50代薬剤師の年収は高い?定年後も長く働くために大切なポイントとは
製薬会社やドラッグストアだけでなく、調剤薬局や病院で働いている薬剤師も、基本的に給与は年功序列の面が強く、長く働けば働くほど上がります。
では、50代薬剤師の平均年収はどのくらいなのでしょうか。
また、50代になると、定年や老後のことも心配になりますよね。
ここでは、気になる50代薬剤師の収入や、長く働くために大切なポイントについてみていきます。
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50代薬剤師の平均年収はどのくらい?
まず、50代薬剤師の年収について詳しくみていきましょう。
50代薬剤師の平均年収
下の表は、厚生労働省のデータをもとに、年代別の薬剤師平均年収を算出したものです。
| 年代別 | 男女計 | 男 | 女 |
| 20~29歳 | 450 | 463 | 439 |
| 30~39歳 | 589 | 639 | 542 |
| 40~49歳 | 657 | 731 | 589 |
| 50~59歳 | 727 | 784 | 677 |
| 60~69歳 | 622 | 626 | 598 |
| 70歳~ | 466 | 473 | 438 |
単位:万円
※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和6年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
※参照:厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和6年賃金構造基本統計調査 」
年収は年齢に応じて上がり、50代がピークになっていることがわかります。これまでの経験や専門性が評価されていることがうかがえます。
同じデータからもう少し詳しくみてみましょう。
50代薬剤師の年収を50代前半と後半に分けると以下のようになります。
| 年代別 | 男女計 | 男 | 女 |
| 50~54歳 | 745 | 804 | 687 |
| 55~59歳 | 709 | 764 | 668 |
50代薬剤師の平均年収は、男性で50代前半が約804万円、後半が約764万円、女性で50代前半が約687万円、後半が約668万円です。
現在は法律で65歳まで雇用されることが義務付けられていますが、「定年」は60歳であるところがまだ多数です。そのため、平均年収も50代がピークになっています。
50代男性の平均年収の特徴
50代の男性薬剤師は、管理職に就いている割合が高く、それに伴い年収も高い傾向があります。50代前半は800万円を超えており、高年収だと言えます。
そのため、60代になって役職定年になったり、再雇用となったりすると、平均年収も626万円と50代より大きく下がっています。
50代女性の平均年収の特徴
女性薬剤師の場合、家庭や育児との両立を考慮した働き方を選ぶことが多く、これが年収に影響を及ぼしています。
役職に就く人が少ないこともあり、男性に比べると平均年収は低くなっています。
50代女性薬剤師には、正社員として働き続けて管理職に就いた人もいれば、いったん離職したり、パート勤務をしたりした人もいます。
それでも平均年収が600万円を超えているのは、やはり薬剤師は女性にとって高年収が見込める職種だといえます。
また、女性薬剤師の場合、50代と60代の年収差は少なくなっています。安定して高年収で働ける仕事であることがわかります。
50代薬剤師が年収に対して感じる不安
働き続けて50代になると、仕事の面ではベテランとなり、年収もピークに達します。一方で、体力面で衰えを感じたり、将来がどうなるか考えたりすることも増えるのではないでしょうか。
50代の薬剤師が感じる不安について確認してみましょう。
いつまで働けるのか
法律により、雇用主は65歳までは従業員を雇用しなければならないとされています。
ただ、定年の年齢や、その後の待遇は職場によって異なります。
60歳で定年、その後は再雇用で嘱託社員という扱いになると、年収はぐっと下がってしまいます。一方で、65歳が定年で、60歳以降も年収に大きな違いはないという職場もあります。
また、小規模の調剤薬局やドラッグストアでは、オーナーとの話し合いで定年を決めるケースもあり、柔軟な対応が可能です。
薬剤師は資格を活かして長く働ける職業ですが、いつまで働けるのかという点については、職場や個人の状況によって異なります。
老後資金を準備できるか
50代になると、老後の生活をどうするかという問題も現実味を帯びてきます。
政府より「老後資金は2000万円必要」と発表されたことなどもあり、老後資金に不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
どのくらい貯金すれば安心なのかがわかりにくいこともあり、十分な老後資金を準備できるのか、いつまで働き続ける必要があるのか、見通しが立ちにくくなっています。
体力的に大丈夫か
調剤薬局や病院では、調剤業務や服薬指導などで長時間立ち続けることが多く、足腰への負担が大きくなっています。ドラッグストアでは、重い商品の品出しなどもあり、体力的に厳しくなってきたと感じることがあるかもしれません。
また、薬剤師の場合、時間的にも、シフト制で勤務時間が不定期だったり、病院で夜勤や当直があったりというように負担の大きい職場もあります。
自分の健康面でも、加齢に伴う生活習慣病や腰痛などの問題が出てきます。
若いころは平気だったけれど、これから先も同じような働き方はきついと感じることが増えてくるでしょう。
50代薬剤師は転職できる?
このような、金銭面、体力面での不安を感じて、いまよりも働きやすい職場に転職したいと考える人もいるかもしれません。
薬剤師は比較的転職しやすい職種で、これまでに転職を経験した人も多いでしょう。
では、50代で希望の職場に転職することはできるのでしょうか。
50代薬剤師の転職のハードルは上がる
50代薬剤師の転職は可能ですが、40代までと比べて難易度が上がるのが現実です。
50代では定年が視野に入るため、企業側は長く働ける若手を優先する傾向があります。
その一方で50代薬剤師の給与は高く、企業にとって人件費負担が大きくなるため、採用を敬遠されてしまうのです。
50代の転職は、これまでとは違うことを認識しておきましょう。
50代薬剤師の転職は管理職経験がカギ
50代薬剤師がこれまでのキャリアで培ったスキルや経験は高く評価されます。
しかし、50代で転職すると自分より若いスタッフと働くことになります。自分より若い上司の下で働くことになるかもしれません。転職して入る側も、迎え入れる側も難しさを感じることがあるかもしれません
一方で、薬局やドラッグストアでは、新規出店や退職者による欠員補充で管理薬剤師が求められることがあります。管理薬剤師では、単なる調剤業務だけでなく、スタッフ管理や店舗運営といったマネジメントスキルも求められることになります。
管理薬剤師やエリアマネージャーとしての経験がある場合、このような求人に対して非常に有利になります。また、高待遇での転職が可能です。
50代で転職を考える人は、事前に管理職経験を積んでおくようにしましょう。
50代から自分の薬局を開業できる?
自分で薬局を開業すれば、年齢に関係なく働き続けることができます。また、1000万円を超える高年収も期待できるかもしれません。
50代薬剤師は、長年の調剤経験スキルもあり、地域の医療事情にも詳しくなっているでしょう。新規に開業するクリニックの情報が入ってきたり、高齢になり薬事業継承したいと考えている薬局と縁ができたりすることもあるかもしれません。
ただ、薬局の開業には多額の初期投資や経営スキルが必要となり、リスクも伴います。そのため、開業を考える際には、専門家のサポートを受けながら慎重に検討して準備することが必要となります。
50代薬剤師が年収アップするには
このような状況にある50代薬剤師が年収をアップするにはどのようなことに気をつけなければならないのでしょうか。
役職アップをめざす
キャリアを積んできた薬剤師にとっては、さらに現職で管理薬剤師やエリアマネージャーなどの上位の役職を目指すことが年収アップの基本となります。
自分の仕事だけでなく、職場全体に貢献できる広い視野をもって仕事に取り組んでいきましょう。
管理薬剤師の求人に転職する
管理薬剤師は薬局全体の運営やスタッフの指導、法令遵守などを担う重要な役職であり、責任が増える分、高い給与が期待できます。
しかし、少人数の職場の場合、現在の職場で働き続けても管理薬剤師への昇進の可能性がないということもあるでしょう。
そのようなケースでは、管理薬剤師として転職することで高待遇を得られる可能性があります。
それまでに管理職経験があるほうが望ましいですが、未経験者可という求人もあります。これまでの経験をよりブラッシュアップできるチャンスを探してみましょう。
【人生100年時代】50代薬剤師の働き方で大切なポイントは?
現在は人生100年時代とも言われています。50代は職場ではベテランで定年が迫っているとはいえ、まだまだリタイアするには早いでしょう。
しかし、若いころと同じような働き方をするのは難しいのも本音です。
50代薬剤師がこれからの働き方を考えるうえで大切なポイントはどのようなことでしょうか。
65歳以降の働き方について考えて準備する
年金の支給が65歳からということもあり、現在は65歳までは働き続けることが多数派となりつつあります。
実質的な定年は65歳と言えますが、そのあとどのように人生をおくりたいのかについて、早めに考えておくようにしましょう。
65歳で退職して第二の人生を歩もうと思う人は、退職金を含む金銭面や、体力面での見通しをしっかり立てておきましょう。
一方で、経済的な事情や、仕事のやりがいのために65歳以降も働き続けたいと考える人は、65歳以降も働ける職場を早めに探し、準備しておくことが重要です。
長く働ける職場を選ぶ
職場を選ぶ際にはいろいろな条件がありますが、65歳以降も働きたいと考えている場合は、長く働ける職場を選ぶことが大切です。
自宅から近い、シフト制で自分の希望する時間帯、日数で働けるといった職場を選ぶほうが、結果的に長く働くことができ、安定した収入につながります。
「定年なし」「シニア活躍中」といった求人を選ぶと、安心して働き続けることができるでしょう。
調剤経験を積んでおく
50代以降の薬剤師に求められるのは即戦力となる調剤スキルです。
調剤スキルがないと、転職の選択肢がOTC専門のドラッグストアなどと狭くなってしまいます。
これまで製薬会社勤務などで調剤経験がなく、60代以降も長く働きたいと考える場合は、早めに調剤経験ができる職場に転職しておくほうがよいこともあります。
現在の収入と転職した場合の見通しを比較するなどして、きちんと準備しておきましょう。
【注意】50代以降の派遣薬剤師は厳しい
これまでに派遣薬剤師として働いた経験のある人もいるのではないでしょうか。
派遣薬剤師は時給が高く、即戦力として求められるため、ベテランの薬剤師がサクッと稼ぐにはぴったりだと感じられるかもしれません。
しかし、派遣薬剤師は高年齢になるほどマッチングが厳しくなる傾向があります。
50代で派遣の求人は少なくなり、60代の派遣求人はほとんどないのが実情です。
50代以降に働き方を考えるときは、派遣という選択肢は外したほうがいいでしょう。
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まとめ
50代薬剤師は長年の経験があり、管理職についている人も多いため、年収の水準は高くなっています。
しかし、老後資金や体力面から不安を感じることが増えるのが50代の特徴でもあります。
また、60歳でリタイアして第二の人生を歩む人は少数派で、できるだけ長く働き続けたいと考える人が増えています。
その場合は、転職も含めて、早いうちから準備をしておくことが必要です。
人生100年時代と言われますが、薬剤師免許があれば、年齢を重ねても自分のペースでk柔軟に働き続けることが可能です。定年後のことも見通して、早めに対策を考えておきましょう。
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