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2足の草鞋を履く薬剤師

更新日: 2022年2月12日 井手 綾子

最高齢としてギネスブック認定「薬剤師×出版」

最高齢としてギネスブック認定「薬剤師×出版」の画像1

「第1回 みんなで選ぶ薬局アワード2017」で受賞したヒルマ薬局で活躍する2代目比留間榮子さんと孫の4代目比留間康二郎さん。創業90年以上歴史のあるヒルマ薬局が地元で長年愛される理由、患者さんとの関係性など、おふたりに幅広く語っていただきました。今回は後編として比留間榮子さんにインタビューしています。

信念を持って誠実に言葉を伝えることが大切

長い間薬剤師として働いてこられて、薬局・薬剤師のお仕事の変化や、これからの薬剤師の役割について教えてください。

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榮子さん

そうですね。昔と違いまして、薬剤師もみなさまと身近にいろいろお話ししたりする機会が多くなりました。お薬を渡すだけでなくてね。

お薬の話は別にして「お家ではどのようにしていますか」など、簡単にうかがうようにしています。お家の中ばかりにいないで外にも積極的に出て薬の処方がないときでも気軽に立ち寄ってもらえ、世間話やら他愛のないことでも会話を楽しみ、幅広く地域の方と一緒に過ごせる時代がくると嬉しいと思います。

薬局に来られる方のお気持ちを大切にされているそうですが、患者さんとのコミュニケーションで気をつけていることはありますか。

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榮子さん

はい。あまり堅苦しくならないように、軽くお話をしながら、距離を置いたり近づけたり、親近感を持って接点ももつことが非常に喜ばれているようです。難しい言葉ではなく、分かりやすい言葉を選びお話をするようにしています。患者さんが理解してくださっていると感じることが嬉しいですね。

今まで薬局を訪れた患者さんで印象に残っている方はいらっしゃいますか。

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榮子さん

そうですね。ひとり暮らしで家族のいない患者さんが来られたときは、軟膏など一人でつけられないようなとき、そっとこちらから手を差し伸べてあげたときには、非常に喜ばれたことがあります。

また、慌ただしい中でなかなかお薬をお渡しできず、怒って帰られた患者さんの自宅にまで謝りに行ったことがあります。
「お話しましょう」と粘り強くお話したところ、心を開いて事情を話してくださいました。弁解や弁明をせずに目の前の相手に真摯に向き合うことが大切なのだと思っております。信念を持って誠実に言葉を伝えるようにしていますね。

何歳からでも人はチャレンジすることができる

新しいことにも色々取り組まれたのですね。

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榮子さん

そうですね。お薬の世界は日進月歩ですから、日々学んでいかなければなりません。またインターネットを覚えるのもなかなか大変でした。周囲の人たちに教えていただき、今ではLINEでのチャットやZoomでの会議なども出来るようになりましたよ。

薬局でもお花の教室の開催など、突拍子もないようなことを始めたりしております。うちのスタッフの中にお花の免許を持っている方がいらして、簡単な生花の教室をさせていただき患者さんにも非常に喜ばれております。
「薬局でお花を生けたりするの?」と言われますが、簡単にできるので患者さんやそのご家族にとても喜んでいただいています。

さらに新しいチャレンジをするとしたら思いつくものはありますか?

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榮子さん

今はまだ思いつきません。いくつになっても人は学べると思っていますし、新しい世の中、思いもかけず宇宙にでもいける時代になってきましたので、興味をもっていろんな道に進んでいきたいと思います。

自分だけで学ぶとうのは難しいので、いろんな本を読み一つ一ついろんな言葉を覚えて、わからなければ聞いて幅広く学んでいくことが大切ですね。
これからも、いろんな方とお会いして新しいことにチャレンジしていきたいと考えています。

「時間は薬〜やさしい処方箋」を出版して

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「時間はくすり」という本を出版されていますが、どのような意味が込められているのでしょう。

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榮子さん

本の中にも書いたのですが、時間というものは、人を強くしたり、やわらかくしたり、絆を深くしてくれたりします。時間が経つと癒しといいますか、お薬のような効果があるのかもしれません。

時間はもしかすると、命そのものであるのかもしれないと思っております。

本の中で、特に大切にされている言葉はありますか。

最高齢としてギネスブック認定「薬剤師×出版」の画像9
榮子さん

言葉…、自分では以外に選べませんね。例えば「ありがとう」という言葉など、ありのままに伝えられた言葉が、大切だったり嬉しかったりします。

お孫さんである康二郎さんと一緒に働いていらっしゃいますが、大変なことや楽しいこと、どちらが多いのでしょう。

最高齢としてギネスブック認定「薬剤師×出版」の画像10
榮子さん

そうですね。お仕事は大変なことも多いのですが、楽しいことが多いように感じています。本の出版も孫の康二郎が勧めてくれて、出版することができました。ギネスブックのチャレンジも孫の勧めでしたね。

若い薬剤師へのメッセージ「その方の立場に立ち、解きほぐしてあげてほしい」

コロナ感染拡大の世の中で、薬剤師の役割についてどのようにお考えでしょうか。

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榮子さん

今コロナが流行っておりますが、薬剤師は専門知識をいかして一緒に乗り越えていくような関わりが必要なのかなと思っています。

コロナだから特別ということではなく、きめ細やかに患者さんとの対話を通して、みなさんの支えになれれば嬉しいですね。

ありがとうございました。最後にメッセージをお願いします。

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榮子さん

はい。今の薬剤師の方は、お薬を渡すだけでなく患者さんと身近にいろいろな会話をすることが多くなっていると思います。

そんなときは専門的な難しい話ではなく、患者さんにとって身近な話題から接していかなければ、心を開いていただくことは難しいかなと思います。
そして患者さんがどのような考えや悩みを持っているのか、親身になって関わることで心を開いていただくことがあります。
そこから、初めて一緒に考えることができるのかなと思っています。

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比留間榮子さん 経歴

1923年生まれ。ヒルマ薬局2代目、薬剤師歴は75年超。95歳のときに「最高齢の現役薬剤師」としてギネスブックに認定。孫である康二郎さんと共にヒルマ薬局小豆沢店を経営する。著書として「時間はくすり」がある。

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井手 綾子
いで あやこ

福岡県生まれ。地方のフリーペーパーの編集を経験し、編集長となる。フリーランスとなってからは、全国紙や地方紙、webなどの編集・執筆を行う。取材経験は20年超、取材人数1000人以上。自分の闘病経験・治験を受けた経験から、医療関係、医薬品関係などの執筆に力を入れている。

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