妊娠中のミルタザピンは継続すべき?催奇形性とPNASを解説!
うつ病治療中の女性が妊娠した場合、薬への不安から自己判断で服薬を中断してしまうケースは少なくありません。しかし、妊娠中のうつ病の再燃は、母体の栄養状態の悪化や産後うつへの移行など、母児双方に深刻な影響を及ぼします。
抗うつ薬の中でも、「ミルタザピン」は特有の作用機序を持ち、不眠や食欲低下を伴う患者に処方されることが多い薬剤です。
今回のコラムでは、妊娠中のミルタザピンの安全性データ、妊娠後期の服用に伴う新生児への影響、そして現場で薬剤師に求められる患者対応について解説します。
「ミルタザピン」の基礎知識。作用機序をおさらいしよう
「ミルタザピン」は、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)と呼ばれるクラスに分類される抗うつ薬です。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などとは異なり、神経伝達物質の再取り込みを阻害するのではなく、シナプス前膜のα₂自己受容体およびヘテロ受容体を遮断することで、ノルアドレナリンとセロトニンの遊離を促進します。
さらに、ミルタザピンの大きな特徴はセロトニン5-HT2受容体や5-HT3受容体を遮断することで、抗うつ薬の初期に起こりやすい吐き気や性機能障害といった副作用が軽減されています。
また、強力なヒスタミンH1受容体遮断作用を持つため、強い鎮静作用(眠気)や食欲増進・体重増加をもたらします。この特徴から、不眠や食欲不振が強く出ているうつ病患者にとって非常に有用な選択肢として処方されています。