【服薬継続】妊婦が抗アレルギー薬を使い続ける理由
妊娠中に鼻水やくしゃみ、かゆみが続くと、眠れなかったり仕事に集中できなかったりと負担が大きくなります。「お薬を使っても大丈夫?」という妊婦さんの不安に寄り添いながら、必要なときに安全に使える選択肢を一緒に考えるのが薬剤師の役割です。抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)は症状を和らげる代表的なお薬ですが、種類によって眠気の出方やエビデンスの厚みに差があります。今回のコラムでは、妊娠中に抗ヒスタミン薬を使う際の考え方を、実務で使える視点に絞って整理します。
- 第一世代、第二世代抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)で妊婦への影響に違いがあるのか
- 抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)で症状を抑えることが母体に好影響と理解してもらうことの重要性
抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)の基礎知識
抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)は、体内のヒスタミンがH1受容体に結合するのを阻害し、ヒスタミンが引き起こす鼻水・くしゃみ・かゆみ、血管のむくみを抑える薬です。
第一世代は脳へ届きやすく、眠気や抗コリン作用(口渇・便秘・尿閉)が出やすいのが難点です。第二世代は末梢選択性が高く、日中のパフォーマンスを保ちながら使いやすい設計で、持続は概ね12〜24時間、1日1回投与が中心です。
効き始めは30〜60分、数日で効果が安定してきます。また鼻づまりが強いときは単剤に固執せず、ステロイド点鼻薬や鼻洗浄などの併用を検討してもよいでしょう。
妊娠中も抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)を飲んで大丈夫?妊婦への影響
妊娠中はホルモン変化や鼻粘膜の浮腫で鼻炎が悪化しやすく、睡眠の質低下やストレス増加、喘息合併例ではコントロール不良の引き金になります。対応は非妊娠時と同様に、まず環境整備や鼻洗浄などの非薬物療法を優先し、効果不十分なら必要最小限の用量・期間で抗ヒスタミン薬の使用を検討します。
妊娠初期に抗ヒスタミン薬を使用した妊婦20万例以上のメタアナリシスでは、主要な先天異常の有意な増加は示されていません。