漢方薬剤師が500人超のオンラインサロンオーナーになれた理由

働き方の多様化が進む現代。当シリーズでは、薬剤師のスキルを生かしながら、「自分のやりたいこと、すきなこと」を通じて医療に貢献している薬剤師をご紹介。「マイスタイル」をつらぬく薬剤師の魅力をお伝えしていきます。
きっかけは集客のためのSNS発信
漢方薬剤師として薬局を経営するかたわら、会員数580人(2020年5月時点)の人気オンラインサロンのオーナーを務める杉山卓也先生。
Twitterやセミナーを通じて、一般の人にもわかりやすく中医学の情報を日々発信しています。
2020年3月には、クラウドファンディングで募った支援金によって中医学の私塾「たまり中医学養生学院」を開院するなど、ますます活躍の場を広げています。そんな杉山先生が中医学のオンラインサロンをはじめたきっかけは何だったのでしょうか?
お話を伺った方(プロフィール)

杉山 卓也 さん
薬剤師。神奈川県・座間市にある漢方薬局「スギヤマ薬局」店主。オンラインサロン「タクヤ先生の中医学オンラインサロン」を運営する傍ら、漢方について学ぶ「たまり中医学養生学院」の運営も担う。Twitter、Facebook、YouTubeなどあらゆるメディアで漢方の楽しさについて発信を続けている。

Twitterのフォロワー数は3万6000人(2020年5月時点)とうかがいました。どのようなきっかけで中医学や漢方に関する情報を発信するようになったのでしょうか?
両親の営む神奈川県座間市の漢方薬局を私が継いでしばらく経ったころ、近隣のクリニックの医師が亡くなる不幸がありました。その影響で処方箋枚数が大きく減ってしまい、集客・集患が喫緊の課題になったのです。
当初はどうやってお客さんを呼んだらいいか分からず、試行錯誤を繰り返しました。そのなかで、当時は世の中へSNSの影響が広がりつつあったため「この波に乗ろう!」とまずはFacebookやTwitterなどで中医学の情報発信を始めたのがきっかけです。
なるほど。自身の漢方薬局にお客さんを呼びたかったことが、はじまりだったのですね。
はい。SNSの発信がきっかけで、地域での知名度も上がり、薬局の患者数も増えました。
また、集客のために始めた情報発信でしたが、継続的に発信していくなかでいろいろなニーズが見えてきました。中医学や漢方は西洋医学と比べるとニッチな分野ですから、一般の方はもちろん、薬剤師でも体系的に勉強したことがない方もいらっしゃいます。
「中医学を自分でも学んでみたい」「生徒になってみたい」という声が数多く寄せられるなかで、私にも何かできることはないかと考えるようになりました。
中医学オンラインサロンは立ち上げから予想を超える参加者
「中医学を学びたい」というニーズの大きさを知り、オンラインサロン開設につながっていったのでしょうか?

SNSでの反響もありますが、SNS開始前から実施していたセミナーで、手ごたえを感じていたことも理由の一つです。神奈川県・座間市の市営スペースをお借りして、漢方や美容をテーマにしたセミナーを定期開催し、現在も行っています。始めた当初は数名の参加者でしたが現在は毎月60名くらいの参加をいただけるようになっています。その後は場所を新宿に移し、月4回開催にしていましたが、多い時期には年間100本以上ものセミナーを開催していました。そのうち、SNSで情報を受け取ってくれる人たちの「中医学・漢方についてもっと深く学びたい」というニーズに応えるには、同じ目的をもったコミュニティをつくる必要があるのではないかと考えるようになりました。
しかし、実現の仕方がわからず困っていたところ、知人から「オンラインサロン」の存在を教えてもらいました。「オンラインサロン」なんて聞いたこともなかったので、早速いくつか著名人のサロンに入会してみたんです。
自分で体験したところ「これは使える」と確信しました。先駆者のやり方を参考にしながら自分なりの中医学のオンラインサロンの構想を練っていきました。最初は最低ラインの30人くらいという軽い気持ちで始めましたが、SNSで告知をしたところ、230人もの人が集まりました。
いきなり230人とはすごいですね。
2018年11月のスタートから、おかげさまで少しずつメンバーは増えており、2020年5月で580人ほどの規模になっています。
サロンでは、どのようなサービスを提供しているのですか。
中医学の基礎について学べるサロン限定の動画や記事を提供したり、中医学の専門家とオンラインイベントを開催したりといったことがメインです。
オンラインが中心ですが、オフラインでのイベントも開催しています。
オンラインサロンの運営で大変な点ってなんでしょうか。
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