受験シーズンを控えた学生に適した花粉症の薬は?

スギ花粉症のシーズンは、学生にとって受験や学期末試験、卒業、入学といった大事な時期を迎える季節とちょうど重なります。さらに、この時期の病院にはインフルエンザ等の感染症の患者も少なくないため、できれば病院にかからずに治療したいと思う学生も多いはずです。そんな際に役立つ、学業へのパフォーマンスに影響を与えない商品の選び方を考えます。
★ Point
鎮静性の抗ヒスタミン薬を使うと、鼻症状は落ち着いても学業成績は悪化するかもしれない
「眠くなる」という自覚症状がなくても、集中力・判断力は低下してしまう可能性を考える
いざという時は「血管収縮薬」の点鼻薬が役立つが、連用には十分注意
※花粉症治療に使われる薬と、眠気の有無
眠気 | 成分 | ||
---|---|---|---|
抗ヒスタミン薬 | 鎮静性 | 強い | クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、クレマスチン、 ケトチフェン |
軽度鎮静性 | やや強い | アゼラスチン、メキタジン | |
非鎮静性 | 弱い | セチリジン、エバスチン、エピナスチン、ベポタスチン | |
特に弱い | フェキソフェナジン、ロラタジン | ||
点鼻薬 | ステロイド | なし | ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、フルニソリド、 フルチカゾンフランカルボン酸エステル |
血管収縮薬 | なし | ナファゾリン、テトラヒドロゾリン |
受験生に「鎮静性の抗ヒスタミン薬」は不適
OTC医薬品では、鎮静性の抗ヒスタミン薬を配合した鼻炎薬も多く販売されています。抗コリン作用を有する古いタイプの抗ヒスタミン薬(第一世代)は、比較的即効性に優れている1)ため、急なアレルギー症状に便利な薬と言えます。しかし、これらの薬は副作用の眠気が強く現れることが多いため、集中力や判断力を要する作業に従事する人には使えません。これは、なにも自動車を運転する人だけでなく、大事な試験を控える学生も同様です。
実際、花粉症の学生を「鎮静性の抗ヒスタミン薬」で治療すると、鼻炎症状は多少マシにはなるものの、それによって試験の成績が改善することはなく、むしろ眠気や集中力・判断力の低下によって成績は悪化してしまうという研究結果もあります2)。そのため、いくら即効性を期待できる、鼻炎症状が改善するとは言え、受験生に鎮静性の抗ヒスタミン薬を勧めるのはあまり良い判断とは言えません。
「眠い」という自覚症状なく、パフォーマンスが低下する可能性も考える
では「軽度鎮静性」や「非鎮静性」の抗ヒスタミン薬であれば、試験に悪影響を及ぼす心配がないかというと、必ずしもそうとは限りません。たとえ「非鎮静性」の薬であっても眠気を催すことはありますし、「眠い」という自覚症状なく集中力・判断力が低下してしまう可能性(インペアード・パフォーマンス3))も考える必要があるからです。
このとき、OTC医薬品の中にも、服用後の自動車運転を禁止されていない抗ヒスタミン薬が2種類だけあります。それが「フェキソフェナジン」と「ロラタジン」です。これらの薬は「非鎮静性」の薬のなかでも集中力・判断力への影響が小さく、労働生産性4)や航空機の操縦能力5)などにも影響しないことが確認されています。そのため、大事な試験を控える学生の花粉症治療薬として良い選択肢になります。
「非鎮静性」に分類される薬の中でも、特に集中力・判断力への影響が小さいもの
- フェキソフェナジン:商品例『アレグラFX』、『アレグラFXジュニア』
- ロラタジン:商品例『クラリチンEX』
眠気のリスクがない「点鼻薬」もうまく活用しよう
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