「ロキソプロフェン」が効く痛みと効かない痛み~販売時の注意点とポイント
医療現場でもOTC医薬品としても頻用される解熱鎮痛薬の「ロキソプロフェン」ですが、実際のところどんな痛みには効果があり、逆にどんな痛みには効果がないのか、あるいはどういった人には使わない方が良いのか、その詳細は意外と知られていません。
そこで今回は、この「ロキソプロフェン」の効果や安全性について、改めて基本となるポイントをおさらいします。
- 「ロキソプロフェン」が効く痛みと、効かない痛みはどう区別するか
- 二日酔いの人に「ロキソプロフェン」を提案する際、何に注意すべきか
- 購入者と使用者が異なることを想定して、どんな注意喚起をする必要があるか
「ロキソプロフェン」はすべての痛みに効く?~消費者がよく抱いている誤解とその原因
「ロキソプロフェン」は、医療用医薬品の『ロキソニン』がOTC医薬品としてスイッチされた2011年以降、多くの解熱鎮痛薬に用いられるようになっています。
特に2024年3月からは、総合感冒薬にも配合されるようになり、その使用頻度は多くなっています。
「ロキソプロフェン」が配合されているOTC医薬品の例
| 解熱 鎮痛薬 |
ロキソニンS、ロキソニンSプラス、ロキソニンSクイック、ロキソニンS プレミアム、ロキソニンSプレミアムファイン、ロキソニンPROフィジカル、 コルゲンコーワ解熱鎮痛LXa、スカイブブロンLX、ナロンLoxy、ハリー解熱 鎮痛薬L、ロキソプロフェンT液、ロキソプロフェン錠「AX」、ロキソプロ フェン錠「クニヒロ」 |
| 総合 感冒薬 |
コルゲンコーワLX錠、ロキソニン総合かぜ薬 |
※日本OTC医薬品協会のデータベース掲載医薬品のみ掲載
この「ロキソプロフェン」のことを、“すべての痛み”に対して効果的な万能の痛み止め、と考えている消費者は少なくありません。確かに、「ロキソプロフェン」などのNSAIDsは、頭痛・腰痛・生理痛・歯の痛み、さらに風邪の際の筋肉痛や関節痛、喉の痛みなど、日常で感じる多くの痛みに効果的なため、そう感じてしまうのも無理はありません。
しかし、「ロキソプロフェン」がもつ鎮痛効果は、COX(シクロオキシゲナーゼ)阻害によるプロスタグランジンの産生抑制によって得られるもののため、このプロスタグランジンが関わっていない痛みには基本的に効果を期待できません。
つまり、ヒトが感じる痛みのうち「侵害受容性」の痛みには効きますが、「神経障害性」の痛みや「心因性」の痛みには効かない、と考えるのが妥当です。
※ヒトが感じる痛みの種類
| 侵害受容性 | 捻挫や打撲、骨折、切り傷など、プロスタグランジンが関わる痛み |
| 神経障害性 | 帯状疱疹後神経痛や坐骨神経痛など、神経のトラブルが原因で 生じる痛み |
| 心因性 | ストレスや人間関係などが原因で感じる痛み |
そのため、同じ“腰痛”であっても、痛みの感じ方によっては「ロキソプロフェン」の効果を期待できないケースもある、ということです。
たとえば、患者さんの訴えが“腰痛”であっても、“ビリビリ”と電気が走る、あるいは“チリチリ”と灼けるようなものであれば、それは「ロキソプロフェン」が効かない「神経障害性」の痛みだと判断し、病院受診を勧める必要があります。
また、「ロキソプロフェン」は片頭痛にもそれなりに有効1)ですが、片頭痛の発症にはプロスタグランジン以外にも複雑なメカニズムが関わっています。そのため、片頭痛の症状が重くなってくると「ロキソプロフェン」では十分な効果を得られにくくなってきます。この場合も、片頭痛専用の治療薬を使った方が良いため、病院受診を勧めるようにしてください。
「ロキソプロフェン」で注意すべき副作用は?~こんな人のこんな状況に注意しよう
「ロキソプロフェン」は、今やドラッグストア等でも入手できるため、非常に気軽に使われている面がありますが、決して副作用の少ない薬ではありません。
たとえば、同じ解熱鎮痛薬としてよく用いられる「アセトアミノフェン」に比べると、消化管障害2)や急性腎障害3)のリスクは明らかに高いことが確認されています。そのため、胃が弱い人や、腎機能が既に弱っている人などに安易に使用するのは避けた方が無難です。