薬剤師の年収は高い？「むしろ高すぎる」と言われる理由も徹底検証

薬剤師というと、一般的には「年収が高い」というイメージがあります。
また、ドラッグストアでのパート募集をみると、一般の時給に比べて薬剤師の時給は2倍以上高いこともあり、「薬剤師の時給は高すぎなのでは」などと言われることもあるかもしれません。
一方で、実際に働いてみると思ったより年収が低かった、という声も聞きます。

ここでは、薬剤師の年収は高いのかを、さまざまな角度から検証していきます。併せて、年収をよりアップさせる方法についても考えます。

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薬剤師の年収は高い？

結論からいうと、薬剤師の年収は一般に比べると十分高い水準にあります。

ただ、同じ薬剤師でも、働き方や働く場所によって年収には違いがあります。
ここからは、薬剤師の年収の違いについて、ランキングも交えながら詳しくみていきましょう。

【業種別】薬剤師の年収ランキング

全国どこでも求人のある薬剤師の勤務先には、調剤薬局、ドラッグストア、病院、製薬会社などがあります。勤務先によって、平均年収にどのくらい違いがあるのでしょうか。
ここからは、実際に働いている人の多い、調剤薬局、ドラッグストア、病院についてみていきます。

薬キャリエージェントの調査によると、薬剤師の業種別ランキングは以下のようになっています。

トップはドラッグストア、次いで調剤薬局となっています。

病院は、調剤だけでなく入院患者さんのケアや専門的な薬剤を扱うこともあり、責任もより重いといえますが、人気のある職場のため、年収は最も低くなっています。

もし、年収アップを考えるなら、調剤を併設したドラッグストアで働くのが昇進の可能性も高く、将来性があるといえるかもしれません。

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【都道府県別】薬剤師の年収ランキング

次に、都道府県によって平均年収に違いがあるのかをみていきましょう。
都道府県別のランキングは以下のようになっています。

※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和４年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出

この表をみると、1位の宮崎県と47位の三重県の間には約200万円の違いがあることがわかります。
このように、薬剤師として同じように働いていても、地域によって年収にはかなりの差があるのが現状です。

そして、薬剤師の年収の傾向の特徴は、東京や大阪のような大都市よりも他の都道府県のほうが上位に入っていることです。
このランキングにおける都道府県の順位は年によって変化しますが、大都市よりも地方のほうが給与が高いという傾向は一貫してみられます。

一般的な職業では、東京や大阪のような大都市のほうが、大企業が多かったり、仕事そのものが多かったりして、高賃金です。
たとえば令和5年度の最低賃金をみると、宮崎県は897円、熊本県は898円であるのに対して、東京都が1113円と、東京が突出して高くなっています。

※地域別最低賃金の全国一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html

それに反して地方の薬剤師の年収が高い理由としては、地方では薬剤師の数そのものが少ないために、採用するためには賃金を高くしなければならないことがあります。
へき地や離島をはじめとする人手不足の地方では、非常に高い賃金に加えて、住居費や引越し費用も不要という募集もみられます。

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薬剤師の年収は他の職業と比べると高い？

薬剤師の年収は、働く業種や地域によって差があることがわかりました。
では、薬剤師以外の職業と比べると、高いといえるのでしょうか。

一般企業の年収との比較

次の表は、厚生労働省のデータをもとに、一般労働者と薬剤師の年収を比べたものです。

※一般労働者の平均年収は、厚生労働省「付表２ 一般労働者の性、雇用形態別賃金及び雇用形態間賃金格差の推移／令和４年賃金構造基本統計調査の概況」より、男女計の正社員・正職員の賃金に12を掛けた数字を平均年収としている

一般企業については、実際には年収1000万円を越えるような高収入の人もいますが、平均すると312万円という金額になります。このデータからは、低年収の人の割合が高いことがうかがわれます。とくに女性は259万円という低い金額になっています。これは最低賃金で働いた金額にボーナスをプラスした金額と大きく変わりません。

それと比較すると、薬剤師として働いている限り、最低賃金のような低い給与に抑えられるということはありません。医療の専門職なので、普通に働いていれば年収500万円は確保できることがわかります。これが「薬剤師の給与は高すぎる」などという声が聞こえてくる理由だといえるかもしれません。

特に女性の場合は、薬剤師の年収は540万円であり、女性の一般労働者の2倍の年収となっています。女性にとって、薬剤師はやはり高年収が見込める、資格をとって働くかいのある職業といえるでしょう。

他の医療従事者との比較

次に、おなじ専門職である他の医療従事者と比べて薬剤師の年収はどのくらいの水準にあるのかをみていきましょう。

※厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和４年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出

医療従事者のなかでも、やはり医師の年収は高く、男性も女性も1000万円を越えています。続く歯科医師も、男女の差なく高年収だといえます。

それに比べると、薬剤師の年収は少し低くなっています。
大学は、医師も薬剤師も高い学費を払って同じように6年間通います。そのあとには難関の国家試験を突破しなければなりません。
それを思うと、医師に比べて薬剤師の年収は低く感じられるのではないでしょうか。これが、「薬剤師の年収は思っていたより低い」という思いにつながるのかもしれません。

ただ、先ほどみたように、薬剤師は一般の労働者と比べると高年収ですし、看護師よりも年収は高くなっています。

薬剤師の年収が高い理由

ここまでみてきたように、薬剤師の年収は総じて高い水準にあります。

また、ひとつの特徴として、薬剤師の間で年収の幅はあっても、年収の下限が高いということがいえるでしょう。
ほかの職業ならば、勤務する会社や職種によって、最低賃金近くの募集となっていることはよくあります。
しかし、薬剤師の場合、そのような低すぎる給与での求人はありません。最低賃金どころか、一般の平均を越えた金額が提示されていることが普通です。

これは、薬剤師が大学で6年間かけて専門的な知識を学んだうえで国家試験に合格しなければならない医療系の難関資格であることが大きな理由です。
医薬品を扱えるのは薬剤師だけなので、医療機関があるところには必ず薬剤師のニーズがあります。薬剤師なしに薬を処方したり販売したりすることはできません。

近年、店舗数を伸ばしている大手ドラッグストアチェーンにとっても、薬剤師は欠かせない人材です。一般の販売員の給与は抑えることができても、薬剤師は必ず確保しなければならないので、高い給与での募集となるのです。
医療業界は景気の影響を受けにくく、高齢化が進む現代においては需要がまだまだ高い職業であることも、年収が高くなっている理由といえます。

年収1000万円も？　薬剤師の年収アップ法

薬剤師の年収は決して低くはありませんが、医師や一流企業の高収入のサラリーマンに比べると、ちょっと寂しい金額にも思われます。
薬剤師として働いていて、年収1000万円を実現することは可能でしょうか。そこまで到達すのは難しいとしても、年収をアップする方法について解説します。

スキルアップして昇進・昇給する

薬剤師として現在働いている職場で年収を上げるためにまず考えたいのは、昇進して昇級することです。
キャリアを積んで管理薬剤師になるのがその第一ステップです。その後調剤薬局や病院なら薬局長、ドラッグストアなら店長をめざすということになるでしょう。大手ドラッグストアでは、店長からエリアマネージャー、本部の役員というルートもあります。

ただ、昇進できるポストそのものが少ない小規模な職場では、能力があっても昇進は望めないことになります。そもそも売上の少ない店舗では、薬剤師の給与を大幅にアップさせることは難しいでしょう。
いまの職場でどのくらい昇進・昇給の可能性があるのかは、きちんと見きわめる必要があります。

資格を取る

資格手当のある職場で働いていれば、資格をとることで給与アップすることができます。
調剤薬局では、近年増えている在宅医療に対応するために、かかりつけ薬剤師関連の資格のニーズが高くなっています。病院勤務の場合は、がんや生活習慣病などに関する専門薬剤師や認定薬剤師の資格があります。

資格をとるには、時間や労力がかかりますし、お金もかかります。しかし、勉強することで薬剤師としてスキルアップすれば、その後のキャリアアップにつながるかもしれません。いまの仕事との関係を考えながら、積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

派遣薬剤師として働く

あまりなじみがないかもしれませんが、派遣薬剤師の時給は、一般的にパートよりも高時給になっています。
薬キャリエージェント調べによると、派遣薬剤師の平均時給は3341円でした。

同じ調査でのパート薬剤師の平均時給は2079円ですので、派遣薬剤師の時給はパートの約1.5倍となっています。

派遣薬剤師としてフルタイムで働くこともできますし、ダブルワークとして本業の合間に働いている薬剤師もいます。
収入アップを考える際には、働き方の候補として考えてみてはいかがでしょうか。

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年収が高い地域で働く

先ほど説明したように、薬剤師としての仕事の内容は同じでも、働く都道府県によって給与水準には違いがあります。
転居してもかまわない、あるいは故郷へUターンするという選択肢があるのであれば、地方で働くことも年収アップにつながります。

現在はインターネットで転職活動ができるので、求人サイトを使えば全国どこでも転職が可能です。
日本中どこででも仕事ができるという、薬剤師のメリットを活かした年収アップ法だといえます。

転職する

いろいろ頑張ってみても現在の職場で年収アップが期待できない。そういう場合は、思い切って転職するのも有効な方法となります。

転職の際には、薬剤師専門の転職エージェントを利用するのがおすすめです。
これまで働いてきたなかで、自分が働きやすい仕事や仕事をするペースもみえてきたのではないでしょうか。その働き方の条件と、希望する年収を伝えれば、専門のコンサルタントから適した仕事を紹介してもらえます。

薬剤師は、男性、女性関係なく、条件を落とさずに転職することができます。そのメリットを生かしてみてはいかがでしょうか。

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まとめ

薬剤師の年収について、いろいろな側面からみてきました。
一般のサラリーマンに比べると、薬剤師の年収は、高すぎるとまではいかなくとも、十分高いことがわかります。ただ、同じ医療職のなかでみると、思ったよりも高くなかったという感想を持つ方もいるかもしれません。また、基本的には高い水準にありますが、もっと年収アップしたいと考えても、職場によっては上積みできる幅がそんなに広くないという場合もあるかもしれません。

この記事を参考にして、自分の年収が満足できるレベルにあるか、考えてみてはいかがでしょうか。自分の年収相場を知るためには、転職エージェントに相談してみるのもおすすめです。