感染制御認定薬剤師とは?取得方法とメリット
感染制御認定薬剤師とは?資格の概要、認定団体、取得メリット、役割、試験や論文・学会発表の有無といった取得方法や取得にかかる費用、更新情報、参考書、難易度までわかりやすく解説します。
感染制御認定薬剤師とは?その役割も解説
「感染制御認定薬剤師」は、一般社団法人日本病院薬剤師会による認定です。
病院内での感染対策活動に携わり、臨床だけでなく医療安全にも働きかけることができる技能を持った薬剤師を認定します。具体的には、院内における感染発生の早期発見や、感染予防および対策マニュアルの作成、感染症患者への適切かつ安全な薬物治療の管理などを行います。また、所属する施設内に限らず、地域の他の施設と連携して、感染症の動向を調査するなどの活動も含まれます。
「感染制御専門薬剤師」を目指すためには必須の認定です。
認定を取得するメリット・強み
薬剤師が臨床だけでなく、公衆衛生の分野でも知識や技能を活かし、チーム医療の中で存在感を発揮していくことができます。専門性が高い認定ではありますが、病院内全体や地域など、幅広い範囲で活躍することができます。
「感染制御認定薬剤師」は、こんな人向け
臨床だけでなく、病院内や地域での感染対策に携わりたい
多職種と連携して地域医療を支える薬剤師になりたい
感染対策でエキスパートになりたい
難易度
領域 | 更新年 | 勤務歴 | 試験 | 論文 | 学会 | 症例報告 | 薬局薬剤師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
感染症 | 5年ごと | あり | 認定時 | 更新時 | 更新時 | 認定時 更新時 |
認定時× 更新時△ |
感染制御認定薬剤師の詳細
認定団体:一般社団法人 日本病院薬剤師会
認定申請に必要な資格:
- 薬剤師としての実務経験3年以上
- 以下いずれかの団体の会員であること
日本病院薬剤師会
日本薬剤師会
日本女性薬剤師会 - 以下いずれかの学会の会員であること
日本医療薬学会
日本薬学会
日本臨床薬理学会
日本TDM学会
ICD制度協議会に加盟している学会・研究会
以下のリンク先掲載の学会、研究会が対象です。
- 以下いずれかの認定をもっていること
日病薬病院薬学認定薬剤師
日本医療薬学会の専門薬剤師
医療薬学専門薬剤師
がん専門薬剤師
薬物療法専門薬剤師
地域薬学ケア専門薬剤師
- 申請時に病院または診療所に勤務し、施設内で下記の活動を3年以上(申請時点よりさかのぼって1年以上)従事していること
対象となる活動:感染制御活動(院内感染防止対策委員会、院内感染対策チーム、抗菌薬適正使用支援チームの一員、委員会・チームと連携した活動、あるいは他施設の委員会・チームと連携した活動など
認定取得時、更新時に必要な単位や条件
認定取得時 | 更新時 | |
---|---|---|
必要単位 | 10単位以上(20時間) (※指定の講習会1回以上) |
5年間で50単位(毎年3単位以上) 学会指定の講習会参加の単位が12単位以上 |
勤務歴の条件 | あり 院内感染制御対策活動3年以上 (申請時直近1年以上) |
あり 施設内で感染制御に関する専門的業務に従事 |
試験の有無 | 筆記試験あり | なし |
論文発表 | 不要 | 1回以上(共同著者可) 学会といずれか |
学会発表 | 不要 |
1回以上(共同発表者可) 論文といずれか |
症例報告 | 20例以上 | 10例以上 |
推薦状 | 必要 | 勤務証明は必要 |
かかる費用 | ・認定審査料(税込) 会員 11,000円、非会員 16,500円 ・受験料(税込) 会員11,000円、非会員16,500円 ・認定料(税込) 22,000円 ※試験合格者のみ |
・審査料(税込) 本会員 11,000円、非会員 16,500円 ・更新料 22,000円 |
感染制御認定薬剤師の取得の流れ
大まかな流れは以下のようになります。下部に詳細を記載しました。
1. 感染制御に貢献した業務内容の要約(20例)を作成
病院内において、感染制御に貢献した業務内容及び薬剤師としての薬学的介入により実施した対策の内容を、20例以上報告します。
▼対象となる感染対策に関する部署・委員会
院内感染防止対策委員会
院内感染対策チーム
抗菌薬適正使用支援チーム
上記の委員会・チームと連携した活動
他施設の感染対策の委員会・チームと連携した活動など
申請に必要な「感染制御に貢献した業務内容の要約」報告の対象となる感染対策活動は以下のとおりです。
- 抗菌薬適正使用支援(antimicrobial stewardship)プログラムに該当する活動(抗微生物薬などのサーベイランスや早期介入とフィードバック等)により、薬剤師として貢献した事例。
- 環境ラウンドへの同行などにおいて、薬剤師として薬学的知識、技術などを活用して感染予防・感染対策に貢献した事例。
- 特定薬剤治療管理料 1対象薬物に対しTDMを実施した症例。
- 感染制御や抗微生物薬適正使用に関する、組織内マニュアル・手引き等の作成・改訂や、それらの普及啓発に資する組織内での取り組み事例(研修会の演者担当等)。
- 上記の1-4に該当しない感染対策活動(感染防止対策加算関連での相互訪問における院内ラウンド等)。
※これらのうち、1と2はそれぞれ2例以上(1と2合計で8例以上)、3と4はそれぞれ1例以上必要です。
※申請用のフォームは日本病院薬剤師会の申請案内のページにあります。
※1-3は、薬剤師として患者に対し薬学的介入及び支援したことで感染症治療に貢献した症例も対象となります。
2. 指定の研修会・講座で必要単位を取得
認定申請に必要な認定:10単位(20時間)を取得します。
必須の講習会: 日本病院薬剤師会主催の感染制御に関する講習会への1回以上の参加
※単位を取得できる研修の場
- 日本病院薬剤師会が認定する感染制御領域の講習会
以下の団体が主催するものを指します
厚生労働省・都道府県、日本病院薬剤師会、日本病院薬剤師会が実施する e ラーニング、各都道府県病院薬剤師会(ブロック開催も含む)、ICD協議会が主催する講習会、四病院団体協議会のICS養成のための講習会 - その他単位の対象となる講習会など
下記の感染制御に関する学会・研究会の主催する学術集会や講習会
日本TDM学会、ICD制度協議会に加盟している学会・研究会 - 下記の学会・職能団体の主催する学術集会
日本病院薬剤師会(ブロック学術大会)、日本薬剤師会、日本女性薬剤師会、日本薬学会、日本医療薬学会、日本臨床薬理学会
日本病院薬剤師会が認定した感染制御に関する集合研修
3. 筆記試験
認定時には、筆記試験に合格する必要があります。(2021年度は6月初旬に試験。申込みは5月中旬締切)
受験対象者:次年度の申請(翌年7月頃)までに認定要件を満たす人
昨年度に試験以外の認定要件を満たし申請を済ませている人(暫定認定者)
受験料は日本病院薬剤師会会員:11,000円、非会員:16,500円(いずれも税込)です。
4)の認定審査料とは別に必要となります。
2021年度の試験範囲
4. 認定審査料の振込み、申請書類の提出
認定審査料は、日本病院薬剤師会会員であれば11,000円、非会員であれば16,500円(いずれも税込)です。
※申請には受付期間があるため注意が必要です。日本病院薬剤師会のサイトの「日病薬専門領域」のお知らせを確認しましょう。(2021年度は7月に受付開始、8月初旬締切)5. 認定料の振込み(※3、4の合格者のみ)
試験及び申請審査に合格した人は、認定料22,000円(税込)を支払い、認定を取得することができます。認定期間は認定審査に合格した年の10月1日から5年後の9月30日までです。