【妊婦は禁忌】NSAIDs/妊婦への服薬指導
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- 2024年10月のNSAIDs添付文書改訂で妊婦への注意喚起が行われた
- 妊娠20週以降にNSAIDsを使用すると胎児への影響が懸念される
- NSAIDsに代わる、妊婦の鎮痛薬の第一選択薬とは?
- 市販薬のNSAIDsは、内服薬も外用薬もNG
NSAIDsは炎症や痛みを抑える薬剤として広く使用されますが、妊娠中の使用には注意が必要です。羊水過少、胎児動脈管の早期閉鎖などのリスクが指摘されています。
さらに、2024年10月の添付文書改訂では、妊娠中期における胎児動脈管の早期閉鎖リスクへの注意喚起が行われました。本コラムでは、これらの妊娠中のNSAIDs使用に関するリスクや代替薬の選択肢、市販薬への対応について解説します。
NSAIDsとは?

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、炎症や痛み、発熱を抑える効果を持つ薬剤群です。代表的な成分として、イブプロフェン、ロキソプロフェン、ジクロフェナクなどがあり、臨床で広く使用されています。
NSAIDsの作用機序は、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによりプロスタグランジン類、特にプロスタグランジンE2(PGE2)の合成を抑制します。
PGE2は起炎物質・発痛増強物質であるため、その抑制により鎮痛・解熱・抗炎症作用を発揮します。
プロスタグランジンは、炎症反応だけでなく、胃粘膜の保護や腎機能維持、子宮収縮の調整にも関与しています。そのため、みなさんご存知の通り、NSAIDsの使用により、副作用として胃腸障害や腎機能障害が生じる可能性があります。
NSAIDsによるプロスタグランジン合成抑制作用は胎児の影響も報告されており、今回のコラムではその点について解説いたします。
NSAIDsが禁忌の理由とは?妊婦への影響

NSAIDsが妊婦に投与を避けるべきとされる主な理由は、①羊水過少②胎児の動脈管閉鎖の2つが挙げられます。
妊娠20週以降のNSAIDs使用は、胎児の腎機能低下を引き起こし、それに伴う羊水過少が報告されています。
羊水は胎児の成長や発達において重要な役割を果たしており、羊水過少が長期間続くと、胎児の肺発育不全や四肢変形などの重篤な影響を引き起こす可能性があります。そのため、妊娠中期においても、NSAIDsの長期使用や高用量での投与は避けるべきです。
妊娠後期(28週以降)のNSAIDs使用による胎児の動脈管閉鎖は以前より知られていましたが、近年、妊娠中期(20~28週)のNSAIDs使用でも胎児動脈管収縮との関連が指摘されています。