小児坐薬「カロナール坐剤」「ナウゼリン坐剤(ドンペリドン)」の服薬指導

- 小児坐薬には親油性基剤と親水性基剤があり、特徴や扱い方が異なる
- 服薬指導で保護者に伝えるべき、小児坐薬の上手な切り方と入れ方
- 「カロナール坐剤」と「ナウゼリン坐剤(ドンペリドン)」などを併用するときの推奨間隔時間
小児医療において、坐薬は経口投与が困難な状況での重要な代替手段として位置づけられます。しかし、坐薬の適切な使用には基剤の特性理解が不可欠であり、薬物動態や保管条件に大きく影響します。今回は、薬剤師として押さえるべき小児坐薬の特性から、適切な分割方法、使用方法、服薬指導のポイントを包括的に解説します。
小児の坐薬「カロナール坐剤」と「ナウゼリン坐剤(ドンペリドン)」の特徴
小児医療において、経口投与が困難な状況は日常的に遭遇する問題です。坐薬は、このような状況下での貴重な投与ルートとなります。特に、胃腸炎や発熱に伴う嘔吐症状がある小児では、経口薬の投与が実質的に不可能となります。
服薬直後に嘔吐した場合、薬物の吸収量を正確に把握することは困難で、追加投与の判断に迷うケースも少なくありません。坐薬であれば、消化管の状態に関係なく確実な薬物投与が可能となり、治療の継続性を保つことができます。
坐薬には親油性基剤と親水性基剤があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。親油性基剤坐薬の代表例として、「カロナール坐剤(アセトアミノフェン)」があります。このタイプの坐薬は体温により基剤が溶融するという機序を持ちます。
一方で、親水性基剤坐薬の代表例には「ナウゼリン坐剤(ドンペリドン)」や「ダイアップ坐剤(ジアゼパム)」があります。これらの坐薬は直腸内の水分を吸収して溶解するという機序を持ちます。
小児坐薬の服薬指導のポイント。保護者に必ず伝えるべきこと
カロナール坐薬は患者の体重に応じて用量調整が必要です。1回10~15mg/kgの投与量が基準となりますが、「カロナール坐薬」の規格(50mg、100mg、200mg、400mg)では過量投与となる場合があります。このため、使用前に坐薬を1/2や2/3に分割して使用することが一般的です。
小児坐薬の上手な切り方
坐薬の切り方についても初めての場合は説明が必要です。坐薬の包装紙を開ける前に、坐薬の尖った先端部分から使用する量を考慮して、はさみやカッターで斜めに切り込みを入れます。切る場所の目安をあらかじめ油性ペンで線を書いておくと、患者家族も使いやすいです。
坐薬の基部(平らな部分)には薬剤が含まれていない空隙部分があるため、この部分を避けて印をつけることが重要です。また、坐薬が冷たいと切りにくいため、坐薬を室温に戻したり手で温めたりするか、はさみやカッターをお湯で温めると切りやすくなります。