「風邪で咳がつらい」という人に適した咳止めの薬は?
風邪症候群では一般的に、鼻水・鼻詰まりなどの「鼻症状」と「咳」、「喉の痛み」の症状が、どれか1つだけが突出することなく、全部まとめて同程度に現れます。しかし、その中でも「咳」は体力を消耗し、眠りも妨げ、多くの人にとって最も厄介な症状になります。風邪で咳がつらい時には鎮咳薬が良い選択肢になりますが、その咳症状が出始めたタイミングや痰の有無によって、有益な薬は少し変わってきます。より安全で効果的な薬を選ぶためには、咳止めの薬をどう選べば良いのかを解説します。
★ Point
風邪の初期の「痰が絡む湿った咳」か、終盤からの「乾いた咳」で、薬の有益性は少し変わりそう
複数の成分を配合した薬は、それだけ副作用も多くなることに注意
「風邪」を自称する人の「肺炎」や「結核」に気をつける
風邪の咳に効果的とされている薬の例
薬効分類 | 成分 | 特徴 |
---|---|---|
鎮咳薬 | デキストロメトルファン | 風邪による急性の咳にも効果的です1) |
去痰薬 | カルボシステイン、アンブロキソール、ブロムヘキシン | 風邪の咳症状を少し和らげる効果が報告されています2,3,4) |
抗ヒスタミン薬 | クロルフェニラミン | 「デキストロメトルファン」には劣りますが、多少の効果は期待できます1) |
漢方薬 | 小青竜湯、麦門冬湯 | 「小青竜湯」は湿った咳5)、「麦門冬湯」は乾いた咳6)にそれぞれ効果的です |
「湿った咳」か「乾いた咳」かによって、薬の選び方は変わる
風邪薬(総合感冒薬)には、咳止めとして「ジヒドロコデイン」などの麻薬性鎮咳薬、「メチルエフェドリン」などの気管支拡張薬がよく配合されていますが、これらの薬は風邪の咳症状にはほとんど効果が期待できません7)。特に、麻薬性鎮咳薬を風邪真っ只中の痰が絡む「湿った咳」が出ている時に使うと、痰の粘りが強くなって症状は悪化する恐れ8)もあります。そのため、風邪の際にはこれらの薬を避け、実際に効果が報告されている「デキストロメトルファン」1)や去痰薬2,3,4)の入った商品を選ぶのが妥当と考えられます。
一方、風邪の後に残る乾いた咳(感染後咳嗽)には麻薬性鎮咳薬もそこそこ良い選択肢になります9)。つまり鎮咳薬を選ぶ際には、今の咳が痰の絡む「湿った咳」で鼻症状や喉の痛みも伴っている風邪初期のものなのか、あるいは風邪終盤の「乾いた咳」で他に症状は無いのか、といった視点が1つ大事な判断基準になります。
風邪の初期から現われる咳 | 風邪の終盤から現われる咳 | |
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咳のタイプ | 痰の絡む湿った咳が多い | 痰の絡まない乾いた咳が多い |
時間による影響 | 特になし | 就寝前~夜に悪化する傾向がある10) |
他の症状 | 鼻水・鼻詰まり、喉の痛み | 乾いた咳だけ |
効果のある薬 | 鎮咳薬(デキストロメトルファン)、去痰薬、抗ヒスタミン薬、ハチミツ、小青竜湯 | 鎮咳薬全般、抗ヒスタミン薬、麦門冬湯 |