丁寧解説! 認定・専門薬剤師のすべて

更新日: 2023年2月8日 薬剤師コラム編集部

地域薬学ケア専門薬剤師とは?取得方法とメリット

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地域薬学ケア専門薬剤師とは?その役割も解説

「地域薬学ケア専門薬剤師」は、一般社団法人日本医療薬学会による認定です。

2020年1月に発足した認定制度で、広範な薬物療法について一定水準以上の実力を持ち、地域医療・介護等の現場において活躍している薬剤師を認定します。

地域包括ケアにおける切れ目のない薬学ケアに対応するため、幅広い領域の薬物療法における高度な知識、技能及び臨床能力を備えた信頼される薬剤師を養成し、国民の保健・医療・福祉に寄与することを目的としています。

地域薬学ケア専門薬剤師は、地域医療・介護等を担う他職種と協働して薬物療法を実践することにより、患者に最大限の利益をもたらすとともに、研究活動を実践することが求められています。

また、副領域として「がん」の専門性を有する「地域薬学ケア専門薬剤師(がん)」の認定制度があります。

※なお、地域薬学ケア専門薬剤師は、制度側の都合により、2024年度までの申請は全て暫定認定となっています。

認定を取得するメリット・強み

地域薬学ケア専門薬剤師の認定を取得する過程で、認定研修施設である薬局および病院での臨床活動と、学会や論文発表といった研究活動の双方により、幅広い領域の薬物療法について深く学び、実践して身に着けることができます。

また、地域薬学ケア専門薬剤師の認定を取得すると、氏名と所属施設が学会ホームページに掲載されます。医療従事者だけでなく、介護職や一般の方からも、地域包括ケアにおける薬物療法の相談役として認識されます。地域医療において幅広く貢献し続けたいと考える薬剤師にとっては、ぴったりの認定です。

「地域薬学ケア専門薬剤師」は、こんな人向け

地域医療において幅広い領域で活躍したい、すでに活躍している
特定の地域で継続して薬剤師として活動する意思が強い
研究・臨床どちらの活動も行いたい

難易度

領域 更新年 勤務歴 試験 論文 学会 症例報告 薬局薬剤師
多領域 5年ごと あり 認定時 認定時 認定時 認定時/更新時

地域薬学ケア専門薬剤師の詳細

認定団体:一般社団法人日本医療薬学会

認定申請に必要な資格:

  1. 薬剤師の国家資格
  2. 薬剤師としての実務経験が5年以上あること
  3. 申請時点で日本医療薬学会の会員を5年以上継続していること(※暫定認定時:申請時に学会員であればよい)
  4. 以下いずれかの認定を受けていること
    ・日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師
    ・日本病院薬剤師会日病薬病院薬学認定薬剤師
    ・日本薬剤師会・生涯学習支援システム(JPALS)クリニカルラダー5以上
    ・その他日本医療薬学会が認めた認定制度による認定薬剤師
    (※暫定認定時:本学会認定薬剤師から移行した医療薬学専門薬剤師、日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師でも可能)

認定時、更新時に必要な単位や条件

認定時 更新時
必要単位 5年間で50単位以上
必須の学会、講義あり
5年間で50単位以上
必須の学会、講義あり
勤務歴の条件 あり なし
試験の有無 筆記試験あり
※暫定認定時:実施なし
なし
論文発表 1編以上(うち1回は筆頭著者)
学会発表といずれか
不要(単位に繰入可)
学会発表 2回以上(うち1回は筆頭発表者)
論文発表といずれか
※暫定認定時:1回(筆頭発表者)でよい
不要(単位に繰入可)
症例報告 必要 ※暫定認定時:不要 必要
推薦状 不要 不要
かかる費用 ※暫定認定の費用
・認定審査料
11,000円(税込)
・認定料※審査合格者のみ
22,000円(税込)
未公表(2022年12月現在)   

地域薬学ケア専門薬剤師の認定取得の流れ

大まかな流れは以下のようになります。下部に詳細を記載しました。

地域薬学ケア専門薬剤師とは?取得方法とメリットの画像

1.薬学的管理を行った症例をまとめる

自分が薬学的管理を行った症例:50症例(4領域以上の疾患、領域に付き5症例以上)を報告書に記入します。

※暫定認定時は不要となっています。

症例報告は、申請時から遡って過去5年に実施したもののなかから、患者に対して一定期間継続して関わった薬物治療に関する薬学的介入、薬学的ケア、あるいは自己治療や公衆衛生に関する相談事例などを対象とし、保険請求の有無は問われません。

対象となる領域は以下の16個に分類されます。

1) 精神疾患
2) 神経・筋疾患
3) 骨・関節疾患
4) 免疫疾患
5) 心臓・血管系疾患
6) 腎・泌尿器疾患
7) 産科婦人科疾患
8) 呼吸器疾患
9) 消化器疾患
10) 血液及び造血器疾患
11)感覚器疾患
12) 内分泌・代謝疾患
13) 皮膚疾患
14) 感染症
15) 悪性腫瘍
16) その他(1から15までのいずれにも分類されない疾患、または自己治療や公衆衛生に関
する相談事例など)

2.学会発表もしくは論文発表を行う

学会発表・論文発表のいずれかの条件を満たす必要があります。

●学会発表:2回以上 ※暫定認定時は筆頭発表者を1回以上

必須:日本医療薬学会年会での筆頭発表者を1回以上

◆対象となる学会
医療薬学に関する全国学会、国際学会
以下の地区大会

  • 北海道薬学大会
  • 日本病院薬剤師会の東北ブロック学術大会
  • 日本病院薬剤師会関東ブロック学術大会
  • 日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部 合同学術大会
  • 日本病院薬剤師会北陸ブロック学術大会
  • 北陸信越薬剤師大会・北陸信越薬剤師学術大会
  • 日本病院薬剤師会近畿学術大会
  • 近畿薬剤師学術大会
  • 日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会
  • 九州山口薬学大会
  • 日本薬学会北海道支部例会
  • 日本薬学会東北支部大会
  • 日本薬学会関東支部大会
  • 日本薬学会東海支部 総会・大会
  • 日本薬学会北陸支部例会
  • 日本薬学会関西支部総会・大会
  • 日本薬学会九州山口支部大会

●論文:本人が筆頭著者である医療薬学に関する学術論文を1報以上

国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に、複数査読制による審査を経て掲載された医療薬学に関する学術論文あるいは症例報告であること(編集委員以外の複数の専門家による査読を経ていない論文や商業誌の掲載論文は対象外)

3.認定研修施設で5年以上の研修を受ける

学会が認定する地域薬学ケア専門薬剤師研修施設(基幹施設)において、定められた研修ガイドライン(カンファレンスへの参加を含む)に従い、地域薬学ケアに関する研修を5年以上継続して受けます。

研修を受けるには、受入先基幹施設の調整(マッチング)手続きを経る必要があります。

※この要件(5年以上の研修受講)は、暫定認定申請時は不要ですが、マッチングの申請は必要です。また、更新までの暫定認定期間中に、5年間の研修を受講完了しなければなりません。

マッチングを受けるには、所属している薬局、受講者が以下の条件を満たす必要があります。

(1)所属する薬局が、地域薬学ケア専門薬剤師研修施設(連携施設)認定を取得している。又は認定要件を備えており、今年度申請ができる。

(2)暫定認定者としての連携研修を希望する場合は、地域薬学ケア専門薬剤師あるいは地域薬学ケア専門薬剤師(がん)の暫定認定の資格要件を備える見込みがあり、今年度いずれかの申請を行うことができる。

(3)月3~4回の基幹施設での研修を5年間継続して履修できる。また、基幹施設においては規定等(ワクチン接種等も含む)を遵守できる。

(4)研修内容については、事前に自身で研修ガイドラインならびに研修コアカリキュラムを確認し、自施設での履修内容を検討できる。その上で、基幹施設の指導者と相談し、基幹施設、連携施設それぞれにおける研修内容を決定できる。

(5)研修を受講すること、認定を取得するについて、勤務先の理解と了承を十分に得ている。

  • 5年間の研修期間中の異動や転職など、薬局を変わることは認められない

(6)連携研修は、基幹施設の事情(指導薬剤師の転勤等)により中断や中止の可能性があることを予め了承している。

マッチングの流れですが、毎年7-8月頃にマッチングの申請を行い、10月中旬にマッチング結果の通知が届きます。

翌年3月までに研修基幹施設との調整(契約書・覚書締結、研修内容の相談と決定など)を行い、3-4月に研修費用79,200円/年(税込)を日本医療薬学会に支払い、研修開始となります。

研修費用は5年間で合計396,000円(税込)です。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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