【妊婦は要注意!】妊娠初期のメルカゾール(甲状腺機能亢進症治療薬)服用について
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- 妊娠初期のチアマゾール(MMI)の胎児への曝露はチアマゾール奇形症候群と関連
- MMIの代替えとして選択されるプロピルチオウラシル(PTU)の使用上の注意点
- MMIの内服を継続しながら妊娠を望む人に伝えるべきことは?
- 妊娠初期はPTUが推奨されが、16週以降に推奨される抗甲状腺薬は?
甲状腺機能亢進症は、妊娠中や挙児希望のある患者において、特に注意が必要な疾患です。適切な治療を行わないと早産や低出生体重児、妊娠高血圧症候群などのリスクが高まります。
そのため、適切な抗甲状腺薬の使用が求められますが、チアマゾール(MMI)とプロピルチオウラシル(PTU)にはそれぞれ妊娠期におけるリスクが存在し、服薬指導が非常に重要です。そこで今回は、妊娠中の甲状腺機能亢進症と抗甲状腺薬の服薬指導のポイントを解説します。
甲状腺機能亢進症とは?妊娠初期の症状変化と対策

甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、動悸や体重減少、発汗過多などの症状を引き起こします。
甲状腺機能亢進症が未治療やコントロール不良の場合、以下のリスクが一般妊婦よりも高くなることが知られています。
- 妊娠高血圧症候群や児の甲状腺機能異常
- 胎児発育不全
- 流産や早産
- 母体の甲状腺クリーゼ
- 母体心不全
また妊娠初期に増産されるhCGはTSH様作用を有するため、妊娠初期には症状が僅かに悪化することがあります。
抗甲状腺薬として主に使用される薬剤は、チアマゾール(MMI)とプロピルチオウラシル(PTU)です。非妊娠時はMMIの方が効果や副作用、アドヒアランス(服薬遵守)の面で優れているため第一選択薬に適しています。
しかし妊娠初期のMMIの胎児への曝露はチアマゾール奇形症候群と関連していることが明らかにされており、器官形成が行われる妊娠4週0日から15週6日はMMIの使用は避けることが推奨されています。
チアマゾール(MMI)の代替え薬プロピルチオウラシル(PTU)の選択理由と注意点

前述の通り、器官形成が行われる妊娠4週0日から15週6日(特に妊娠5週0日から9週6日)までのMMIの胎児への曝露は、チアマゾール奇形症候群との関連が指摘されています