ぺんぎん薬剤師が解説する2022(令和4)年度調剤報酬改定のポイント①
〜調剤報酬改定の概要と調剤基本料と加減算の改定

改定の全体像と背景
改定率から見る調剤への影響
2022(令和4)年度診療報酬改定は2021年12月22日の予算大臣折衝を踏まえ、技術料本体の改定率がプラス0.23%1)となりました。これに、看護師の処遇改善のための特例対応分としてプラス0.20%、リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化によりマイナス0.10%、不妊治療の保険適用のための特例対応でプラス0.20%、小児の感染防止対策に係る加算措置の期限到来によるマイナス0.10%が加わり、診療報酬の改定率はプラス0.43%となっています。薬価については実勢価格等の改定でマイナス1.44%、妊治療の保険適用のための特例対応のプラス0.09%を合わせて、合計マイナス1.35%となっています。材料価格はマイナス0.02%です。全体(ネット)改定率は公表されていませんが、計算するとマイナス0.94%となります。
技術料本体の内訳を見ると医科:歯科:調剤=1:1.1:0.3は維持されており、調剤の改定率はプラス0.08%となっています。ここで注意したいのは、各科の改定率は分母を各科の医療費として計算されるため、調剤の改定率は調剤医療費に対する改定率を示します。この考えは薬価の改定率を考える際でも同様で、薬剤費をベースとした場合の薬価改定率はマイナス6.69%2)です。
令和2年度の調剤医療費の概要3)を見てみると、技術料:薬剤料=25:75となっており、調剤医療費には薬価改定が大きく影響することがわかります。調剤報酬がわずかなプラス改定であることを考えると全体としてはマイナス改定と考えるべきです。
財務省からの指摘
医療費のうち約25%は国庫が負担しています。そのため、財務省の意見は診療報酬改定に大きな影響を与えることになります。今回の改定に先駆けて財務省からはかなり厳しい意見が出されていました4)。診療報酬本体については「躊躇なくマイナス改定をすべき」という意見が出され、調剤報酬についても多く指摘されています。具体的には、「対物業務から対人業務への転換」、「調剤報酬上の評価は地域連携薬局に対して行うべき」、「かかりつけ薬局・薬剤師以外への処方箋受付における患者負担の在り方」、「敷地内薬局等の調剤基本料の見直しの強化」、「後発医薬品調剤体制加算は廃止を含めた見直しを行い、減算を大幅に拡大すべき」、「リフィル処方の導入」、「多剤・重複投薬等への対応の強化」などです。
こういった逆風の中、今回の改定が行われたということも押さえておくべきポイントになります。