薬剤師2257人が選んだ2021年上半期重大ニュース！

ｍ3薬剤師会員に2021年1月頭～6月末の期間に起こった医療系ニュースの中から、特に印象に残ったことがらと、コメントを回答していただきました。アンケート結果で選ばれたニュースTOP10をランキングでご紹介！
さらに、TOP5のニュースには薬剤師の皆さんから寄せられたコメントを添えてご紹介します。
（回答数:2257件、実施期間2021年7月４日～7月18日）

薬剤師が選ぶ2021年上半期重大ニュース　TOP10

1位：後発品3社に業務改善命令、薬剤師の業務に影響

患者さんの対応だけでなく、供給が不安定になり薬剤の確保が困難など、業務に大きな影響があった『後発品3社に業務改善命令』が最も多くの薬剤師から印象に残ったと支持がありました。
薬剤師さんからのコメントには、業務の苦労だけでなく、後発薬メーカーや行政への不満も寄せられました。

薬剤師さんから寄せられた声

• 後発品の供給バランスが崩れたことにより、先発品を含めた医薬品全体の供給が不安定となり、薬剤の入手が困難になった。（病院・診療所勤務・50代）
• せっかくジェネリックに好意的に見て頂ける患者様が増えたのに、ジェネリックにたいする抵抗感が再度高まってきており、残念に思う。（調剤薬局・調剤併設ドラッグストア勤務・30代）
• 昨今の後発薬切替の代償がここまで大きな事件になるとは思ってもなかった。しかしながら、以前からまことしやかに囁かれていた疑念が表に出たことで、業界全体が変わってくれることを切に願います。（病院・診療所勤務・30代）
• 今まで当たり前に入手できていた製品が手に入らなくなり、患者さんの希望に沿えなくなってきていて業務に支障をきたしている。本当に優先しなければならないのは何なのか、今一度考え直す時期にきていると思う。（調剤薬局・調剤併設ドラッグストア勤務・40代）

2位：アルツハイマー病「アデュカヌマブ」承認、米FDA

米バイオジェンとエーザイが共同開発したアルツハイマー病の新薬のニュースがランクインしました。
条件付きの承認でしたが、薬剤師さんだけでなく株価が上昇など一般の人にも衝撃を与えるニュースでした。
アルツハイマー病治療への大きな変化に期待が寄せられました。

薬剤師さんから寄せられた声

• 将来に明るい話題のない昨今、光明の見える話題だったためとても印象に残った。治療の観点からとても大きな進歩だと思う。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア勤務・60代)
• 抗体医薬品がBBBをどのように通過するのか、機序も気になる(病院・診療所勤務・30代)
• 承認は見送られると思っていたので驚いた。今後のアルツハイマー治療薬の開発にも影響がありそう。(病院・診療所勤務・40代)
• 根本的治療が出来れば、多くの人の介護負担が減らせることが期待できる。(病院・診療所勤務・40代)

3位：ワクチン接種の担い手、薬剤師は見送り

新型コロナワクチン接種の担い手として、薬剤師の活躍が期待されましたが、見送りとなりました。
薬剤師さんからは、見送りとなったことで「残念」「失望した」などショックのコメントが寄せられた一方で、「実施されなくてよかった」「ほっとした」など見送りに賛成する声も印象的でした。
ワクチン接種できる海外の薬剤師の状況を比較に挙げ、日本の薬剤師の立ち位置を議論するコメントもあり、薬剤師の立ち位置を考えさせられるニュースでした。

薬剤師さんから寄せられた声

• アメリカをはじめ、先進国で薬剤師がワクチンの打ち手になっている中、日本は遅れていると感じた。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア勤務・20代)
• 今回すぐには無理だったかもしれないが、今後予防接種は薬剤師が行えるように教育していくべきと思う。 (調剤薬局・調剤併設ドラッグストア勤務・50代)
• これまで一度も経験のないことを、この短期間で半ば義務化されたらどうしようかと不安だった。少なくとも日常的に注射をしたことのある職種の方に頼むべきだと思っていたので、正直ホッとしたと同時に、問診のような薬剤師に適した業務に、薬剤師会単位でもっと積極的に手を挙げていきたいと思った。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア勤務・40代)
• 注射器使用経験の無い薬剤師が、誤りなく業務を行なえるはずが無い。日本では無理。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア勤務・60代)
• 薬剤師も注射を打てる権限がもらえるのかと期待したが残念だった。実現していたら、在宅業務、コロナ以外のワクチン接種等にも役立てると思っていた。(病院・診療所勤務・20代)

4位：ワクチン集団接種に薬剤師も希釈調整で参加

集団接種で迅速にワクチン接種ができるように希釈調製や充填作業で多くの薬剤師さんが参加されました。
実際に参加した方のコメントには、「社会の役に立てた」「薬剤師の認知度が上がった」など好意的なコメントが多く寄せられました。陰で支える薬剤師さんの活躍が注目を浴びたニュースでした。

薬剤師さんから寄せられた声

• マスコミは打ち手の話ばかりで、特にファイザーのワクチンは調製がどれだけ重要であるかを全く話さなかったし、調製は薬剤師がやるべきと全く言わなかった。薬剤師業務はこれほどまでに世の中に認知されていないのだと情けなく思った。（接種場所での医師、看護師は薬剤師の参加を歓迎してくれたと聞いています。）(その他勤務・50代)
• 薬剤師が医療従事者として認知されるきっかけになったと感じた。また、私自身が3月の接種開始からワクチンの希釈充填を自主的に開始したが、他院や地域の調剤薬局に呼びかけたところ、ヘルプに来院して頂き共に希釈充填作業が行えている事もコロナ終息に向けて薬剤師の意識が意外と高いのだと嬉しく感じた。(病院・診療所勤務・40代)
• 現在、私自身も希釈業務に従事しているので選択しました。今年のはじめの頃はまさか自分が希釈充填業務に携わるとは思っていなかったが、研修を経て実際従事してみて世間の反応をみてやりがいを感じた(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア勤務・30代)
• 沢山の薬剤師が有事に参加するいい機会となりました。自分も看護師さんと希釈に参加し、医療職としてやりがいも出てきました。自部署の薬剤師は断っていました。個々の薬剤師が医療者であるという責任と誇りを持つこと、これからの薬剤師教育の課題だと思います。(病院・診療所勤務・40代)

5位：新型コロナワクチン接種開始、100病院で先行実施

欧米では先行して実施されていたコロナワクチン接種が日本でも開始されました。接種希望のあった病院100施設が先行接種として選定され、1月から順次実施されています。ワクチンの情報が曖昧な中での当時の不安と希望が込められたコメントが寄せられました。

薬剤師さんから寄せられた声

• ワクチン接種がいよいよ始まるのだと認識しました(病院・診療所勤務・60代)
• 短期間での承認で副反応など不安の中での接種スタートだった(病院・診療所勤務・50代)
• いまだに医療従事者が実験台になったという気持ちが捨てきれないでいる。また、先行接種したにもかかわらず、その結果の分析や、副反応情報が、上手くなされてないと思う。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア勤務・50代)
• コロナワクチン接種が始まって、隣接する診療所も慌ただしくなり、こちらは通常通りではあるが、ワクチンへの不安を口にする患者への対応が増えた。ワクチンに関して、まだまだこれから先のことには分からないことばかりで、どう説明したらいいのか?分からないので困ることが多々ある。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア勤務・40代)

11位以降の結果は…？

2021年の上半期重大ランキングの結果は、いかがでしたでしょうか？
下半期は、コロナ禍の影響でのオリンピック開催、薬局機能認定制度開始などが注目されます。
次回は、特別編として薬剤師の皆さんが関心の高かったニュースをご紹介します。