【妊婦も服用継続】インスリン・糖尿病治療薬を続ける理由って?
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- インスリンの基本
- 「糖代謝異常合併妊娠」に向かない血糖コントロール法がある
- 妊婦・胎児・新生児に対し、血糖コントロール不良で起こるリスク
- 血糖コントロール不良の妊婦への適切な服薬指導法
妊婦や妊娠を希望する糖尿病患者にとって、血糖コントロールは母体と胎児の健康を守る鍵となります。インスリン治療は安全で効果的な選択肢であり、妊娠初期の高血糖が奇形リスクを高めることや、妊娠後期のホルモン変化によるインスリン抵抗性の増加への対応が重要です。
このコラムでは、糖尿病合併妊娠や妊娠糖尿病の患者に向けた服薬指導のポイントを解説。患者の不安を軽減しながら、適切な治療継続を支援する方法をお伝えします。
インスリンとはなにか?インスリンの投与法もおさらい

インスリンは、膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、血糖値を調節する役割を担っています。主な働きは、食事で摂取した糖を細胞に取り込ませ、エネルギー源として利用することです。
また、肝臓での糖新生を抑制し、血糖値の上昇を防ぐ作用もあります。糖尿病では、インスリン分泌量が不足したり、インスリン抵抗性が高まったりするため、血糖値が慢性的に高くなる状態が生じます。
インスリン製剤は、糖尿病治療において欠かせない薬剤の一つです。特に妊娠中は血糖値を厳格に管理する必要があり、食事療法で目標の血糖値に達しない場合は、インスリン療法が必要となります。
インスリン製剤には、作用時間や特性に応じて複数の種類があります。食後の急激な血糖値上昇を抑えるための追加インスリンと、空腹時の血糖値を安定させるための基礎インスリンがあります。
患者の状態や生活スタイルに応じて、適切な種類の薬剤を選択することが重要です。
さらに、インスリンの投与法についても考慮する必要があります。頻回注射法で適切な血糖コントロールが得られない場合は、CSII(インスリンポンプ療法)やSAP療法といった投与法も選択肢に挙がります。
「糖代謝異常合併妊娠」の血糖コントロールの方針

「糖尿病合併妊娠」とは、妊娠前から糖尿病を有する女性が妊娠した場合を指し、一方で「妊娠糖尿病」は、妊娠中に初めて診断される糖尿病には至っていない糖代謝異常を指します。
妊娠中に初めて発見された明らかな糖尿病を含め、妊娠中に発生する糖代謝の異常を総称して、「糖代謝異常合併妊娠」と呼びます。
いずれも共通して、母体と胎児双方の健康を守るために血糖値を厳格に管理することが重要です。血糖自己測定、食事療法、薬物療法を中心に血糖管理を行います。
妊娠中は空腹時血糖値が低く、食後血糖値が高くなりやすいという特徴があります。このため食事を1日4~6回に分ける分食が有効な場合があります。
食事療法のみで血糖コントロールが不十分な場合は、薬物療法が必要となります。