【医師が解説】熱性けいれん既往児に処方された「鎮静性抗ヒスタミン薬の危険性
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小児のウイルス性上気道炎(いわゆる「普通の風邪」)の鼻汁に対して、抗ヒスタミン薬の効果はほとんどない、というのが現在の国際的・国内的コンセンサスです1)。しかし、アレルギー性鼻炎の合併が否定できないなどの理由で、小児の「発熱・咳嗽・鼻汁」に対して抗ヒスタミン薬は処方されやすいのが現状です。
今回の症例は、熱性けいれんの既往がある児です。本ケースの注意点と、その背景を考えてみましょう。
「アセトアミノフェン細粒」と「カルボシステインシロップ」、「ペリアクチン®(シプロヘプタジン)シロップ」が処方された子どもの背景
3歳男児。本日から発熱、咳嗽、鼻汁があり近医を受診。ウイルス性上気道炎と診断され、アセトアミノフェン細粒とカルボシステインシロップ、ペリアクチン®(シプロヘプタジン)シロップが処方された。
お薬手帳を確認すると、他院で 「ダイアップ®(ジアゼパム)坐剤」の処方歴が1年前から2回あった。
保護者に確認すると、1年前にけいれん重積(15分以上のけいれん)があり、以降発熱時には使用しているとのことである。最近転居したばかりで、今回受診した診療所には熱性けいれん既往の件は伝えていないとのこと。
クイズ!熱性けいれん歴のある子どもへ適切な対応でないものは?
本日の患者さんに対する、薬剤師としての適切な対応ではないものはどれでしょうか。①~③から選んでください。
- 「ペリアクチン®(シプロヘプタジン)」を第二世代抗ヒスタミン薬である「ザジテン®(ケトチフェン)」に変更するよう疑義紹介する。
- 処方医に連絡し、患児に熱性けいれん既往があることを伝える。
- 解熱薬およびジアゼパム坐剤の使い方を再確認する。