薬剤師が気になる年収・給料コラム

更新日: 2025年11月26日 薬剤師コラム編集部

CRA・CRC・MR・品質管理の年収は?製薬会社など企業薬剤師を徹底解説

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CRA・CRC・MR・品質管理として働くと、どれくらいの年収がもらえるのでしょうか?
この記事では、製薬会社などの企業に勤める薬剤師の年収を職種ごとに詳しく解説します。

「企業薬剤師になりたい」「転職して年収を上げたい」と考えている方にとって、役立つ情報満載です。ぜひ参考にして、今後のキャリアのヒントにしてください。

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企業薬剤師の年収は高い?

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転職を考えるなら、収入面は気になるポイントです。一般的な薬剤師の年収はいくらぐらいなのでしょうか?

一般的な薬剤師の年収

厚生労働省のデータによると、薬剤師の平均年収は以下の通りです。

  • 男性薬剤師:651万円
  • 女性薬剤師:556万円
  • 全体平均:599万円

※薬剤師の平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和6年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出

また、多くの薬剤師が働く ドラッグストア・調剤薬局・病院では、以下のような年収が一般的です。

  • ドラッグストア:514万円
  • 調剤薬局:517万円
  • 病院薬剤師:474万円

※薬キャリエージェント調べ

企業薬剤師の種類

企業薬剤師と一口にいっても、さまざまな種類があります。転職を考える際に代表的なものは、以下の4つです。

  • CRA(臨床開発モニター)
  • CRC(治験コーディネーター)
  • MR(医療情報担当者)
  • 品質管理

それぞれの職種ではどのくらいの年収が期待できるのでしょうか? 次で詳しく見ていきましょう。

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CRA(臨床開発モニター)の年収は?

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CRA(臨床開発モニター)は、新薬の開発において治験が適切に進行するようサポートする仕事です。治験実施計画書(プロトコル)に沿って、治験が正しく行われているかを確認し、市場に出る前の医薬品の安全性や有効性を検証します。

CRAの働き方には、「製薬会社の開発部門」に所属するケースと、「CRO」で働くケースの2種類があります。CROは、製薬会社から治験業務を委託される機関で、さまざまなプロジェクトに携われるのが特徴です。

CRAになるために特別な資格は必要ありませんが、医薬品や治験に関する専門知識が求められます。そのため薬剤師の資格があると、転職で有利です。

CRAの仕事内容

CRAの主な役割は、治験が「治験実施計画書」に従って適切に行われているかを確認することです。業務は大きく「治験開始前」「実施中」「終了後」の3つのフェーズに分かれます。

【治験開始前】

CRAの仕事は、まず治験を実施する医療機関を選び、治験責任医師や担当医師と調整を行うことから始まります。次に、治験の内容やスケジュールを確認し、契約を締結。その後、治験薬を医療機関に届け、患者の登録準備を進めていきます。

【治験実施中】

治験が始まると、CRAは医療機関を定期的に訪問し、計画通りに進んでいるかを確認します。この「モニタリング業務」は、CRAにとって最も重要な仕事の一つです。

また、患者の基本情報や治験の効果・副作用などを記録する「症例報告書(CRF)」の回収・チェックも担当します。医師が作成した報告書とカルテの内容が一致しているかを確認し、データの正確性を担保します。

治験中に有害事象が発生した場合は、詳細をまとめ治験審査委員会へ報告するのも、CRAの重要な役割です。

【治験終了後】

すべての治験参加者が治験を終えたことを確認し、治験が適切に実施されたか最終チェックを行います。問題がなければ、正式な終了手続きを進めます。

CRAの年収

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、2025年11月時点のCRAの平均年収は481.4万円です。

※引用元:職業情報提供サイト「jobtag」 /厚生労働省

一見、薬剤師の平均年収よりも低く感じるかもしれませんが、CRAは専門性が高い職種であり、経験を積むほど年収アップが期待できます。

初年度の年収は約450万円前後ですが、5年以上の経験を重ねると600万円〜1000万円に達することも珍しくありません。

スキルや実績を積み上げれば、高収入を目指せるでしょう。

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CRC(治験コーディネーター)の年収は?

CRC(治験コーディネーター)は、医療機関で治験が円滑に進行するようサポートする仕事です。治験を担当する医師の指示を受けながら、事務作業やスケジュール調整、患者さんのサポートなどを担当します。

CRCとして働く方法は、主に2つです。

CRCとして働く方法

  • 医療機関に直接雇用される「院内CRC」
  • SMO(治験施設支援機関)に所属し、医療機関に派遣される

CRCとして働くには、特別な資格は不要です。しかし、薬剤に関する知識がある薬剤師は転職の際に有利でしょう。

なお、 CRA(臨床開発モニター) と混同されることがありますが、両者の大きな違いは「立場」です。CRAは「製薬会社側」から治験を管理しますが、CRCは「医療機関の立場」から治験サポートをします。

CRCの仕事内容

CRCの仕事は大きく「治験準備」「治験実施」「治験終了」の3つのステップに分かれます。

【治験準備時】

まずは、治験のルールが記載された 「治験実施計画書(プロトコル)」 をしっかり理解することからスタートします。その後、製薬会社が開催する説明会に参加し、治験薬への理解を深めます。医薬品や検査キットを受け取り、患者さんの来院準備を整えるのも、CRCの役割です。

【治験実施時】

治験が始まると、CRCは患者さんのサポート役になり、以下のような業務を行います。

  • 治験の説明(インフォームド・コンセント)の際に同席・来院スケジュールの調整
  • 治験薬の服薬状況や副作用のチェック
  • 残薬の回収
  • 症例報告書(CRF)の作成補助

もし治験中に有害事象が起こった場合は、その経緯をまとめ、製薬会社と病院に報告することも、CRCの役目です。

【治験終了時】

治験が終了したら、医師が作成する 「治験終了報告書」 の作成をサポートし、製薬会社と病院に提出します。また、監査対応や症例追加の依頼があれば対応し、治験が適切に終了するよう管理します。

CRCの年収

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、2025年11月時点のCRCの年収は430.2万円です。

※引用元:職業情報提供サイト「jobtag」 /厚生労働省

ただし、資格の取得や経験を積むことで、さらなる収入アップが期待できます。

たとえば、CRCとして3年以上の経験を積むと、CRC認定資格の取得が可能になります。企業によっては月5000円程度の資格手当が支給されることもあり、年収が上がるケースが多いです。

また、7年以上の経験を積むと、マネージャーや管理職に昇進するチャンスが増えます。その場合、年収は550〜650万円以上が目安です。

CRCは経験を積めば積むほど、収入も上がる職種と言えるでしょう。

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MR(医療情報担当者)の年収は?

MR(Medical Representatives)は、製薬会社などに所属する営業担当者のことです。医師や薬剤師に対して、自社の医薬品の有効性や安全性、副作用などの情報を伝え、医療現場で適切に使用されるようサポートします。

MRの仕事は一般的な営業職とは異なり、医薬品を医療機関に直接販売することはありません。また、医薬品の価格は国によって決められているため、値引き交渉などもできません。

MRには、大きく分けて2つの働き方があります。

  • 製薬会社のMR:製薬会社に所属して、自社の医薬品に関する情報提供を担当する
  • CSOのコントラクトMR:製薬会社から営業業務を委託され、複数の製薬会社のMR業務を担当する

MRの仕事内容

MRの主な役割は、医薬品の情報を提供することです。ただし、実際の販売は行わず、医療従事者への情報伝達がメインとなります。

MRの主な業務内容は、以下の通りです。

  • 医療機関への訪問 :医師や薬剤師と信頼関係を築きながら、医薬品の情報を提供
  • 医薬品のプレゼンテーション :新薬や医薬品の効果、使用方法、副作用について説明
  • デモンストレーション :医薬品の使用方法を実演し、理解を深めてもらう
  • 医療現場での情報収集 :医師や薬剤師からフィードバックを集め、製品改善に役立てる
  • 競合調査と市場分析 :競合他社の動向や市場の変化を把握し、自社の営業戦略を立案
  • 報告書作成 : 訪問活動や収集した情報を整理し、社内に報告

MRになるために資格を取得する必要はありません。しかし、最新の医学知識を常にアップデートしながら、医療従事者に適切な情報を伝えることが求められます。そのため、継続的な学習と高いコミュニケーション能力が欠かせません。

MRの年収

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、2025年11月時点のMRの平均年収は618.3万円です。

※引用元:職業情報提供サイト「jobtag」 /厚生労働省

ぱっと見では薬剤師と同程度ですが、企業の規模や担当エリア、経験年数によって年収には大きな差があります。

たとえば、大手企業のMRは、30代半ばで年収1000万円を超えることも珍しくありません。営業所長や支店長クラスになると、年収が2000万円近くになることもあります。

このようにMRは、実力次第で高い年収を得られる職種です。しかし、その分、医薬品の専門知識やプレゼン力、営業スキルが求められる競争の激しい業界でもあります。

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品質管理の年収は?

品質管理薬剤師の仕事は、 販売前の医薬品が法律で定められた基準を満たしているかを確認し、安全性と品質を保証することです。

医薬品は病気の治療や予防に使われるため、健康や命に直接関わるものです。万が一、品質に問題があれば 人体に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、厳しい基準のもとで徹底したチェックが求められます。

品質管理薬剤師の活躍の場は幅広く、製薬会社の品質管理部門や化粧品メーカー、健康食品メーカー、卸売業者などさまざまです。

品質管理の仕事内容

品質管理薬剤師の仕事は、医薬品や化粧品の「安全性」と「品質」を確認することです。医療品や化粧品は「GMP」と呼ばれる基準に基づき、厳しく管理されています。このGMPに沿って適切に製造・品質管理が行われているかを監視するのが、品質管理薬剤師の役割です。

もし問題が発生した場合は、その原因を調査し改善策を提案するのも、品質管理薬剤師の役目の一つ。製品開発部門と連携しながら、品質向上のための対策を講じます。

品質管理の仕事は、チェック業務だけではありません。製造工程のマニュアル作成やクレーム対応などにも関わり、幅広く品質向上に貢献します。品質管理薬剤師は、より良い製品を届けるために欠かせない存在なのです。

品質管理の年収

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、様々な種類の「品質管理」という職業の平均年収は、2025年11月時点で755.2万円となっています。ただ、こちらの金額は、医薬品製造に限った平均年収額ではないので、参考程度に見てください。

※引用元:職業情報提供サイト「jobtag」 /厚生労働省

品質管理職は年功序列の傾向が強く、勤続年数が高くなるほど年収が上がるケースが多くなります。長く働くことで収入アップが期待できるでしょう。

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企業薬剤師は年収1000万稼げる?

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「高収入」と聞くと、年収1000万円をイメージする方も多いのではないでしょうか。では、企業薬剤師は1000万円を稼ぐことができるのか?

結論、企業薬剤師が年収1000万円を稼ぐことは可能です。特に、以下の職種では高収入を得られるチャンスがあります。

  • 外資系CRO業界のCRA
  • 製薬会社のMR

CRAとして経験を積み、管理職を経て外資系CROに転職すれば、年収1000万円は十分狙えます。

MRは、営業成績に応じたインセンティブが支給されるため、売上が直接給与に反映されるのが特徴です。実力次第で年収1000万円を超えることも珍しくなく、特に外資系MRでは30代半ばで1000万円を到達するケースも少なくありません。

ただし、いずれの職種も高い専門知識、継続的な勉強、ハードワークが求められる厳しい世界です。

向き・不向きはあるため慎重な判断が必要ですが、年収1000万円を目指すなら挑戦する価値は十分にあるでしょう。

企業薬剤師だから必ず高年収というわけではない

先に触れたように、企業薬剤師は年収1000万円を目指すことはできますが、企業薬剤師だからといって、必ずしも高年収が得られるわけではない点には注意が必要です。

企業の規模や自身の経験によっては、思ったほどの収入にならないことも少なくありません。特に未経験からの転職では、最初から期待通りの年収を得るのは難しいでしょう。

ただし、企業薬剤師は年功序列の傾向が強く、勤続年数とともに収入が上がるケースが多いのも事実です。

短期間で高収入を得るのは難しくても、経験を積めば将来的に年収アップを狙うチャンスは十分にあるでしょう。

企業薬剤師は福利厚生が充実

企業薬剤師は必ずしも高収入とは言えませんが、福利厚生が充実している点は大きな魅力です。製薬企業は大企業が多く、一般的な企業と比べて手厚いサポートが整っています。

例えば「通勤手当」や「家賃補助」、「家族手当」などは多くの企業に用意されています。実質的に手取りを増やせますので、生活の負担を軽減できるでしょう。

また、「産休・育休制度」「児費用の補助」など、子育て支援が整った企業も多く、女性薬剤師も働きやすい環境です。

福利厚生として「薬剤師賠償責任保険」に加入できる企業も多く、業務中のミスによる損害賠償をカバーできるため、安心して働けます。最近では、「労働時間の短縮」や「フレックスタイム制度」を導入し、ワークライフバランスを重視する企業も増えています。

「年収が高いこと」は、もちろん大事です。しかし、長く安心して働くためには、福利厚生の手厚さも重要なポイントとなるでしょう。企業薬剤師を目指すなら、収入面だけでなく、福利厚生も確認しておきましょう。

企業薬剤師の求人は少ない

「企業薬剤師は年収も高めで、福利厚生も手厚いから働きたい!」と思っても、残念ながら簡単に転職できるわけではありません。

企業薬剤師の求人は調剤薬局やドラッグストアと比べて圧倒的に少なく、競争率が高いのが現実です。さらに、求人の多くは正社員で、パート・アルバイト・派遣の募集はほとんどありません。募集人数が少なく、未経験からの挑戦は特に難しくなります。

また、企業薬剤師として働くには、医療知識だけでなく高いコミュニケーション能力も必要です。医師や他の医療関係者と連携しながら業務を進めるため、単なる「薬の専門家」ではなく、チームの一員としての役割が期待されるのです。

企業薬剤師を目指すなら、転職エージェントを活用するのも一つの方法です。エージェントを利用すれば、企業の求人情報を効率よく探せるだけでなく、履歴書の添削や面接対策のサポートも受けられます。

競争が激しい企業薬剤師だからこそ、しっかりと準備を整え、戦略的に転職活動を進めることをおすすめします。

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まとめ

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企業薬剤師には、CRA(臨床開発モニター)、CRC(治験コーディネーター)、MR(医療情報担当者)、品質管理など、さまざまな職種があります。必ずしも高年収が保証されるわけではありませんが、経験を積めば年収1000万円以上を目指せる可能性もあります。

また、通勤手当や家賃補助、産休・育休のサポートなど、福利厚生が充実している点も企業薬剤師の大きな魅力です。安定した環境で働きたい方には、特におすすめの職種と言えるでしょう。

ただし、企業薬剤師の求人は少なく、転職のハードルは高めです。特に未経験からの転職は難しく、十分な準備が欠かせません。戦略的に転職を進めて、自分に合ったキャリアを実現してくださいね。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
m3.com薬剤師会員への意識調査まとめや、日本・世界で活躍する薬剤師へのインタビュー、地域医療に取り組む医療機関紹介など、薬剤師の仕事やキャリアに役立つ情報をお届けしています。

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