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丁寧解説! 認定・専門薬剤師のすべて

更新日: 2022年3月23日 薬剤師コラム編集部

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師とは?取得方法とメリット

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師とは?取得方法とメリット メインの画像1

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師とは?資格の概要、認定団体、取得メリット、役割、試験や論文・学会発表の有無といった取得方法や取得にかかる費用、更新情報、参考書、難易度までわかりやすく解説します。

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師とは?その役割も解説

「妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師」は、一般社団法人日本病院薬剤師会による認定です。薬物が妊娠・授乳に与える影響はもちろん、妊娠・授乳期に母体の心身に起こることについて高い知識を持ち、母子双方にとって安全な薬物療法を担う役割があります。

求められる知識の幅も広く、薬のことだけではなく、母子の心身の変化や保健衛生についての知識が必要です。さらには知識を持つことにとどまらず、妊娠・授乳期において繊細な状態にある両親に対するコミュニケーションスキルや、生殖医療全般も含めた分野での高い倫理観を持つことが求められます。

認定を取得するメリット・強み

妊娠・授乳中にかかった疾患により薬物療法が必要となる女性や、慢性疾患で治療を行っている妊婦・授乳婦に対し、適切な薬物療法を提供します。認定をもっている薬剤師の守備範囲は広く、高度・専門的な治療を行っている女性の安全な妊娠・出産・授乳を支援することができます。

また、この認定を取得するには臨床業務だけでなく、研究も継続して行う必要があり、研究スキルも身につきます。研究の結果、実際に臨床で携わる妊婦・授乳婦患者はもちろん、それ以外の多くの妊婦・授乳婦患者への安全な薬物療法にも貢献します。

認定を取得すると、日本病院薬剤師会のホームページに氏名と所属が記載され、妊婦・授乳婦に対し高度な薬物療法を実践・研究し、高い倫理観をもった薬剤師として広く認識されます。

「妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師」は、こんな人向け

女性の安全な妊娠・出産・授乳や生殖医療全般を支えたい
多職種と連携して地域医療を支える薬剤師になりたい
臨床だけでなく研究も行いたい

難易度

領域 更新年 勤務歴 試験 論文 学会 症例報告 薬局薬剤師
妊婦・授乳婦 5年ごと あり 認定時 更新時 更新時 認定時
更新時
認定時×
更新時△

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師の詳細

認定団体:一般社団法人 日本病院薬剤師会

申請に必要な資格:

  1. 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた見識を備えていること
  2. 薬剤師としての実務経験を3年以上
  3. 以下の団体のいずれかの会員であること
    日本病院薬剤師会
    日本薬剤師会
    日本女性薬剤師会
  4. 以下の学会のいずれかの会員であること
    日本医療薬学会
    日本産科婦人科学会
    日本薬学会
    日本小児科学会
    日本臨床薬理学会
    日本先天異常学会
  5. 以下のいずれかの認定を所有していること
    日病薬病院薬学認定薬剤師
    日本医療薬学会の専門薬剤師
    医療薬学専門薬剤師
    がん専門薬剤師
    薬物療法専門薬剤師
    地域薬学ケア専門薬剤師
  6. 申請時において、病院または診療所に勤務し、妊婦・授乳婦の薬剤指導に3年以上、かつ申請時よりさかのぼって1年以上従事していること

認定取得時、更新時に必要な単位や条件

認定取得時 更新時
必要単位 10単位以上(20時間)
必須の講習会あり
5年間で40単位(原則毎年3単位以上)
指定の講習会で12単位以上
勤務歴の条件 薬剤師経験3年以上
妊婦・授乳婦の薬剤指導3年以上
あり
試験の有無 筆記試験あり なし
論文発表 不要 1編(共同著者可)学会といずれか
学会発表 不要 1編(共同発表者可)論文といずれか
症例報告 15例以上(複数の疾患) 5例
推薦状 必要 不要
かかる費用 ・認定審査料(税込)
会員 11,000円、非会員 16,500円
・受験料(税込)
会員11,000円、非会員16,500円
・認定料(税込)
22,000円 ※試験合格者のみ
・更新審査料(税込)
会員 11,000円、非会員 16,500円
・更新料(税込)
22,000円

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師の取得の流れ

大まかな流れは以下のようになります。下部に詳細を記載しました。

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師とは?取得方法とメリットの画像

1. 研修施設で従事または研修を受ける(妊婦・授乳婦領域)

日本病院薬剤師会が認定する研修施設において、妊婦・授乳婦の薬剤指導に3年以上従事、または実技研修を40時間以上受ける必要があります。

◆研修施設で従事する場合
妊婦・授乳婦の薬剤指導に3年以上従事し、所属長の証明を得ます。

◆研修を受ける場合
研修施設において「模擬妊婦・模擬授乳婦とのロールプレイ」を含めたカウンセリング技術等や、情報評価スキルの確認トレーニング等の実技研修を、40時間以上履修します。

年に2-3回、研修受け入れについての案内が日本病院薬剤師会のサイトに掲載されますので、そちらに応募します。
研修時期によって、実施する研修施設が異なります。
※2021年度は新型コロナウイルス感染対策のため、受入人数や受講予定者の居住地やアルバイトに条件がありました。

  • 研修期間:40時間(連続する5日間(月曜日から金曜日))
  • 対象者:
    (1) 薬剤師としての実務経験を3年以上有する者(3年相応)
    (2) 周産期医療に関わる病院に所属する者
    (3) 過去4年間に妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師講習会を1回以上受講していること
  • 研修受講費用:33,000円(税込)

健康診断や抗体価検査、予防接種が必要となる研修施設があります。

受講申し込みをすると、日本病院薬剤師会の妊婦・授乳婦専門薬剤師部門研修委員会において書類選考が行われ、受入研修施設との協議を経て、研修を受けられるかどうかが決まります。

2. 症例を集める(15症例)

妊婦・授乳婦の薬剤指導実績を15症例以上(複数の疾患)集めます。

認定に必要な症例の内容と内訳を以下に示します。

  • 妊婦・授乳婦に対する薬物療法の胎児毒性・乳児毒性に関する評価・カウンセリング
  • 妊娠と薬情報センター(国が成育医療研究センターに設置したもの)利用による妊婦・授乳婦カウンセリング

上記について合計10症例以上(妊婦7例以上・授乳婦2例以上)残りの症例については、病棟における周産期の患者への薬剤管理指導業務事例も可能です。

3. 指定の研修会・講座で必要単位を取得

認定申請に必要な単位数:10単位(20時間)を取得します。
必須受講研修:日本病院薬剤師会主催の妊婦・授乳婦に関する講習会(1回以上)

※単位を取得できる研修の場
対象となる研修

日本病院薬剤師会が認定する妊婦・授乳婦領域の講習会
下記の学会が主催する妊婦・授乳婦領域の講習会など
日本病院薬剤師会(e-ラーニングも含む)
各都道府県病院薬剤師会(ブロック開催も含む)
妊娠と薬情報センター(国が国立研究開発法人国立成育医療研究センターに設置したもの)
日本医療薬学会
日本産科婦人科学会
日本薬学会
日本小児科学会
日本臨床薬理学会
日本先天異常学会

4. 筆記試験

認定時には、筆記試験に合格する必要があります。

試験は例年6月頃に行われます。

受験料は日本病院薬剤師会会員であれば11,000円、非会員であれば16,500円かかります。(いずれも税込)

5. 認定審査料の振込み、申請書類の提出

認定審査料は、日本病院薬剤師会会員であれば11,000円、非会員であれば16,500円かかります。(いずれも税込)
※申請には受付期間があるため注意が必要です(例年7月頃に受付)

翌年の筆記試験受験予定で、試験以外の認定要件を満たしている場合は、申請書類を提出し、審査に合格することで暫定認定者となります。(翌年の試験に合格する必要があります)
認定期間は認定審査に合格した年の10月1日から5年後の9月30日までです。

6. 認定料の振込み(※合格者のみ)

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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