ぺんぎん薬剤師が解説する2022(令和4)年度調剤報酬改定のポイント③
〜新しく設定された評価と医科の改定による薬局業務の変化

対人業務の評価の充実
調剤管理加算
調剤管理料の加算として、複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方された患者の服用中の薬剤について、必要な薬学的分析を行なった場合の評価が新設されます。
調剤管理加算(調剤管理料) | |
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イ 初めて処方箋を持参した場合 | 3点 |
ロ 2回目以降に処方箋を持参した場合であって処方内容の 変更により薬剤の変更又は追加があった場合 |
3点 |
算定を行うためには、過去1年間に服用薬剤調整支援料を算定している実績(施設基準)が求められます。
6種類以上を服用している患者の処方内容について重複投薬や相互作用、副作用、服用状況等を含めた薬学的分析を行うことで、重複投薬や相互作用、ポリファーマシーによる有害事象を回避することを目的とした点数になります。指導や情報提供まで至らない薬学的分析を評価する点数は初めてじゃないかと思います。
小児特定加算〜医療的ケア児に対する服薬指導の評価
医療的ケア児(18歳未満の人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児)に対する薬学的管理と服薬指導を評価する点数が新設されます。
小児特定加算 | |
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服薬管理指導料 かかりつけ薬剤師指導料 |
350点 |
在宅患者訪問薬剤管理指導料 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料 在宅患者緊急時等共同指導料 |
450点 |
在宅患者オンライン薬剤管理指導料 在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料 |
350点 |
小児特定加算を算定する際には服薬状況と合わせて服薬管理を行う上での希望を患者やその家族から聞き取り、その情報と薬学的知見を元に調剤を実施、服薬指導を行った上で、確認内容と服薬指導の要点をお薬手帳に記載する必要があります。小児特定加算を算定する場合、乳幼児加算は算定できません。
今回、医科の改定で「退院時薬剤情報管理指導連携加算(小児入院医療管理料)」が新設されており、小児特定加算の算定対象となる障害児である患者が退院する際に、入院先の薬剤師から文書で調剤に関する情報提供を受ける機会が増えそうです。そういった連携を深めて小児特定加算の算定を充実させていきたいところです。
服薬情報等提供料3〜入院時持参薬の一元管理
医療機関からの求めに応じて、入院予定の患者の服用薬に関する情報等を一元的に把握し、必要に応じて持参した服用薬の整理を行うとともに、医療機関に対して、当該患者の服薬状況等について文書により提供した場合の評価が新設されます。
服薬情報等提供料 | 2020 | 2022 |
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服薬情報等提供料1 | 30点 | 30点 |
服薬情報等提供料2 | 20点 | 20点 |
服薬情報等提供料3 | (新設) | 50点(3月に1回に限り) |
服薬情報等提供料3を算定するにあたっては入院時の服薬情報等の一元管理と合わせて、服用薬の整理を行うことが必須とされています。入院する際には薬局の薬剤師に薬の整理を行なってもらうことが当然となるよう積極的に算定を重ねていきたい点数ですね。