OTC医薬品の「睡眠改善薬」と医療用の「睡眠薬」は、何が違う?どう使い分ける?
OTC医薬品には「睡眠改善薬」というものがあります。“眠れない”という症状を解消するための薬という意味では、医療用医薬品の「睡眠薬」と共通した目的で使う薬ということになりますが、この2つにはどういった違いがあるのか、またどのように使い分けを考えれば良いのか。OTC医薬品の「睡眠改善薬」を提案・販売する際に気を付けたいポイントを解説します。
- OTC医薬品の「睡眠改善薬」の有効成分
- OTC医薬品の「睡眠改善薬」と、医療用医薬品の「睡眠薬」の使い分け
- OTC医薬品の「睡眠改善薬」がハイリスクな方
「睡眠改善薬」は「ジフェンヒドラミン」を有効成分とする製剤
OTC医薬品として販売されている「睡眠改善薬」には色々なものがありますが、いずれの商品も「ジフェンヒドラミン」を有効成分とする製剤です。「ジフェンヒドラミン」は、元々アレルギー治療に用いられる抗ヒスタミン薬ですが、脂溶性が高く血液脳関門を通過しやすい1)ことから「鎮静性」に分類され、眠気の副作用が出やすい傾向にあります。この「鎮静性の抗ヒスタミン薬」の副作用を、眠りのためにうまく利用しようというのがOTC医薬品の「睡眠改善薬」のコンセプトです。実際、「ジフェンヒドラミン」は入眠に限らず、睡眠効率や総睡眠時間をやや改善するという報告もあり2)、睡眠改善を目的に用いることはそれなりに理に適ったものと考えられます。
(参考)
抗ヒスタミン薬の眠気はなぜ起こる?
「睡眠改善薬」の効果が期待できるのは一時的・一過性の不眠
OTC医薬品の「睡眠改善薬」でケアできるのは、あくまで一時的・一過性の不眠の症状、具体的には旅行で慣れない宿に泊まった際に眠れない、寝る前に読んだ本が面白くて目が冴えて眠れない、誰かとケンカをして腹が立っていて眠れない……といったタイプのものに限ります。原因がよくわからない不眠であっても稀なものであれば試してみても良いですが、OTC医薬品の「睡眠改善薬」は医療用医薬品の「睡眠薬」と違って、慢性的な不眠症に対する有効性や安全性は確認されていません3)。そのため、下記のような慢性的な不眠の症状がある場合には病院受診を勧めるのが無難です。