オピオイドの眠気は「良い兆候」?原因の見極めと服薬指導のコツ
オピオイド投与中の患者から「とにかく眠い。薬が合っていないのでは?」「眠気が強いからオピオイドを中止したい」「眠気は辛いけれど、痛みはしっかり取ってほしい」などの相談を受け、対応に困った経験はありませんか。
オピオイドの副作用のうち、眠気は、便秘、悪心・嘔吐に次いで発現頻度が高いといわれています。また、眠気は集中力や認知能力の低下を招き、転倒などの思わぬ事故に発展する可能性もあるため、注意して観察すべき副作用です。
そこで、今回の記事では、オピオイドによる眠気の原因や対処法、服薬指導のポイントについて解説します。
オピオイドによる眠気はなぜ起こる?
オピオイドによる眠気はなぜ起こるのでしょうか。薬剤師が理解しておくべきポイントとして、以下の3つが挙げられます。
オピオイドによる眠気の原因3つ
① 中枢神経でのμ受容体刺激
オピオイドは、脳幹網様体賦活系を抑制し、睡眠・覚醒サイクルの調節を乱すことで眠気を生じさせると考えられています1)。
特に、オピオイドの投与開始初期や増量時は、この作用が目立ちやすい時期ですが、多くは耐性が生じ、数日以内に自然に軽減ないし消失します2)
② 痛みが軽減したことによる眠気
意外と見落とされがちなのが、“副作用ではない眠気”です。オピオイドで痛みがしっかり抑えられると、痛みによる不眠が解消され、「安心して眠くなる」場合があります。
③ 代謝・排泄低下や併用薬の影響
眠気の強さには薬物動態の要素も大きく関わります。薬物動態を変化させる主な要因として、以下を理解しておきましょう。
- 腎機能低下
→ モルヒネの活性代謝物 M6G の蓄積で眠気が強まります。 - 肝機能低下
→ 代謝遅延でオピオイドの血中濃度が上昇し、眠気が強まります。 - 併用薬の影響
→オキシコドン、フェンタニルは、CYPを介した代謝を受けるため、CYP阻害作用を有する薬剤の併用により、血中濃度が上昇し、眠気が強く出る場合があります。詳細は「モルヒネ、フェンタニル…「強オピオイド」4種の使い分けポイント」を参照ください。 - 中枢抑制薬との併用
(ベンゾジアゼピン系、睡眠薬、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬 など)
→ GABA系や抗コリン作用が重なり、鎮静作用が増強します。
薬剤師としては、眠気の訴えがあった際に動態面の変化・併用薬・患者の全身状態を確認することが重要です。
オピオイドによる眠気へ対応するには?
オピオイド投与中の患者が眠気を訴えた場合、まず行うべきことは、オピオイド以外の要因を鑑別することです。
がん患者は、オピオイド以外にも、以下の原因により眠気を生じることがあります2)。
その他、がん患者の眠気の原因
- 薬物(睡眠薬、中枢作用のある制吐薬、鎮痛補助薬など)
- 中枢神経系の病変
- 電解質異常(高カルシウム血症、低ナトリウム血症など)
- 感染症
- 低酸素血症
まずは、治療可能な原因に対する治療を行うことが大切です。
そのうえで、オピオイドが原因であると考えられる場合、以下のように対応しましょう。