丁寧解説! 認定・専門薬剤師のすべて

更新日: 2023年1月9日 薬剤師コラム編集部

認定抗酸菌症エキスパートとは?取得方法とメリット

認定抗酸菌症エキスパートとは?取得方法とメリット メインの画像1

認定抗酸菌症エキスパートとは?その役割も解説

「認定抗酸菌症エキスパート」は、一般社団法人日本結核・非結核性抗酸菌症学会による認定です。結核および非結核性抗酸菌症に対する適切な医療の継続的な推進と、抗酸菌症の撲滅と患者の QOL・ADL改善のため、抗酸菌症のチーム医療メンバーの専門的知識と技術の向上を目指しています。

対象となる医療従事者は、薬剤師の他、看護師、准看護士、保健師、理学療法士、栄養士・管理栄養士、診療放射線技師、臨床検査技師、その他認定制度審議会が認めた有資格者となっています。

「登録抗酸菌症エキスパート」の上位認定であり、結核・抗酸菌症に関する専門家として、より高度かつ継続的な知識の取得が求められます。この分野の研修会は他分野のものと比較すると数が少ないため、認定を取得するには継続的に研修会で学び、自己研鑽を行う必要があります。

認定を取得するメリット・強み

結核の治療にあたっては、DOTS(直接監視下短期化学療法)における厳格な服薬管理など、根気強く患者さんと接することになります。薬剤師がこの認定を取得することにより、より専門知識を活かした薬物療法を実施することができます。

あわせて、薬局と保健所の連携など、多職種との連携に必要な知識や技能も身につきます。

なお、結核は決して過去の病気ではありません。地域によっては、結核の感染者数が多いまま推移しているところもあり、当認定のような高度な専門知識を継続的に身につけている薬剤師が必要です。

また、非結核性抗酸菌症は近年増加している疾患ですが、まだ標準治療が普及していません。結核の治療と同様に、複数の医薬品を長期間服用する治療が必要ですが、それにより副作用を起こしやすいため、治療の継続が困難なことが多くなっています。

これらのことから、この認定を持つ薬剤師による、結核・非結核性抗酸菌症についての地域に向けての啓発活動と、患者さんに対する専門的な服薬支援が求められています。

「認定抗酸菌症エキスパート」は、こんな人向け

たくさんの結核・抗酸菌症の患者さんに継続的に接している
結核・抗酸菌症分野の地域医療に専門的に貢献したい
論文や試験などの条件が易しい認定を取得したい

難易度

領域 更新年 勤務歴 試験 論文 学会 症例報告 薬局薬剤師
結核・抗酸菌症 5年ごと なし なし なし なし なし

認定抗酸菌症エキスパートの詳細

認定団体一般社団法人日本結核・非結核性抗酸菌症学会

認定申請に必要な資格:

  1. 薬剤師の国家資格
  2. 一般社団法人日本結核・非結核性抗酸菌症学会の会員を5年間継続していること

認定時、更新時に必要な単位や条件

認定時 更新時
必要単位 5年間で80単位以上 5年間で80単位以上
勤務歴の条件 なし なし
試験の有無 なし なし
論文発表 単位に繰入可(共同著者可) 単位に繰入可(共同著者可)
学会発表 単位に繰入可(共同発表者不可) 単位に繰入可(共同発表者不可)
症例報告 不要 不要
推薦状 不要 不要
かかる費用 申請料:10,000円 更新料:10,000円

認定抗酸菌症エキスパートの取得の流れ

大まかな流れは以下のようになります。下部に詳細を記載しました。

認定抗酸菌症エキスパートとは?取得方法とメリットの画像

1.指定の学術講演会、セミナーなどで単位を取得

学会が指定する学術講演会、セミナーなどに参加し、必要単位:80単位を取得します。

下記の講習のうち、(1)もしくは(2)の参加が必須です。申請時に単位確認書類として参加証のコピーが必要です。

◆単位取得の対象となる項目、単位数(過去 5 年以内の開催)

  1. (1) 本学会が主催する生涯教育セミナー:30単位(会期中の単位の加算不可)
  2. (2) 本学会が主催するエキスパートセミナー:10単位(会期中の単位30単位まで加算可)
  3. (3) 日本結核病学会学術講演会:出席20単位、 筆頭演者15単位
  4. (4) 日本結核病学会支部学術講演会:出席5単位、筆頭演者5単位
  5. (5) 認定制度審議委員会が認めた学術講演会:出席5単位、筆頭演者5単位
    日本呼吸ケア・リハビリテーション学会、日本環境感染学会、日本感染症学会、日本化学療法学会、日本呼吸器学会、日本臨床微生物学会、日本公衆衛生学会等
  6. (6) 認定制度審議委員会が認めた講習会・セミナー等
    1. 日本呼吸器学会、日本感染症学会等と本学会との共同企画(半日):20単位
    2. 日本結核病学会支部会開催のセミナー(半日):5単位
    3. 県、市あるいは複数医療機関が主催する抗酸菌に関するセミナー等(半日):5単位
  7. (7) 学術論文
    1. 日本結核病学会誌「結核」:筆頭著者20単位、共同著者10単位
    2. 認定制度審議委員会が認めた抗酸菌感染症に関する論文が掲載された学会誌等:筆頭著者20単位、共同著者10単位
  8. (8) 結核予防会結核研究所
    1. 厚生労働省 結核予防技術者地区別講習会(2 日間):10単位
    2. 保健師・看護師等基礎実践コース(4 日間):50単位
    3. 保健師・対策推進コース(4 日間):30単位
    4. 結核院内感染対策担当者コース(1 日間):10単位
  9. (9) 免疫診断研究所 IGRA 検査講習:5単位

2. 申請料の振込み、申請書類の提出

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

薬剤師コラム編集部の画像

薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
m3.com薬剤師会員への意識調査まとめや、日本・世界で活躍する薬剤師へのインタビュー、地域医療に取り組む医療機関紹介など、薬剤師の仕事やキャリアに役立つ情報をお届けしています。

キーワード一覧

丁寧解説! 認定・専門薬剤師のすべて

この記事の関連記事

アクセス数ランキング

新着一覧

26万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

調剤報酬改定 服薬指導 薬局経営 マンガ 年収・待遇 研修認定薬剤師資格 薬剤師会 プライマリ・ケア 専門・認定薬剤師資格 医療クイズ