。
ロイコトリエン拮抗薬の「モンテルカスト」は、年齢により剤形と用量が異なります。1歳以上6歳未満には4mgの細粒を、6歳以上の小児には5mgのチュアブル錠を用います。