1. 薬剤師トップ
  2. 薬剤師コラム・特集
  3. 2足の草鞋を履く薬剤師
  4. 「病院薬剤師×こにたんチャンネル」

2足の草鞋を履く薬剤師

更新日: 2021年11月13日 井手 綾子

薬剤師のセカンドキャリア「病院薬剤師×こにたんチャンネル」

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像1

病院薬剤師として仕事をこなしつつ、「こにたんチェンネル」を運営。SNSを通じて発信しようと思ったきっかけや、運営する上での大変さ、やりがいなどをうかがいました。また新たな働き方の選択肢のひとつとして、セカンドキャリアという考え方について語られています。

病院薬剤師として働く

現在の薬剤師のお仕事について教えてください

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像2
こにたんさん

現在は病院薬剤師として調剤室で働くほか、薬物治療の提案、実習生の実務実習の担当なども行っています。
実習は大変ですが、もともと僕自身人と話すことが好きで、人に教えたりするのも好きなので、合っているのかなと思います。

薬剤師として働きながら、どのようにSNSなどから発信する時間を作っていますか

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像3
こにたんさん

僕の勤務先は8時半から17時までが勤務時間です。
ですが実習などがあると残業に1時間強、そこから家に着くのが18時から19時前位。
結婚しているので、家事をやって育児のサポートもやってとなると、制作などができる自分の時間は22時です。

土日も家族と過ごすことが多く、子どもの相手をしながら投稿の内容を調べるといった慌ただしい感じで一週間を過ごしています。

SNSでのつながり

勤務だけでも大変な中、なぜSNSもスタートされたのでしょう。今後はさらに幅を広げていく予定でしょうか

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像4
こにたんさん

そうですね。
今、実習の担当をしていますが、現場ではどうしてもその実習生にしかフィードバックできません。

そこで質問への返信先をYouTube、TwitterやInstagramとすることで、もっと広く周知できるようになると思いスタートしました。実習では時間が足りなくて説明できなかったことも、詳しく話せるのでとても便利です。

また、今後に関しては模索中です。
YouTube、Instagram、Twitterとやっていますが、それぞれのSNSを使っている人の個性があって、ジャンルが分かれています。

YouTubeだと中学生や社会人の方から質問があったり、Instagramだと実際にお薬を飲んでいる人からの疑問だったり。
いろんな方面から質問が飛んでくるので、自分の中で何ができるのかまだ定まっておらず、どう形にするか考えているところです。

若い方からも質問がくるのですね。どんな質問がくるのでしょうか

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像5
こにたんさん

中学生からはInstagramで、「薬剤師の仕事について教えてほしい」という質問がありました。
薬剤師に興味がある中学生で、「将来の職業」といった学校の授業で発表するので、教えてくださいと。
病院薬剤師さんはこんな仕事をしていて、こうして患者さんと向き合っています、ということを尋ねられ答えました。

もう1点は、進路として薬学部を考えている高校生からのお悩みでした。
薬剤師は国家試験に合格する必要があるわけですが、その前の大学受験で求められる偏差値に不安を感じている高校生が多くいらっしゃいます。

そこで、高校でどんな勉強をしていたか、薬剤師の進路を選んだのがいつだったかなど、包み隠さずお話しています。奨学金を借りてやりくりしていたことも話しました。

思っていたより深くお話ししている印象を持ちました

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像6
こにたんさん

フォローしてくださっている方からダイレクトメッセージが届くので、知らない方とはいえ、丁寧にお答えしています。

中には高校生から、精神障害があってずっと下痢が続いている、病院に行くにしても何科にいけばわからない、薬が合っているのか心配…という悩みを打ち明けられたこともありました。

身近な薬剤師さんに相談できなかったのかという残念な気持ちがありつつも、SNSだから打ち明けてくれたのかもと感じました。
お腹が痛くなるまでの経緯を聞いたり、行く先の診療科を案内したりという形でサポートして、本人には納得いただけたと思います。

薬剤師の仕事にいかせるスキル

SNSの活動を通して患者さんにフィードバックできた、職場で役に立ったとことありますか

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像7
こにたんさん

SNSをやる以前よりも、人と人との距離感がとても近くなったという印象があります。
YouTube、カメラを通して自分を見てみると、意外に表情が動いていない、声が張れていないことがあるのが分かってきて。

出来ていないところを職場で意識してやるようになると、患者さんや先生方ともコミュニケーションが変わってきました。

少し質問は変わりますが、勉強するときなど、どんな書籍・ツールを使っていますか

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像8
こにたんさん

毎年必ず買うものとしては、「今日の治療薬」や「治療薬マニュアル」などです。

あとはSNSです。
今はほかの薬剤師の先生からも色々な情報発信があるので、気づきも数多くあります。SNSは書籍よりも現場に近いので、よく見ています。

例えば医療オンラインや薬機法などに関するネット記事などを読んで自分なりにアレンジしたり、自分の身近に当てはまる患者さんがいないか探ったり、といった感じです。

セカンドキャリアという考え方

薬剤師はずっと勉強が必要なのですね。今、薬剤師の数が多いといわれ、薬局や病院薬、そのほかどこに進んだらいいのか迷っているという話をよく聞きますが、それに対してどう思いますか

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像9
こにたんさん

友人の中には、薬局薬剤師、MR、薬剤師国家試験対策の予備校に勤めている人もいます。
その中でも病院薬剤師は、学生さんもイメージしやすいのではないでしょうか。

病院薬剤師は、薬剤師の中でも患者さんと距離は近いほうだと思います。
ですがやはり、看護師さんのほうが患者さんにとって身近な存在なので、看護師さんから話を聞くこともあります。

逆にドクターは外来などで僕たち以上に患者さんと接する時間は少ないので、僕たちが得た情報を先生にフィードバックすることもあります。
そこから、投薬の提案をすることもあり、僕にとっての病院薬剤師のやり甲斐、魅力はそういったところです。

ですが、病院薬剤師は収入があまり多くないため、学費や奨学金のことを考えると、多くの方は心配になると思います。

そこで大切なのがセカンドキャリアです。
ファーストキャリアはもちろんのこと、セカンドキャリアも見据え学生の頃から動くのがお勧めです。

病院薬剤師から薬局薬剤師へ、薬局薬剤師からドラッグストアへと転職の多い職種でもあります。最終的には、収入とやり甲斐のどちらを取るかといったことに正解はなく、個人の価値観・選択だと思います。

投資家としても活動していらっしゃるのですね

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像10
こにたんさん

はい。実際に株式など運用していて利益も少々。
薬剤師として働くライフプランの中で、投資もひとつの選択肢だと感じたことから始めました。

投資も興味を持ってくれる方がいたら、お話ししたいと思っています。
必ず利益につながるといった大それたことは言えませんが、何かしらお力に立てると思います。実際Twitter上で薬剤師の方と投資の部分でつながって、仲良くしていただいています。

病院内でもSNSでも薬剤師として働いているので、それ以外の方々とつながれるのは楽しいですね。

経験から伝えたい、メッセージ

ありがとうございます。最後にメッセージをお願いします。

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像11
こにたんさん

薬剤師という職業を選ばれたからには、きっと何らかの考えを持って薬剤師になった方がほとんどだと思います。

その薬剤師っていう仕事をもっといろんな多方面に広げていけるように、皆さんで協力していけたらと思っています。
薬剤師=薬だけでなく、もっと色々な方面で活躍できる薬剤師さんが増えていけば、薬剤師の地位向上にも、知らなかった薬剤師を知ってもらうことにもつながると思います。

「病院薬剤師×こにたんチャンネル」の画像12

病院薬剤師こにたんさん 経歴

大阪府の病院薬剤師として大学卒業後から勤務
2020年7月からYouTubeを開設、YouTuberやインスタグラマーとして活躍。YouTube「病院薬剤師こにたんチャンネル」では薬剤師、薬学生向けの動画を配信している。また、投資家としても活動中。
こにたんYouTubeチャンネル

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

井手 綾子の画像

井手 綾子
いで あやこ

福岡県生まれ。地方のフリーペーパーの編集を経験し、編集長となる。フリーランスとなってからは、全国紙や地方紙、webなどの編集・執筆を行う。取材経験は20年超、取材人数1000人以上。自分の闘病経験・治験を受けた経験から、医療関係、医薬品関係などの執筆に力を入れている。

キーワード一覧

2足の草鞋を履く薬剤師

この記事の関連記事

アクセス数ランキング

新着一覧

26万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

キャリア 医薬品情報・DI 調剤報酬改定 薬物療法・作用機序 服薬指導 医療過誤・ヒヤリハット 年収・待遇 医療クイズ 診療報酬改定 転職