Mさん(20代・千葉)調剤薬局勤務の年収は低すぎる…?薬剤師の年収を解説


毎月もらう給与明細を見ながら「お給料上がらないな〜」と感じたことはないでしょうか。
医師が高年収というのは有名ですが、同じように6年間大学に通って国家試験を受けるにもかかわらず、「薬剤師の年収は低すぎる」という話もちらほら耳に入ってきます。
では、薬剤師の年収は本当に低いのでしょうか?
ここでは、薬剤師の収入についていろいろな面から解説します。リアルな給与明細も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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薬剤師の年収が低すぎる、というのは嘘

「薬剤師の年収は低すぎる」と耳にしたことはないでしょうか。それは本当なのでしょうか、それとも嘘なのでしょうか。
結論から言えば、薬剤師の年収が低すぎるということはありません。薬剤師の年収は一定水準を保っているので、「低すぎる」というのは実際のデータに即した評価ではないと言えます。
身近に高年収の医師がいるため、薬剤師の年収は低いと感じてしまうかもしれません。しかし、他の職業と比べると、薬剤師の年収は多くの他職種と比較して高い水準にあります。
ここからは、データをもとに薬剤師の年収について詳しく見ていきましょう。
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年代別薬剤師の平均年収
次の表は、薬剤師の年齢別の平均年収です。
男女計 | 男 | 女 | |
20~29歳 | 423万円 | 454万円 | 407万円 |
30~39歳 | 586万円 | 627万円 | 532万円 |
40~49歳 | 636万円 | 723万円 | 593万円 |
50~59歳 | 692万円 | 797万円 | 611万円 |
60~69歳 | 550万円 | 543万円 | 577万円 |
70歳~ | 558万円 | 544万円 | 585万円 |
※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
薬剤師の年収は、特に若年層での年収水準が高く、20代ですでに400~500万円程度の年収を得る人も多いのが特徴です。就職して間もない20代でも423万円あり、最も高くなる50代では700万円近い金額になっています。また、一般的には定年退職後で収入が下がる60代でも550万円以上あることも目を引きます。
薬剤師の給与の特徴として、初任給が高いことがあげられます。医療の専門職として、未経験の状態で就職しても最初から高い給与を得ているのです。
一方で、もうひとつの特徴として、その後の昇給幅が小さいという傾向があります。公務員薬剤師など定期昇給のある職場もありますが、それが多数派ではありません。そのため、経験を積んでもスキルが伸びたほど給与の伸びが感じられず、自分の給与は低いままだと感じてしまうのかもしれません。
しかし、上の表のように、実際の薬剤師の収入は20代から70代まで一貫して高水準を保っています。薬剤師として専門的な業務を行っている限り安定した収入を得られると言えるでしょう。
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薬剤師と他の職業の年収の比較
ここからは、薬剤師と他の職業の年収を比べてみましょう。
次の表は、一般労働者と薬剤師の平均年収を比較したものです。
男女計 | 男 | 女 | |
一般労働者 | 312万円 | 342万円 | 259万円 |
薬剤師 | 583万円 | 637万円 | 540万円 |
※一般労働者の平均年収は、厚生労働省「付表2 一般労働者の性、雇用形態別賃金及び雇用形態間賃金格差の推移/令和4年賃金構造基本統計調査の概況」より、男女計の正社員・正職員の賃金に12を掛けた数字を平均年収としている
一般労働者と比べると、薬剤師の年収が非常に高いことがわかります。
特に女性の年収は、薬剤師のほうが2倍以上高くなっています。女性は、出産や介護といったライフイベントによって働き方を変えざるを得ないことも多くありますが、それにもかかわらず高年収を維持しています。
女性にとって薬剤師免許は非常に強いと言えるでしょう。
次に、薬剤師の平均年収を他の医療従事者と比較してみましょう。
男女計 | 男 | 女 | |
医師 | 1429万円 | 1515万円 | 1138万円 |
歯科医師 | 810万円 | 794万円 | 878万円 |
薬剤師 | 583万円 | 637万円 | 540万円 |
看護師 | 508万円 | 523万円 | 506万円 |
※厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
医師は男女ともに1000万円を超える高年収となっています。しかし、これを別格とするならば、薬剤師も600万円前後の年収なので、やはり年収は高いと言えます。
薬剤師の50代男性の平均年収は797万円です。この金額はあくまで平均ですので、給与の高い職場で管理職になれば、歯科医師と同等の年収となることも可能です。
他の職種との比較からも、薬剤師の年収が低すぎるということはないことがわかります。
【実録】気になる他の薬剤師の年収

薬キャリでは、現役薬剤師の皆さんに給与アンケートを行いました。
そのなかから、一般薬剤師、管理薬剤師、エリアマネージャーの方の給与明細をご紹介します。
自分の給与を振り返るめやすにしてください。
調剤薬局勤務:一般薬剤師
Mさん(20代)の給与明細
勤務地 | 千葉県 |
勤め先 | 調剤薬局・調剤併設ドラッグストア |
雇用形態 | 正社員 |
役職 | なし |
給与に関係する資格 | |
基本給 | 285,000円 |
残業など | 20,000円 |
その他手当 | 80,000円 |
(手当名) | 住宅手当、地域手当 |
月給合計 | 38,5000円 |
賞与 | |
年収 | 4.620,000円 |
病院勤務:一般薬剤師
Pさん(30代)の給与明細
勤務地 | 宮城県 |
勤め先 | 病院・診療所・クリニック |
雇用形態 | 正社員 |
役職 | なし |
給与に関係する資格 | |
基本給 | 274,000円 |
残業など | 11,935円 |
その他手当 | 63,400円 |
(手当名) | 資格手当、住宅手当、扶養手当、当直・夜勤手当 |
月給合計 | 337,400円 |
賞与 | 960,000円 |
年収 | 5,008,800円 |
調剤薬局勤務:管理薬剤師
Rさん(30代)の給与明細
勤務地 | 大阪府 |
勤め先 | 調剤薬局・調剤併設ドラッグストア |
雇用形態 | 正社員 |
役職 | 管理薬剤師 |
給与に関係する資格 | |
基本給 | 400,000円 |
残業など | 20,000円 |
その他手当 | 5000円 |
(手当名) | 役職手当 |
月給合計 | 425,000円 |
賞与 | 800,000円 |
年収 | 5,900,000円 |
調剤薬局勤務:薬剤部長
Nさん(50代)の給与明細
勤務地 | 鹿児島県 |
勤め先 | 病院・診療所・クリニック |
雇用形態 | 正社員 |
役職 | 薬剤部長・薬科長 |
給与に関係する資格 | |
基本給 | 460,000円 |
残業など | |
その他手当 | 100,000円 |
(手当名) | 資格手当 |
月給合計 | 560,000円 |
賞与 | |
年収 | 6,720,000円 |
ドラッグストア勤務:エリアマネージャー
Hさん(50代)の給与明細
勤務地 | 神奈川県 |
勤め先 | 調剤薬局・調剤併設ドラッグストア |
雇用形態 | 正社員 |
役職 | エリアマネージャー |
給与に関係する資格 | |
基本給 | 500,000円 |
残業など | |
その他手当 | 90,000円 |
(手当名) | 住宅手当、役職手当 |
月給合計 | 590,000円 |
賞与 | 1,000,000円 |
年収 | 8,080,000円 |
自分の年収が低すぎると感じたら…

これまで見てきたように、薬剤師の年収が低いということは決してありません。
しかし、それでも自分の年収は低すぎると感じることもあるでしょう。
自分の給与が低すぎるのではないかと感じたら、まずは自分の年収を平均と比べてみましょう。そして、もし自分の年収が平均より低い場合は、年収アップの方法について考えてみるとよいでしょう。
同じ薬剤師でも、調剤薬局、病院、ドラッグストア、製薬会社など職種によって年収は異なります。一般的な傾向として、病院は給与の水準が低く、ドラッグストアは高め、調剤薬局は平均的となっています。
たとえば、新卒からずっと同じ病院で働き続けているという人は、転職すれば給与アップする可能性が高いでしょう。
また、同じ職種であっても、店舗や病院によって給与は異なります。住宅手当や家族手当のような各種手当が充実していれば、実質的な手取りは増えます。
年収を上げるために効果的なのは、昇進することです。管理薬剤師になれば、大幅な年収アップが期待できます。現在は満足できない金額であっても、昇進の可能性があるならば、スキルを磨いてチャンスを逃さないようにしましょう。
転職サービスがオススメ

ただ、現在の勤務先の給与が全般的に低く、この先も大きな給与アップが望めないということもあるでしょう。また、職場が少人数で、管理職が一人しかいないような場合は、その人が辞めない限りは昇進の可能性がないことになります。
このように、自分の努力では年収アップができない場合は、転職を考えてみることをおすすめします。
薬剤師の場合、勤務先が違っても調剤や服薬指導といった仕事そのものには大きな違いはありません。給与の高い職場に転職すれば、同じ仕事をしながら年収アップを果たすことができます。
また、ある程度のキャリアがあれば、管理薬剤師の募集に応募することもできます。ドラッグストアならば、店長やエリアマネージャーといった昇進ルートも準備されています。給与を伸ばすためには、キャリアアップできる職場を選ぶことも有効です。
転職する際には、薬剤師に特化した転職エージェントを利用することがおすすめです。
仕事をしながら忙しい中で求人をチェックし続けることは大変です。また、求人票にはざっくりした金額しか書かれていないので、自分が働いたら実際の給与や手当はいくらになるのかを読み取ることも難しいでしょう。
転職エージェントに自分の希望を伝えておけば、自分に合った求人が出たときに教えてもらえます。自分では直接求人先にききにくい給与や各種手当についても、金額を確認し、交渉してもらうことができます。また、専門のコンサルタントから履歴書の添削、面接対策までトータルサポートが受けられます。
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まとめ

ここまで見てきたように、薬剤師の年収は一般職と比較しても高水準であり、「低すぎる」という印象は実際のデータとは異なっています。薬剤師の年収が低すぎるという嘘に惑わされないでください。年代別や男女別で見ても常に安定した収入が得られることがわかります。薬剤師は、やはり医療の専門職として高く評価されており、金銭面でも強いと言えます。
ただ、職場によって年収に差があるのも事実です。もし年収を上げたいと思うならば、スキルを磨きながら年収アップの方法を考えてみてもいいかもしれません。
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