在宅療養支援認定薬剤師とは?取得方法とメリット
在宅療養支援認定薬剤師とは?その役割も解説
「在宅療養支援認定薬剤師」は、一般社団法人日本在宅薬学会による認定です。
在宅療養支援に関する「知識」「技能」「態度」を備えた薬剤師を認定する制度で、認定の取得過程では技術を得るバイタルサイン講習会の受講、知識を評価する筆記試験、態度を評価する面接が行われます。
在宅療養の実践に特化した認定と言えます。
認定を取得するメリット・強み
認定を受けると日本在宅薬学会のホームページに顔写真とプロフィールが掲載され、在宅療養の分野での知識や技術・態度を備えた薬剤師であることを医療・介護従事者を始めとする多職種にアピールすることができます。
また、以下の点から日頃在宅療養に関わりながらも、研修会にはなかなか参加しづらい薬剤師に向いている認定です。
- 認定・更新に必要とする研修の単位数が比較的少なめ
- 研修の単位は他の研修認定薬剤師と互換性があるため選べる研修の幅が広い
(単位数の上限あり) - 日本在宅薬学会主催の研修はオンライン開催が比較的多い
- 症例報告に重きを置いている
「在宅療養支援認定薬剤師」は、こんな人向け
現に在宅療養の症例を多く担当している、ある程度在宅療養の経験がある
在宅療養のエキスパートになりたい
現場での実践に重きをおいた認定を目指したい
難易度
領域 | 更新年 | 勤務歴 | 試験 | 論文 | 学会 | 症例報告 | 薬局薬剤師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
在宅療養 | 3年ごと | - | 取得時 | - | △ | 取得時 更新時 |
◎ |
在宅療養支援認定薬剤師の詳細
認定団体:一般社団法人 日本在宅薬学会
申請に必要な資格:
- 薬剤師の国家資格
- 薬剤師として3年以上の実務経験
- 以下のいずれかの認定を持っていること
- 薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師
- 日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師
- 日本医療薬学会認定薬剤師
初回取得時、更新時に必要な単位や条件
初回取得時 | 更新時 | |
---|---|---|
必要単位 | 3年以内に40単位 (※学会関連20単位以上 |
3年間で35単位 (※学会関連20単位以上) |
勤務歴の条件 | 実務経験3年以上 | 実務経験3年以上 |
試験の有無 | 筆記試験あり | なし |
論文発表 | 不要 | 不要 |
学会発表 | 不要(参加は必要) | 不要(参加は必要) |
症例報告 | 在宅医療の事例報告 5例 | 在宅医療の事例報告 5例 プレアボイド報告3例 (2023年更新から) |
推薦状 | 不要 | 不要 |
かかる費用 | ・審査料 10,000円 ・登録料 10,000円 ※試験合格者のみ |
・審査料 10,000円 |
※必要単位の学会関連20単位以上とは:新規申請時の40単位から薬剤師認定制度認証機構(CPC)と単位互換が可能な上限15単位と、事例報告5単位を差し引いたものです。同じく、更新時についても35単位からCPCと単位互換が可能な上限10単位と、事例報告5単位を差し引いたものです。
在宅療養支援認定薬剤師の新規取得の流れ
大まかな流れは以下のようになります。
在宅療養支援認定薬剤師の取得の流れ
大まかな流れは以下のようになります。下部に詳細を記載しました。
1. 在宅療養における薬学的介入の事例を5例集める
他の分野に比べて、在宅療養の薬学的介入の事例を集めるには予め準備が必要です。
研修の受講開始よりも前から事例を集めることをおすすめします。
新規認定時は、報告した症例に関する面接試験が行われ、在宅療養に必要な知識と技能、患者さんや他職種に対する態度が問われます。
報告書の書き方も公式サイトに掲載されていますので、認定を取得するかどうか検討する時点で、まずは熟読されてみてはいかがでしょうか。
事例報告の対象となるもの
継続中のものを含め、概ね介入終了後5年以内のものとなっています。
薬剤師としてどのような介入を行ったかが明確なもの
(外来で対応可能であることや、単に「残薬の整理を行った」「一包化した」「お薬カレンダーを導入した」等の事例は除く)
介入が不成功に終わった事例の場合、考察と次への展望が示されているもの
事例報告書作成の手引き
2. 指定の研修会・講座で必要単位を取得(3年)
新規認定申請に必要な認定単位:40単位以上(うち、学会関連研修単位が20単位以上)
必須となるもの:日本在宅薬学会学術大会(年1回:1回全日程参加で7単位、3年以内に上限7単位まで)
バイタルサイン講習会(1回参加で3単位)
1)の在宅療養における薬学的介入の事例報告(5単位)
その他、下記の研修の場での単位取得が可能です。
※単位を取得できる研修の場
日本在宅薬学会が主催するセミナー
(漢方セミナーは3年以内に上限9単位まで)
薬剤師認定制度認証機構(CPC)の認証を受けている他の団体の研修単位が15単位まで認められます。
薬剤師認定制度認証機構(CPC)とは
研修単位を記録する、研修薬剤師手帳が必要ですので日本在宅薬学会のサイトから申し込むか、現地で主催するセミナーや学術大会の際に購入しましょう。
1冊550円(税込)です。申し込みフォームからの注文の場合は別途送料がかかります。
(送料140円/2~3冊:180円、4冊以上:370円)
3. 審査料の振込み、申請書類の提出
審査料は、10,000円です。
必要となる書類は以下のとおりです。
在宅療養支援認定薬剤師認定申請書
単位数を満たし受講証明書を添付した認定薬剤師研修手帳
薬剤師免許証の写し
認定薬剤師証の写し(下記1、2、3のいずれかひとつ)
(1)薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師
(2)日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師
(3)日本医療薬学会認定薬剤師
日本在宅薬学会主催の学術大会参加証の写し
バイタルサイン講習会修了証の写し
抱負(日本在宅薬学会の書式)
事例報告書5事例
認定審査料(振込証明書の写し)
日本在宅薬学会が主催する参加証・認定証を紛失された場合は、1通2,000円(税込)で再発行ができます。
※事例報告書と抱負は、面接試験の時に必要となりますので、コピーをとっておきましょう。
※申請には受付期間があり、例年9月から10月にかけて受け付けています。
4. 試験を受ける
新規認定時には、筆記試験に合格する必要があります。
毎年1月ごろに行われます。
2020年度はCBT形式の試験とオンラインでの面接試験が行われました。