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2足の草鞋を履く薬剤師

更新日: 2021年12月8日 井手 綾子

「薬剤師×チーム医療」カバヘイさんの魅力をリサーチ

「薬剤師×チーム医療」カバヘイさんの魅力をリサーチの画像1

薬剤師として日々の業務をこなしつつ講演を行うなど幅広く活躍され、最近では人生におけるサプライズとして第4子が誕生。
今回は「二足の草鞋を履く薬剤師」連載となる第二弾として、公私ともに充実しているカバヘイさんに、現在の薬剤師としてのお仕事とインフルエンサーとしての活動、これからのビジョンについてうかがいました。

コミュニケーション能力が求められる薬局の仕事

さっそくですが、カバヘイさんの現在のお仕事と、いまに至るまでの経緯を教えてください。

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カバヘイさん

現在は中規模チェーンの調剤薬局で働いています。初めに大学病院で8年間働いて、そこでの仕事も好きだったのですが、将来自分の理想とする薬局、医療をやっていきたいと思い薬局へと転職しました。

なるほど、ビジョンを描いた上での転職なのですね。その中で患者さんとの接し方に変化があった、薬局で働いて良かったと思うことはありますか。

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カバヘイさん

病院と薬局は、全然印象が違います。病院は患者さんがベッドにいて常に聞いてくれる態勢なんですけど、薬局では急いでいて聞きたくない患者さんもいれば、聞きたがりの方もいる。いろんな方に対応できるコミュニケーション能力が求められます。

大学病院では、自分から聞かなくても先生や看護師さんが教えてくれることもあって、患者さんの知らない情報はほぼありませんでした。ですが、薬局は目の前の情報しかないイメージです。もし、その人が話してくれなければ、何も得られない。コミュニケーションスキルの重要性を痛感しましたね。

そんな中でどうやってコミュニケーションスキルを磨いたのでしょう。ハードルと感じたことなどはありますか。

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カバヘイさん

もともと病院でも、患者さんと話すのは好きで得意なほうでした。ですが、薬局では病院と同じようにゆっくり話しても、急いでいる方は聞いてくれない。逆に自分の話を聞いて欲しいという方もいる。相手によって話し方を変えることを学びました。

また、薬局は会社なのに対し、大学病院はそうではないんですね。薬局は会社として対外的な対応もあって、社会人って大変だというイメージがありましたね。

どんなところで大変でしたか。

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カバヘイさん

大学病院では、どんどん自分の意見を言える人が評価される傾向があります。でも薬局は逆で、あんまりグイグイいかないほうがいい。それで薬局で働き出したばかりの頃、うまくいかなかったことがあります。

疑義照会で「この薬のほうがいいのではないですか」「なぜその薬を出したのですか」など、良かれと思ってグイグイやってしまったのですが、上に呼び出されました(笑)。薬剤部として外部に問い合わせるという形だったので、上司が対外的に板挟みになってしまい「それはやめてくれないか」と。

正しくても自分の意見を強く言いすぎると受け入れてもらえないので、手法も変わらざるを得なくなりました。やんわり遠回しにいうと意外に通るようになって、伝え方って大事なんだなということを学びましたね。

DMAT隊員として災害派遣の現場で医療の素晴らしさに気づく

大学病院では広く浅く学びましたか?それとも、専門的に深く学ばれたのでしょうか。

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カバヘイさん

病棟の業務が多いので、消化器内科やがんの専門の部署に1〜2年専任になることがほとんどです。そのため大学病院では、深く掘り下げて学びました。

いろいろな資格をお持ちですが、どのように生かされていますか。

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カバヘイさん

薬局でも病院の知識は生かせると感じました。今の薬局でいただいている評価というのは、ほぼ大学病院で培ったものという感じです。実際に病院の頃に取った腎臓病薬物療法認定薬剤師では、こう先生に言ったほうがいいとか、いろんな処方の提案とかができるようになりました。現在、それを評価していただいています。

資格のなかでも、気になるのが災害派遣医療チームDMATです。これはどのような資格なのでしょうか?

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カバヘイさん

そうですね。一応ちゃんとした、DMAT隊員という国家資格なんです。上司からお前体力ありそうだからという理由で(笑)。薬局部から一人出さないといけないからお前精神的に強そうだからいけるだろ?と。

選ばれたということは、体力や知識があったということなのですね。

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カバヘイさん

その時は若かったし、職場から抜けても大丈夫ってことで選ばれたんじゃないんでしょうか(笑)。

持っている資格のなかで、僕はこの災害医療の資格が一番気に入っています。資格的には薬局で全然役に立たない、機能しない資格なんですけど、大学病院で働いていてよかったという資格です。

もともと僕が自分の薬局を立てよう、医療って素晴らしいんだなと思ったのが、熊本地震、九州北部豪雨、西日本豪雨と3つの災害の現場に足を運んだことにあります。仕事に携わる中で、医療ってこんなに素晴らしいものなんだ、一生医療でやっていこうと思ったのが、災害医療に携わったからなんです。

Twitterの中だからこそ話せる患者さんの本音もある

DMATはチームでの仕事ですね。これから福祉や中期医療の現場でもチーム医療は重要だと思うのですが、実際に経験していかがでしたか。

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カバヘイさん

災害医療のテーマで講演などもやっているんですけど、学生さんにもこれが一番人気ですね。みんな興味があるところなのだと感じました。

外来がん治療専門薬剤師の資格にもチャレンジ中だそうですね。

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カバヘイさん

12月に受験予定です。もともと、がん専門の病棟にいたので得意分野ではあります。薬局で働いてみて、かなりニーズがある分野だと感じました。ですが、薬局ではその知識がある人が少ないという状況だったのでチャレンジしました。

今まで腎臓病薬物療法認定薬剤師やケアマネージャーなどをとって、どれくらい勉強すればというのは分かっているので、ちゃんとやれば大丈夫じゃないでしょうか。もし書類選考で落ちていなければ、なんですけど。

はい。本当にいろいろなことされていますね。この前Twitterのスペースにお邪魔したのですが、皆さんが質問されていて興味深かったです。

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カバヘイさん

やっていて楽しく、人も集まったので、テーマを変えて月一でやっていこうかと思っています。ラフですがクローズで録音もできないので、好きなことも言える。そういう場だからこその本音が聞けます。

ありがとうございました。最後に読者の方へメッセージをお願いします。

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カバヘイさん

現在、薬剤師の人数は多いけれど、いずれ薬局は減ると言われています。このままだと2割の薬剤師がいらなくなるというデータもあるそうです。これからは薬剤師の質が求められる時代になる、本当の意味で勉強する意味が生まれる時代になると思っています。

本当の意味で勉強することで独立するという話にもなる、自分の給与、評価にも関わる。本当の意味の勉強を行なって、薬剤師のスキルを上げ資格を取るという意味が、ここ2、3年で問われています。

勉強=自己満足でなく、これからは薬剤師の質を上げることが自分の評価や給与アップにもダイレクトに繋がってくるでしょう。僕からいうのもおかしいかもしれませんが、本当の意味で薬剤師の質を上げていく必要があると深く感じています。一緒に本当の勉強をしていきましょう。

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カバヘイさん 略歴

薬剤師 兼 インフルエンサー。Twitterでも活躍中。薬剤師としては、大学病院に8年勤務したあと、薬局に転職し現在2年目。フォローアップ件数、処方提案件数、減薬実績、50店舗中、全薬剤師中1位。腎臓病薬物療法認定薬剤師、日本DMAT、ケアマネジャーの資格を持つ。現在、令和3年度外来がん治療専門薬剤師取得に向けて勉強中。患者さんを守れる日本一の薬剤師を目指す。

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井手 綾子
いで あやこ

福岡県生まれ。地方のフリーペーパーの編集を経験し、編集長となる。フリーランスとなってからは、全国紙や地方紙、webなどの編集・執筆を行う。取材経験は20年超、取材人数1000人以上。自分の闘病経験・治験を受けた経験から、医療関係、医薬品関係などの執筆に力を入れている。

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