コンタクトレンズを使っている人が避けた方が良い点眼薬は?
コンタクトレンズを使っている人でも、花粉症や目の乾き・疲れといった症状に悩まされることがあります。そんな時にもOTC医薬品の点眼薬はセルフメディケーションの良い選択肢になりますが、中にはコンタクトレンズを装着したままの点眼は避けた方が良いものもあります。安全性のデータは多くありませんが、明らかに注意が必要な添加物は見落とさないように気をつけましょう。
★ Point
「ベンザルコニウム」は、含水性ソフトコンタクトレンズに吸着し、角膜炎の原因になることがある
「ホウ酸」は、一部のカラーコンタクトレンズの素材「ポリビニルアルコール」を変性させる恐れがある
添付文書は、注意書きの欄ではなく添加物の欄を1つずつ確認することが大切
OTC医薬品の点眼薬と、「ベンザルコニウム」含有の有無
ベンザルコニウム | 商品の例 |
---|---|
含有 | ザジテンAL、スタディーALG、アイリスAGガード ストナリニAG、新マイティアA、ロートデジアイ、サンテPC、 アイリス50、ノアールPガード |
非含有 | ビュークリアALクール、アイフリーコーワAL、アレジフェンス ノアールAZ、スマイル40プレミアム、ロートビタ40α NewマイティアCL、ソフトサンティア、ロートCキューブプレミアムクリア |
「ベンザルコニウム」と角膜炎のリスク
点眼薬は薬液の腐敗・汚染が起こりやすいため、使い切りタイプのものを除き、基本的に防腐剤や保存料が添加されています。「ベンザルコニウム」もその1つで、優れた防腐作用を持ちながら、通常の使用では人体に悪影響を及ぼすことが少ないため、点眼薬の保存料としてもよく用いられています。
しかし、この「ベンザルコニウム」は含水性ソフトコンタクトレンズに吸着する性質があるため、レンズを装着したまま点眼すると、「ベンザルコニウム」と角膜との接触時間が長くなり、角膜炎を起こすことがあります1)。そのため、「ベンザルコニウム」を含む点眼薬の場合はコンタクトレンズを一度外してから点眼を行い、さらに装着し直す際にも点眼後10分ほど時間をあけることが推奨されています2)。
こうした付け外しができない場合や手間な場合には、「ベンザルコニウム」を含まない点眼薬を選ぶ必要があります。
「ベンザルコニウム」を含まない点眼薬の例
アレルギー薬:「ビュークリアALクール」、「アイフリーコーワAL」、「アレジフェンス」
人工涙液 :「NewマイティアCL」、「ソフトサンティア」、「スマイルコンタクトEX Drytect」
ビタミン類 :「ロートCキューブプレミアムクリア」、「スマイルホワイティエ コンタクト」
複合点眼薬 :「ノアールAZ」、「ロートアルガードクリアブロックZ」
なお、ハードタイプのコンタクトレンズであれば「ベンザルコニウム」の吸着は起こりにくいとされているため、装着したままの点眼でも問題ありません。ただし、「ベンザルコニウム」を含む点眼薬を長期間使用していると、結膜充血を起こしやすくなるという報告もある3)ため、花粉症や目の乾きなどで既に目の症状がそれなりに現れている人や、点眼薬をしばらく継続して使用するような場合には、可能であれば「ベンザルコニウム」を含まない商品を選んだ方が無難です。
「ベンザルコニウム」非配合であればOK、というわけでもない
「ベンザルコニウム」を含んでさえいなければ、どんなコンタクトレンズ装着中でも使用できるか、というと、必ずしもそうとは言えません。点眼薬に含まれる各成分や添加物が、各種コンタクトレンズの性状などに与える影響は、すべてが明らかになっているわけではないからです。
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