「父がくれたロレックス」 ―受験中、突如時計が動きを止め…
「M3メンバーズメディア」では医師会員から寄せられた記事の一部をご紹介します。今回は大学受験・国家試験にまつわる「受験の思い出」がテーマです。薬剤師の先生方も皆さんが通った、夢への道。合格発表の季節には毎年懐かしく想い返される方もいらっしゃることでしょう。悲喜こもごものエピソードを全4回でお届けします。普段とは違うドクターの素顔が垣間見られるかもしれません。
「M3メンバーズメディア」では医師会員から寄せられた記事の一部をご紹介します。今回は大学受験・国家試験にまつわる「受験の思い出」がテーマです。薬剤師の先生方も皆さんが通った、夢への道。合格発表の季節には毎年懐かしく想い返される方もいらっしゃることでしょう。悲喜こもごものエピソードを全4回でお届けします。普段とは違うドクターの素顔が垣間見られるかもしれません。
「父がくれたロレックス」
現役の時に当時のA・B日程いずれも不合格となった私は、予備校で1年間浪人生活を送りました。その年の秋、韓国の学会に参加した親父が、当時はまだ持ち込み規制が甘かった偽ブランドの「ロレックス」をお土産に買ってきてくれました。だいたい合皮の安いバンドのついた、しかもクオーツのロレックスなんてあるわけないし、私も洒落と承知で愛用していました。
突如息を引き取ったロレックス(偽)!
一浪の後同じ2校を受けることになったのですが、第一志望のA日程、1時間目の英語の試験のとき、それは起こりました。最後まで一気に解き終え、「結構時間食ったかも」と思いつつ腕時計をチラ見したら…
「10分しか経ってない!!」
そうです。私は大事な入試に、こともあろうか偽ロレックスをつけてきてしまったのです。試験開始まであんなに元気に動いていたそ奴は、開始10分後にその短い生涯を終えたのです…
「何分経ったかも、今何時かもわからん!!」
一瞬メチャメチャ慌てましたが、何とか気持ちを落ち着け、勇気を振り絞って挙手。試験監督に事情を話して時間を教えてもらいました。その後もその監督さんは気を遣ってくれ、定期的に腕時計を見せてくれました。
代わりにくれた愛用の時計
家に帰って親父にこのことを話すと「申し訳なかった」とひたすら謝られ、「これお前にやるから、次の試験の時持っていくといいよ」と愛用のグランドセイコーの、いかにも高そうな腕時計をくれました。
このハプニングのおかげかリラックスすることができ、無事第一志望に合格していました。そう言えば国試に合格した時もモーリスラクロアの自動巻きをプレゼントしてくれた親父、腕時計がトラウマになっていたかもしれませんね。