【給与明細あり】企業で働く薬剤師の年収や仕事内容を解説


企業薬剤師の仕事内容や働き方、年収にはどのような特徴があるのでしょうか。
この記事では、薬剤師の方に協力いただいた給与アンケートのなかから、企業薬剤師の給与明細もご紹介します。
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【薬剤師アンケートより】企業薬剤師の給与明細を大公開

最初に、企業薬剤師の年収についてみていきましょう。併せて企業で働く薬剤師の給与明細もご紹介します。
企業薬剤師の平均年収
厚生労働省の調査によると、薬剤師全体の平均年収は599万円※です。
企業薬剤師の平均年収は、職種や企業規模、勤務地によって違いがあります。
給与水準は職種によって違いがあるため、「企業薬剤師」というくくりでまとめるのは難しくなっています。職種ごとの平均年収は、約600万円から1000万円超までと大きな幅があります。
※薬剤師の平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和6年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
企業薬剤師の給与明細を紹介
薬キャリでは、現役の薬剤師の方を対象に給与についてアンケートを実施しました。
このアンケートには1000人を超える薬剤師の方にご協力いただきました。そのなかで、製薬会社・一般企業勤務の方は10名ほどでした。
企業に勤務する薬剤師がいかにレアな存在であるかは、このアンケート結果にも表れています。
ここでは、そのなかから3名の方の給与明細をご紹介します。
nanakoronさん(30代)の給与明細
勤務地 | 東京都 |
勤め先 | 製薬企業・医薬品卸 |
雇用形態 | 正社員 |
役職 | なし |
給与に関係する資格 | |
基本給 | 400,000円 |
残業など | |
その他手当 | |
(手当名) | |
月給合計 | 400,000円 |
賞与 | 200,000円 |
年収 | 5,000,000円 |
ssssさん(30代)の給与明細
勤務地 | 神奈川県 |
勤め先 | 製薬企業・医薬品卸 |
雇用形態 | 正社員 |
役職 | |
給与に関係する資格 | |
基本給 | 250,000円 |
残業など | 50,000円 |
その他手当 | 70,000円 |
(手当名) | 住宅手当 |
月給合計 | 370,000円 |
賞与 | 2,000,000円 |
年収 | 6,440,000円 |
xaさん(60代)の給与明細
勤務地 | 東京都 |
勤め先 | 製薬企業・医薬品卸 |
雇用形態 | 正社員 |
役職 | 管理薬剤師 |
給与に関係する資格 | |
基本給 | 640,000円 |
残業など | |
その他手当 | 15,000円 |
(手当名) | 資格手当 |
月給合計 | 655,000円 |
賞与 | 3,900,000円 |
年収 | 11,760,000円 |
最初の2人の方の給与明細は、30代の一般的な薬剤師と同じ水準の年収となっています。
一方で、最後の方は年収1000万円を超えています。先ほどお伝えしたように、1000人中10人とサンプルが少ないなか、年収1000万円超の方は複数いらっしゃいました。
この給与明細からも、企業で勤務する薬剤師には、このように高年収な人がいることがわかります。薬剤師のなかでも夢がある働き方だといえるでしょう。
企業薬剤師の仕事内容

では、企業で働く場合、どのような仕事をすることになるのでしょうか。
ここからは、企業薬剤師の主要な職種について紹介します。
管理薬剤師
薬品を扱う場所では、それぞれの拠点に管理薬剤師を置かなければなりません。そのため、薬品を扱う企業では管理薬剤師が働いています。
企業での管理薬剤師の役割は調剤薬局などとは違って調剤はなく、薬品の仕入れや在庫管理、会社の内外からの問い合わせ対応などがおもな業務となります。
MR(医薬情報担当者)
MRは、医師や病院に対して自社の医薬品情報を提供し、販売促進を行う職種です。製薬会社の中の営業職といえます。
医薬品の品質や有効性、安全性に関する情報を伝え、現場の情報収集も行います。
インセンティブがあるので、成績を上げれば高年収が期待できます。
研究職
製薬会社で、研究者でチームを組んで新薬の開発や製剤設計を行います。製薬会社の中心となる職種であり、非常に高い専門性が必要となります。
大きな企業の研究職であれば、年収も高くなります。
開発職
開発は、研究によって生まれた新薬について実用化に向けて臨床試験を行い、医薬品の市場投入までのプロセスを管理する仕事です。
新薬の安全性の確認から申請資料作成や関係各所への対応までさまざまな業務を担います。
CRA(臨床開発モニター)
製薬会社で新薬の開発に携わり、治験が適切に行われているかどうかを管理する仕事です。会社のスタッフ以外の医師、看護師、CRCなどと連携をとりながら治験を進めていきます。
CRC(治験コーディネーター)
CRCも治験にかかわる仕事ですが、医療現場に近いポジションで治験の運用をサポートする仕事です。
直接被験者にかかわる仕事なので、薬剤師以外にも看護師などから転身する人も多い職種です。
CROのスタッフ
CROとは「開発業務委託機関」のことで、製薬会社から委託され、新薬の開発のために実施される臨床試験や製造販売後の調査、安全性の情報管理を行う専門機関のことです。
製薬会社に代わって、臨床試験にかかわるスケジュールやデータの管理、法的な手続きなどを行います。
企業内診療所の薬剤師
従業員の多い企業では、企業内に診療所が設置されています。そのような企業内診療所で薬剤師として働き、社員の健康をサポートします。
仕事の内容は、調剤業務、服薬指導、社員への健康教育などになります。
医療品卸
医薬品卸売業者で管理薬剤師として働き、品質の管理や問い合わせへの対応などを担当します。また、メーカーから受託して安全確保業務も行っています。
企業薬剤師のメリット

一般的な調剤などを行うことがない企業薬剤師ですが、企業で働くことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
年収アップできる
製薬会社などは一般企業なので、給与体系や昇給ルートも病院や調剤薬局に比べると整備されています。
また、大手企業であれば給与水準も高いですし、特に研究職やMRでは年収1000万円の可能性もあります。
年収アップの機会が多いことは企業で勤務するメリットだと言えます。
福利厚生が充実
一般企業は福利厚生も充実しています。家族手当や育児支援制度、医療保険、退職金制度など、長期的な生活を支える仕組みが整備されています。
また、社員食堂があったり、レクリエーションに補助が出たりなど、社員の生活のサポートが手厚い会社もあります。
土日休みである
多くの企業では、カレンダー通りの勤務が基本で、土日と祝日は休日です。家族や子どもと休みが合うので、生活リズムが整いやすいでしょう。
病院や調剤薬局は土曜日も開いていることが多く、ドラッグストアは年中無休のシフト勤務です。土日が休みであることに魅力を感じる薬剤師は多いのではないでしょうか。
企業薬剤師のデメリット

このようなメリットがある一方で、企業薬剤師ならではのデメリットもあります。人生設計にも影響するその内容について確認してみましょう。
職種によっては出張や転勤がある
一般企業であるため、職種によっては出張が頻繁にあったり、定期的に転勤があったりします。特に全国展開しているような企業では、まったく縁のない土地に転勤ということもあり得ます。
定年後の再就職が難しい
企業で働くと、一般的な調剤薬局では経験できない仕事をすることができます。
しかし、薬剤師のメインの仕事である調剤を経験することができません。せっかく大学で6年間勉強して身につけた調剤スキルを錆びつかせてしまうのはマイナスと言えます。
薬剤師は年齢に関係なく働くことができる資格職です。
一般企業は定年延長をしても65歳で退職となることがほとんどです。
調剤薬局であれば60代以降も働き続けることができますが、調剤のスキルがなければ調剤関係の仕事に再就職することは難しいでしょう。
定年までは比較的恵まれた環境にいたとしても、定年後にせっかくの薬剤師免許を活かせないのはデメリットと言えるでしょう。
企業への転職難易度が高い
では、反対に調剤薬局や病院から企業に転職したいと考えた場合はどうでしょうか。
製薬会社でしかできない研究開発に関わる仕事にはほかにはない魅力があります。
また、一般的な薬剤師の仕事は実際には接客業でもあります。ドラッグストアだけでなく、調剤薬局や病院においても患者さんとのコミュニケーションは避けることができません。
接客が苦手だと感じる人は、患者さんと接することのない企業で働きたいと考えるようになることもあるでしょう。
しかし、薬剤師として働ける企業の数は限られているので、転職したいと思っても転職するのは難しいのが実情です。
もし企業に転職したいと考えた場合は、薬剤師専門の転職エージェントを利用することをおすすめします。転職エージェントに登録して希望を伝えておけば、企業から求人が出たときにすぐ紹介してもらえます。
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まとめ

企業薬剤師には、調剤薬局や病院にはないさまざまな業務があります。
また、一般企業であるため、比較的高い収入や充実した福利厚生など多くのメリットがあります。
一方で、出張や転勤の可能性があるというデメリットもあります。
また、仕事の内容が違いすぎるため、調剤薬局や病院から一般企業へ転職することも、一般企業から調剤関係の仕事へ転職することも難易度は高くなっています。
もし企業で働くチャンスがある場合は、自分が定年後までどのように働きたいかを見通したうえで、自身のキャリアプランやライフスタイルに合った選択をすることが重要です。
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