部活動中に背中を痛めた子どもに使える鎮痛消炎薬は?
『OTC医薬品の比較と使い分け』(羊土社)の著者である薬剤師・児島悠史による「明日使える OTC医薬品 提案のコツ」シリーズがm3.comでスタート!第1回は、15歳未満の子どもでも使える鎮痛消炎薬と、その選び方です。
小学校の5~6年生頃からは、スポーツを本格的にがんばり始める子どもが増えてきます。特に中学校に入ると学校で部活動も始まるため、運動部に所属した場合は軽い捻挫や打ち身、筋肉痛をよく経験するようになります。これらのケアには、市販の鎮痛消炎薬(湿布やスプレー剤)が良い選択肢になりますが、内服・外用を問わず、子どもでも使える薬剤は非常に少ないのが現状です。15歳未満でも使える鎮痛消炎薬にはどのようなものがあるのでしょうか。
★ Point
「サリチル酸メチル」「サリチル酸グリコール」は年齢制限がない
「インドメタシン」の製剤には、11歳から使える商品がある
家庭に残っている外用薬の安易な使い回しには要注意
鎮痛消炎薬の比較
成分 | 年齢制限 | 光線過敏症のリスク |
---|---|---|
ケトプロフェン | 15歳以上 | 特に多いため注意 |
ピロキシカム | 15歳以上 | 特に多いため注意 |
ジクロフェナク | 15歳以上 | 注意 |
ロキソプロフェン | 15歳以上 | 注意 |
フェルビナク | 15歳以上 | 注意 |
インドメタシン | 15歳以上(※一部、11歳以上) | 注意 |
サリチル酸メチル | 年齢制限なし | 副作用は全般的に少ないとされているが、注意は必要 |
サリチル酸グリコール | 年齢制限なし | 副作用は全般的に少ないとされているが、注意は必要 |
屋外での活動が多い子どもは、光線過敏症のリスクを踏まえた薬剤選択を
子どもの場合、頑張っているスポーツが屋内種目か屋外種目かを問わず、体育の授業や登下校などで直射日光を浴びる機会がたくさんあります。また、夏期には水泳の授業があるなど、部位を問わず全身に直射日光を浴びる可能性もあります。そのため、首や肘・膝といった露出しやすい部位に限らず、背中や腰、太ももといった部位であっても直射日光に曝されるリスクを考慮した薬剤選択が必要です。
この点を考慮すると、使用に年齢制限がなく、副作用の心配も少ない「サリチル酸メチル」や「サリチル酸グリコール」の鎮痛消炎薬1)を選ぶのが良いと考えられます。
※年齢制限がなく、子どもでも使いやすい鎮痛消炎薬の例
エアーサロンパスジェットα:「サリチル酸グリコール」のスプレー剤
ハリックス55EX冷感:「サリチル酸グリコール」の湿布
サロンパス:「サリチル酸メチル」の湿布(※オジサンが肩凝りに使うイメージは強いかもしれない)
なお、光線過敏症といえば「ケトプロフェン」や「ピロキシカム」による症例報告が多く2)、特に注意が必要な薬剤と言えますが、基本的にこれら特定の薬のみに限定されたリスクというよりは、…