薬剤師のボーナス平均金額は85.8万円?職場の規模・業種・地域別に解説
ボーナスは正社員だけが受け取れる、いわば特別な臨時の給与。
ボーナスが入ると思えば、仕事に対するモチベーションもぐっとアップしますよね。
ところで薬剤師のボーナスはいくらぐらいなのか、気になりませんか?
今の自分のボーナスが平均よりも多いのか少ないのかわからないという人は、ぜひこの記事を読んで参考にしてください。
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薬剤師のボーナス
薬剤師の年収を大きく左右するのがボーナスです。ボーナスには、何か特別な決まりや基準があるのでしょうか。
ボーナスとは
ボーナスとは、毎月支払われる給与とは別に、業績や経営状態に応じて特別に支払われる給与のことです。
賞与や特別手当とも呼ばれ、従業員のモチベーションをアップさせる効果が期待されます。
ただ、毎月の給与のように労働基準法によって支給が定められているわけではなく、ボーナスには特に法律上の支払い義務はありません。
支給日や支給回数、金額、計算方法など、ボーナスの支給方法については、それぞれの企業が任意で決めることができるようになっています。
そのため、企業によってボーナスの支給の有無や支給額には差があります。
ボーナスの計算方法
ボーナスの額の計算方法は、企業によってさまざまです。
主な計算方法としては次の3種類があげられます。
- 基本給連動型賞与
- 業績連動型賞与
- 決算賞与
それぞれ解説します。
基本給連動型賞与
基本給×期間(〇ヵ月分)で計算して決める方法です。
多くの企業が取り入れているもっとも一般的な方法でしょう。
支給額が安定しており、今後の予測が立てやすいというメリットはありますが、業績や成果を反映しないため、モチベーションアップにつながるという点ではやや弱いといえるでしょう。
業績連動型賞与
企業や個人の業績、成果に応じて支給額を決める方法です。
個人の業績が反映されるため、モチベーション効果は高いですが、支給額の予測が立てにくく、増減の幅も大きくなりがちです。
決算賞与
その年度の企業の業績に応じて支給額を決める方法です。
企業が得た利益の一部を社員に分配するという意味合いがあります。
業績低迷の場合などは不支給になる可能性もあります。
企業によっては、上記のうち2種類の計算方法を組み合わせるところもあります。
いずれの方法にしても、勤続年数が多いほど、ボーナスの額も増えていく傾向にあります。
ボーナスと税金
ボーナスには毎月の給与と同じく、所得税がかかります。
また、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険といった社会保険料もかかります。
したがって実際に受け取る金額は、ボーナスの額面から社会保険料と所得税を控除した金額ということになります。
なお、毎月の給与には住民税もかかりますが、ボーナスについては住民税はかかりません。
薬剤師のボーナスはいくら?
ここからは、気になる薬剤師のボーナスの額についてみていきましょう。
薬剤師のボーナスの金額
厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査のデータによると、従業員が10人以上いる企業に勤務する薬剤師のボーナスは76.8万円となっています。
ボーナスの支給回数は夏と冬の年2回のところが多いので、1回の支給額は38.4万円くらいを目安と考えればいいでしょう。
ただし、1000人規模の大企業に勤務する薬剤師の場合、ボーナスの平均額は85.8万円となっています。1回の支給額は42.9万円です。
このように、ボーナスの支給額は職場の規模によって数万円の違いがあります。
規模が大きいほど、ボーナスの額が多いことがわかりますね。
職場の規模別のボーナスの金額
職場の規模によってボーナスの金額にどれくらいの違いが出るのか、もう少し細かく見てみましょう。
同じく令和5年賃金構造基本統計調査のデータを見ると、1000人以上の大企業に勤める薬剤師のボーナスは85.8万円、100~999人規模の企業は77.9万円、10~99人規模の企業は59.1万円と、企業が小規模になるにつれてボーナスの額が少なくなっていることがわかります。
一方、毎月きまって支給する現金給与額を見てみると、1000人以上の企業は40.3万円、100~999人規模の企業は39.7万円と大きな差がないのに対し、10~99人規模の企業は47.7万円と高水準であることがわかります。
それぞれの年収を単純計算してみると、大企業なら毎月の給与40.3万円×12カ月+賞与85.8万円=569.4万円、10~99人規模の企業は毎月の給与47.7万円×12カ月+賞与59.1万円=631.5万円になり、ボーナスが少ない小規模な企業のほうが高年収となっています。
ただし、この結果には薬剤師の平均年齢や勤続年数も深く関係しています。
データによれば、1000人規模の企業の平均年齢は36.9歳ですが、100~999人規模の企業では39.4歳、10~99人規模の企業では47.8歳となっています。大企業になるほど勤務している薬剤師の平均年齢が若いことがわかります。
これらのデータからは、企業の規模が大きいほどボーナスの額が高く、したがって年齢が若く基本給が安いうちは、企業規模が大きいほうが高い水準の年収を得やすいことが見て取れます。
参考資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和5年賃金構造基本統計調査/職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
公務員薬剤師のボーナスの金額
公務員薬剤師のボーナスについては、人事院の給与勧告に基づき、基本給の4.4か月分と定められています。
国家公務員薬剤師の基本給は「医療職俸給表(二)」という給与区分が適用されます。
人事院の「令和6年国家公務員給与等実態調査報告書」によれば、平均月給は諸手当込みで36.2万円、基本給は31.9万円です。したがってボーナスはおよそ140.4万円になります。
なお、地方公務員の給与については自治体や職場によって多少違いがあります。
公務員は、基本給については民間の薬剤師よりやや低いですが、ボーナスはかなりの高額であることがわかります。
参考資料:人事院「国家公務員給与等実態調査結果/令和6年国家公務員給与等実態調査の結果」
【業種別】薬剤師のボーナス
薬剤師の勤務先には調剤薬局や病院、ドラッグストアなど、さまざまな業種があります。
業種によってボーナスに違いはあるのかみてみましょう。
調剤薬局
調剤薬局薬剤師は、他の業種に比べると昇給のペースが遅く、勤続年数を重ねてもあまり給与がアップしないというデメリットがあります。
そのため、ボーナスについてもあまり高い水準は期待できないと考えるほうがいいでしょう。
病院
病院薬剤師は他の業種の中では一番初任給が低い業種です。
初任給が低い理由は、人材不足が深刻な医師や看護師の確保を優先するためで、薬剤師の待遇にまで手が回らないという事情があります。
したがってボーナスの面でもあまり期待はできないでしょう。
ただし夜勤手当等がつくため、総支給額としてはやや高めになる傾向があります。
ドラッグストア
ドラッグストア薬剤師は給与、ボーナスともに他より高い水準です。
これは、ドラッグストアでは調剤業務のほかに、一般の小売業としての店舗業務も兼務する必要があるためです。
また、調剤薬局等に比べて昇進ペースが速いのも、給与やボーナスがアップする理由でしょう。
製薬会社
製薬会社は給与面については非常に待遇がいい業種です。
業績の良い企業なら、ボーナスも高い水準の額が期待できるでしょう。
特にMR(医療情報担当者)のような営業職は、営業成績によってインセンティブの加算もあり、高収入が狙えます。
薬剤師のボーナスは地域によって違う?
薬剤師のボーナスは地域によっても違います。
令和5年賃金構造基本統計調査のデータを見ると、年間賞与その他特別給与額の金額が一番多かったのは広島県の132.8万円、続いて和歌山県の117.7万円、鳥取県の116.5万円でした。
大都市を見てみると、東京都は75.2万円、愛知県は55.5万円、大阪県71.3万円、京都県57万円、福岡県54.1万円と、地域によってまちまちであることがわかります。
一般的には大都市のほうが高年収ですが、薬剤師は地方のほうが高年収の傾向があります。
このような地域差は、その地域での薬剤師の充足率や求人数に左右される部分があると考えられます。
参考資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和5年賃金構造基本統計調査/都道府県、職種(特掲)性別、きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
雇用形態でボーナスは違う?
正社員に限らず、パート・アルバイト、派遣社員など、薬剤師の雇用形態はさまざまあります。
雇用形態によってボーナスがどれくらい変わるのかみてみましょう。
正社員
先に説明した通り、ボーナスの支給については特に法律で定められてはいません。
支給の有無はあくまで企業が独自に決めるものです。
ただ、一般的にはボーナスを支給する企業は多く、厚生労働省のデータによると、薬剤師のボーナスの額は平均76.8万円となっています。
参考資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和5年賃金構造基本統計調査/職種(小分類)年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
パート・アルバイト
パート・アルバイトには一般的にボーナスは支給されません。
薬剤師のパートは時給が高く、働き方の自由度も高いことがメリットですが、ボーナスが支給されないため、正社員と同じ働き方をしても、年収は100万円以上の差が出てしまう可能性もあります。
派遣社員
派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでいるため、派遣先の薬局や病院等からボーナスが支給されることはありません。
また、派遣元の派遣会社からボーナスが支給されることも、基本的にはありません。
ただ、派遣社員の給与が高いのは、最初からボーナス分を含んでいるからという考え方もあり、フルタイムで勤務した場合、正社員と同等か場合によっては正社員より高い年収を得られる可能性があります。
契約社員
契約社員もボーナスは支給されないことが一般的です。
ただし、契約書や就業規則にボーナスの支給ありという記載があれば、支給される可能性があります。
ボーナスをアップする方法
ボーナスは年収を上げるためには欠かせないものです。
ここからは、いま以上にボーナスの金額をアップさせる方法について解説します。
評価される実績を上げる
ボーナスの計算方法はいくつかあり、企業によって、どのような算定基準を設けているかには違いがあります。
ただ、もっとも一般的なのは、基本給×期間(〇ヵ月)で計算する基本給連動型賞与でしょう。
となると、ボーナスを上げる一番確実な方法は基本給を上げることといえます。
基本給を上げる基本は、できるだけ長く在籍することです。
薬剤師の給与は勤続年数が増えるにつれ少しずつアップしていくので、長く勤務すれば自動的に基本給は上がっていきます。
また、将来管理職につけば役職手当が加算され、基本給もぐんとアップします。
もっと早くに基本給を上げたい場合は、資格を取得して評価基準を上げる方法があります。
認定薬剤師や専門薬剤師等の資格を取得すれば、資格手当が加算され、基本給もアップする可能性があります。
転職する
今の職場では管理職ポストの空きが見込めない場合や、昇給ペースが遅い職場である場合、今より待遇の良い職場に転職するのも1つの方法です。
ボーナスアップをねらって転職するときは、基本給だけではなく、ボーナスの算定基準や昇給率などについても確認しておきましょう。
また、どんなに基本給が高い職場でも、人間関係が悪かったり残業が多かったりする職場では、転職後にミスマッチが起こります。
転職エージェントを上手に利用して、職場の雰囲気を事前に教えてもらうといいでしょう。ボーナスについても、転職エージェントに確認してもらうのがスムーズです。
離職率に注目してみるのも良い方法です。
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まとめ
正社員薬剤師にとって、ボーナスは年収を左右する大きな要素といえます。
パートや派遣のような働き方の自由度は少ないものの、毎月の安定した給与とボーナスの支給があることは、正社員だからこそ得られるメリットです。
ボーナスの計算方法はいくつかありますが、多くは基本給の額によって差が出ます。
今の自分のボーナスの額に不満がある人は、まずは基本給をアップさせる方法を試してみてはいかがでしょうか。
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