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薬剤師が気になる年収・給料コラム

更新日: 2025年5月28日 薬剤師コラム編集部

病院で働く薬剤師の平均年収は?年収事情について解説

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病院薬剤師は、病院内で患者に直接関わりながら、薬の調剤や服薬指導を行う重要な役割を担っています。
しかし、その仕事の内容や責任に見合った年収を得ているかと言えば、そうとも言いがたい面があります。
ここでは、病院薬剤師の年収はどのくらいなのか、ほかの職種と比べると高いのか低いのか、その特徴について深掘りします。

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病院で働く薬剤師の年収は低い?

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病院で薬剤師として働きながら、自分の給与は低い、と感じている人もいるのではないでしょうか。
実際、病院薬剤師の年収はどのくらいの水準なのかについて確認してみましょう。

病院薬剤師の平均年収

病院薬剤師の平均年収はどのくらいなのでしょうか。
薬キャリエージェントの調査によると、病院薬剤師の平均年収は474万円となっています。この金額は、他の職種に比べると低くなっています。

もちろん、給与は病院の規模や経営状況によって異なります。地域によっても違いがあります。
経験年数や役職によっても年収は変動しますし、夜勤や休日出勤がある場合、その手当が加算されて年収が増えることもあります。

また、厚生労働省が病院薬剤師の年収について行った調査によると、65歳まで働くことを想定した場合、常勤の病院薬剤師(2億3280万円)と薬局 薬剤師(2億2768万円)との生涯年収の差額は512万円であり、大きな差異は見られなかったということです。
病院薬剤師であっても、定年まで働けば給与は上がりますが、そこまで勤め続ける人が少ないという面もありそうです。

※参照:厚生労働省「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」
「薬剤師の偏在への対応策」

薬剤師の業種別平均年収

では、薬剤師の年収は、業種によってどのように違うのかを見ていきましょう。

男女計
ドラッグストア(OTC・調剤併設) 528万円
ドラッグストア(OTCのみ) 500万円
ドラッグストア一律 514万円
調剤薬局 517万円
病院 474万円

※薬キャリエージェント調べ

上の表は、薬剤師が働く業種別の平均年収になります。

薬剤師にとってメジャーな職場の中で高年収なのはドラッグストアです。
ドラッグストアは、調剤以外に日用品や化粧品などの販売や品出しなどの業務もあり、薬剤師に敬遠されがちな面があります。そのため、薬剤師を確保するために年収は高めになっています。また、店長、エリアマネージャーなど、出世できるポストが多いので、年収アップの道があるといえます。

調剤薬局は薬剤師が最も多く働いている場所で、年収の金額も平均的です。

ほかの業種に比べると、病院薬剤師医の年収は低くなっています。
臨床の現場での責任の重さなどを考えると、ちょっと割に合わない気もしてきます。
このように、仕事の内容と年収がリンクしていない面が薬剤師の仕事にはあると言えます。

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地域別・薬剤師の平均年収

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実は、地域によって薬剤師の平均年収には大きな差があります。
次の表は、厚生労働省のデータをもとに、都道府県ごとの薬剤師の年収をランキング形式の表にしたものです。

都道府県 男女計
1 宮崎 717.7万円
2 熊本 684.1万円
3 栃木 664.8万円
4 青森 651.9万円
5 静岡 638万円
6 茨城 637万円
7 京都 633.8万円
8 大阪 632万円
9 長崎 623.1万円
10 群馬 619.6万円
11 島根 617万円
12 富山 609.5万円
13 山形 607万円
14 鳥取 604.1万円
15 鹿児島 599.3万円
16 佐賀 596.3万円
17 秋田 591万円
18 新潟 590.8万円
19 徳島 590.7万円
20 長野 589.8万円
21 愛媛 589.2万円
22 広島 589万円
23 東京 584.8万円
24 岩手 684.3万円
全国平均 583.4万円
25 北海道 583.3万円
26 千葉 582.3万円
27 愛知 581.1万円
28 石川 572.1万円
29 埼玉 571.8万円
30 大分 571.8万円
31 岐阜 571.7万円
32 福井 569.6万円
33 兵庫 569.1万円
34 福島 568.3万円
35 山梨 561.5万円
36 高知 558.2万円
37 福岡 556.8万円
38 香川 553万円
39 沖縄 551.9万円
40 神奈川 547万円
41 宮城 543.7万円
42 滋賀 537.2万円
43 岡山 534.5万円
44 山口 524.2万円
45 奈良 520.7万円
46 和歌山 509.1万円
47 三重 491.2万円

※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額の小数点二桁以下を四捨五入した数字を平均年収として算出

ランキングの上位を見ると、宮崎県、熊本県、栃木県と地方が並んでいます。
また、ランキング上位の県と下位の県を比べると、200万円近くの差があります。
もちろん実際の年収は勤務先によって決まりますが、働く地域によっても薬剤師の年収水準には差があります。

都市部(東京・大阪・福岡など)と地方の違い

一般のサラリーマンでは、東京の年収は全国で最も高くなっています。
しかし、この表を見ると、東京で働く薬剤師の平均年収は全国23位で、ほぼ全国平均と同じです。
ほかの都市部を見ると、大阪は8位ですが、福岡は37位、神奈川は40位とランキングでも下位になっており、上位の県とは100万円以上の差があります。

これは、都市部には薬剤師がたくさんいるので採用に困らない一方で、地方では人手不足で給与を高く設定しないと薬剤師を確保できないという事情があるからです。
特に、薬剤師のいない地方や僻地では、高年収の求人が出されることがあります。

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国公立病院と民間病院の年収は違う?

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病院薬剤師の年収は、勤務先が国公立病院か民間病院かによっても違いがあります。
また、働いている間の昇給システムも異なります。
どのような違いがあるのかを確認してみましょう。

国公立病院

国公立病院で働く薬剤師の年収は公務員の給与体系に基づいています。人事院規則の定めに基づいて医療職(二)俸給表が適用されます。

「国家公務員給与の実態」によると、国家公務員薬剤師の諸手当を含んだ平均給与月額は35万7899円、平均年収年収は約587万円となります。

国家公務員給与の実態(令和5年国家公務員給与等実態調査の結果概要)

金額的には、調剤薬局などとほぼ同じレベルといえます。

公務員薬剤師の給与は、毎年一定の割合で昇給していきます。
新卒の初任給は、基本給が22万円程度で、これに各種手当が加算されます。

このように初任給は低めですが、勤続年数が長くなるにつれて確実に給与は上昇します。昇給の幅は比較的緩やかであり、急激な年収アップを期待するのは難しいですが、将来の収入を見通すことができるのは安心点だと言えます。
また、福利厚生が充実しており、退職金制度が整っているのもメリットです。

民間病院

民間病院で働く薬剤師の年収は、病院の規模や地域、経営方針によって大きく異なりますが、だいたい平均年収400〜500万円程度となります。
大手の病院では年収は比較的高く、地域密着型の中小規模の病院では年収がやや低めに設定される傾向があります。
昇給も病院によって扱いが違います。国公立病院のように、毎年昇給があるとは限りません。

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病院薬剤師の年収が低い理由

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最も大切な医療機関である病院で働く病院薬剤師の年収が低いのは不思議な気がします。
ただ、そこには医療の中心である病院ならではの理由があります。
なぜ病院薬剤師の年収が抑えられてしまうのかについて見ていきましょう。

新卒に人気がある

病院薬剤師のポジションは、新卒の薬剤師に非常に人気があります。
患者さんと直接関わることができる病院は、薬剤師としてキャリアを積んでいきたいと考えている新卒薬剤師がまず働きたいと思う職場です。
自分が卒業した大学の附属病院や、実習に行った病院にそのまま就職するというのは王道と言えます。

また、最初に調剤薬局などに就職して、その後病院に転職するのは難しくなっています。特に大学病院や総合病院はほぼ新卒のときしかチャンスがありません。
そのため多くの新卒が病院でのキャリアを目指します。

この人気の高さが、病院薬剤師の年収が低く抑えられる一因となっています。需要に対して供給が多い状況では、病院側は給与を上げる必要が薄いからです。

人件費を抑制されやすい

病院で患者さんの治療に直接当たっているのは医師や看護師です。医師がいなければ病院は成り立ちませんし、看護師もさまざまな仕事をしていてやはり必要不可欠な存在です。

医師は非常に高年収ですが、医師がいなければ病院の運営ができないので、病院の人件費はまず医師に振り分けられます。いい医師がいるという評判が広がれば、患者が増え、病院の経営にプラスになります。また、看護師も確保しなければなりませんし、人数も大きいので人件費も大きくなります。

そのしわ寄せを受けやすいのが薬剤師のポジションです。薬剤師は病院のなかでは人数が少なく、必要数を確保しやすくなっています。また、薬剤師が効率的に働いたからといって病院の売上が目に見えて増えるわけではありません。
薬剤師は薬局のなかでは給与で報われづらい存在だと言えます。

病院は営利を追求していない

病院の主な収入は診療報酬です。これは病気とそれに対する治療に対してきっちり決まっているので、病院が何か努力をしたからといって劇的に増えるものではありません。
ドラッグストアならば、医薬品以外の日常品や化粧品の売上が増やせれば利益が増えて、給与アップにつながりますが、病院にはそのような構図は成り立ちません。

また、薬剤師の仕事は診療報酬の額としては少ないため、病院経営の面では貢献が見えにくいのです。
このような点も、病院薬剤師の低年収につながっています。

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病院薬剤師のメリット

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このように給与面では報われにくい病院の薬剤師ですが、病院でしか得られないメリットはたくさんあります。

まず、医療チームの一員として、医師や看護師と協力して、薬の専門家として患者さんの治療に貢献できることに、大きなやりがいを感じることができます。

また、臨床を通して専門的な知識を深める機会が多く、最新の治療法や薬剤に関する情報を常に学び続けることができます。もし働きながらさらに研究を深めて学位を取りたいと考えている人がいれば、貴重な場となるでしょう。

さらに、患者さんの治療の過程に直接関わることで、その治療の効果を実感することができます。患者さんから直接感謝の言葉をいただけることも大きな喜びとなります。

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病院薬剤師が年収アップさせるには?

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このように、仕事のやりがいと年収のバランスが取れていないのが病院薬剤師です。
では、病院薬剤師がその働きに合った収入を得るためにはどうすればいいのでしょうか。

資格を取得する

薬剤師は薬剤師免許を得て就職すればゴールではなく、日々新しい医療について学び続けなければなりません。
せっかく勉強するのであれば、専門薬剤師や認定薬剤師などの資格取得を目指してみましょう。

病院で働いている場合、がんや感染症などに関する資格を取れば、それをすぐに仕事に生かすことができます。
病院内での評価が高まり、昇進のチャンスが増えれば年収アップにつながります。病院によっては資格手当が支給されることもあります。

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国公立病院へ転職する

先ほど解説したように、国公立病院は毎年定期昇給があるので、長く働いていれば給与は確実にアップしていきます。
民間病院の場合、まったく昇給がないというところも残念ながらありますし、昇進しなければ給与水準は低いままというところもあります。

国公立病院ならば、最先端の医療が行われているので仕事のやりがいもあります。
もし収入面で安定した職場で仕事のやりがいを感じながら働きたいと思う人は、国公立病院への転職は有力な選択肢となります。
ただ、国公立病院は公務員試験を受けなければならず、転職のハードルは高いことには注意が必要です。

地方の病院へ転職する

こちらも先ほど解説したように、薬剤師の平均年収は地域によって大きな差があります。
もし事情が許すなら、地方の病院で働くことで給与アップを果たすことができます。また、地方は生活コストが安いので、生活全体でゆとりを感じられるようになるかもしれません。

地元へのUターンやIターンが可能であれば、転職について検討してみてはいかがでしょうか。

ドラッグストアや調剤薬局に転職する

新卒に人気のある病院ですが、病院で何年か経験を積んだあとに調剤薬局やドラッグストアに転職するというのもまたよくあるケースです。
「病院の仕事には満足していたけれど、給与が低くてやっていけないので他業種に転職した」という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
病院でのスキルがあれば、ドラッグストアや調剤薬局への転職は比較的スムーズです。給与アップとなる可能性も高いでしょう。

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まとめ

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病院で働く薬剤師の給与は、他の業種と比較して低い傾向がありますが、ほかの仕事にはないやりがいがあります。
病院で働き続ける場合には、資格を取得して昇進することが給与アップにつながります。

また、ほかの職種に転職すれば給与水準そのものが上がるので、年収を増やすことができるでしょう。
病院は、薬剤師にとって非常に魅力的な職場です。その経験を薬剤師人生のなかで有効に生かすにはどうするのがよいか、考えてみてはいかがでしょうか。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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