病院薬剤師・薬局薬剤師が選ぶ2021年上半期重大ニュースは?
m3薬剤師会員に2021年上半期に印象に残ったニュースについてアンケートを実施しました。今回は、病院薬剤師と調剤薬局薬剤師の勤務別で選ばれた特徴のあるニュースをご紹介します。また、薬学生が上半期に注目したニュースもお届けします。
(回答数: 2257件、実施期間2021年7月4日~7月18日)
病院薬剤師・調剤薬局薬剤師が選ぶ2021年上半期重大ニュースは?
病院薬剤師が選んだ重大ニュース
調剤薬局に勤める薬剤師に比べて病院薬剤師が選んだニュースは、「新型コロナワクチン接種開始、100病院で先行実施」と「ワクチン接種の担い手、薬剤師は見送り」でした。
「新型コロナワクチン接種開始、100病院で先行実施」については、勤め先の病院が先行実施に含まれているのか、いつ行われるかなど、気になった方が多かったのではないかとみられます。
また、「ワクチン接種の担い手、薬剤師は見送り」については、調剤薬局薬剤師よりも注射を目にする機会が多く、場合によっては業務に影響する可能性があったためと考えられます。
病院薬剤師のコメントをご紹介
新型コロナワクチン接種開始、100病院で先行実施
- 病院ではワクチン接種により薬剤師の仕事が変わった。(病院・診療所・60代)
- 先行実施施設ではないが、この時期から具体的なワクチン接種業務準備が始まったため。(病院・診療所・20代)
- ワクチンの手配、希釈方法などを周知させるのが大変でした。(病院・診療所・30代)
- 段取りがわかりにくく現場は混乱したので今後改善が必要と思う。(病院・診療所・40代)
- 勤務先の診療所もは、先行実施ではなかったが、医療従事者への接種をする医療機関として登録申請したので、いよいよ始まる!と不安と期待があった。(病院・診療所・50代)
- 自分の病院ではいつから始まるのか気になったため。(病院・診療所・50代)
ワクチン接種の担い手、薬剤師は見送り
- 全薬剤師の中で日常業務としてミキシングを行っている薬剤師ですらほんの一部なのに、担い手候補としてあがったことはとても違和感があった。当然ではあるが、見送りとなって安心した。(病院・診療所・40代)
- ワクチン摂取に薬剤師が参加できれば、薬剤師の活動の幅が広がると考えていたため、残念です。(病院・診療所・30代)
- 接種の担い手として薬剤師ができるように研修、認定制度を確立してほしい(病院・診療所・40代)
- 他職種スタッフから薬剤師によるワクチン摂取は不安という声が多数あった。(病院・診療所・30代)
- 接種に担い手候補にあがること自体が不思議だった医療従事者なら何でもいいから、接種できる人を増やせという感じがした(病院・診療所・40代)
- ワクチンの希釈や調製に薬剤師がかり出されることは想定していたが、ワクチン接種の担い手として、薬剤師が取り上げられるとは想定外であった。現段階では困難であると思う。(病院・診療所・40代)
調剤薬局薬剤師が選んだ重大ニュース
調剤薬局の薬剤師は「「処方箋40枚ルール撤廃を」提言」と「後発品3社に業務改善命令、薬剤師の業務に影響」を選ぶ人が多かったです。
「「処方箋40枚ルール撤廃を」提言」は、薬局業務に大きな影響があるためと考えられます。
また、「後発品3社に業務改善命令、薬剤師の業務に影響」は病院薬剤師よりも圧倒的な多さの支持を得ていました。
薬局薬剤師のコメントをご紹介
「処方箋40枚ルール撤廃を」提言
- 40枚でもかなり仕事量が多い基準なのに、撤廃されると丁寧な服薬指導はできなくなる。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア・30代)
- 40枚ルールは目安としてあって欲しい。ハードな職場でも、撤廃を理由に薬剤師数を減らしたりする経営者も増えるだろうから。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア・20代)
- 勤務環境が悪化する恐れがある。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア・40代)
- 意味の無いルールがやっと無くなる(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア・50代)
- 処方箋の重さに違いが大きくあるのに、単に枚数で処理されることに疑問(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア・50代)
後発品3社に業務改善命令、薬剤師の業務に影響
- 対物業務が増えた(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア・30代)
- そもそもジェネリック医薬品の販売を野放しにしたことが間違いだと思う。長期収載品になったら先発の薬価をジェネリック並みに大幅に引き下げれば良い。先発メーカーが作り続けなければ、ジェネリックメーカーへAGとして承継させれば良い。何社もジェネリック医薬品を製造販売していれば、今回のような事件を引き起こす原因となってしまう。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア・60代)
- 実際、現場では後発品が入荷しづらいので大変困っています。該当メーカー以外に注文が集中してしまうからでしょうけれど、先発品での調剤も増え、後発品体制加算算定への影響が出てきており悩ましいです。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア・40代)
- 後発品に関して、あまりにも多くのメーカーありすぎる。せめて1製品3社迄とか規制をつくってほしい(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア・50代)
- 医薬品の安定供給が出来ず、患者さんに迷惑をかけている。コロナよりも薬の在庫の方が業務負担。(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア・20代)
薬学生が注目したニュースTOP5
薬学生が2021年上半期にアクセスの多かった記事をご紹介します。
- 1薬剤師国試、合格率2年連続低下
- 2ワクチン先行接種対象100病院決定
- 3薬剤師の配置時間規制廃止、改正案
- 4新社名はマツキヨココカラ
- 5PCR陽性の薬局職員119人
1位は、圧倒的アクセス数で「薬剤師国試、合格率2年連続低下」でした。薬剤師を目指す薬学生には国試の結果は気になるのかと思います。
また、「新社名はマツキヨココカラ」など就活向けの業界ニュースが注目を浴びていたのが特徴でした。
2021年上半期は、コロナワクチン希釈や後発薬品回収など薬剤師にとって影響のある
ニュースが多く続きました。下半期は、オリンピック開催に始まり、デルタ株、ラムダ株、と未だ収束がみえないコロナの猛威が続きそうですが、薬剤師としての役割を忘れず過ごしていきましょう。